イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) ビルボードジャパンを制した超特急「AwA AwA」、指標動向からヒット継続の可能性を読む

(※追記(11月16日20時44分):掲載した表においてMISAMO「NEW LOOK」におけるSpotifyの当週順位を当初10位と記載していましたが、正しくは8位でした。つきましては訂正後の表に差し替えております。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

最新11月13日公開分(集計期間:11月4~10日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週初の首位を獲得したINI「WMDA (Where My Drums At)」が13位に後退、超特急「AwA AwA」が首位に立っています。超特急にとっては2017年5月3日公開分における「超ネバギバDANCE」以来、二度目の首位獲得となります。

本作は超特急の21枚目のシングル『AwA AwA』の表題曲。10月28日に先行配信がスタートし、先週はストリーミング26位、総合49位を獲得した。そして11月6日にCDが発売されると、自身最多となる185,442枚を売り上げセールス首位、ダウンロード32位、ストリーミング27位、ラジオ3位で本チャートを制した。

AwA AwA」はフィジカルシングルが10種以上が用意されたことや封入特典もあってか(超特急 | 2024.11.6 Release 21st Single「AwA AwA」参照)、前作「宇宙ドライブ」(2022年10月19日公開分 42,491枚)を大きく上回る初週フィジカルセールスを記録。またラジオでも強さを発揮しています。

 

さて、このブログでは2週前のエントリーにて【ヒット継続の可能性を判断するポイント】を紹介しました。今回はこちらを踏まえ、超特急「AwA AwA」を分析します。

総合トップ10初ランクイン時(フィジカルリリース曲ではその指標の初加算時)に【ダウンロードが上昇しているか】【ストリーミングが高いか】【主要サブスクサービスの順位に乖離はないか】そして【動画再生とストリーミングの順位が乖離していないか】をチェックすることが重要です。

 

超特急「AwA AwA」のCHART insightは以下の通り。

気になるのは動画再生(赤で表示)が100位未満(300位圏内)に登場していないこと。ビルボードジャパン総合ソングチャートの記事では上位登場曲における各指標の順位が掲載されますが、加点対象ながら101~300位にランクインした指標は紹介されません。また無料会員が確認できるCHART insightでは各指標21~100位が未表示の一方、101~300位は表示されます。これらから「AwA AwA」は動画再生指標が当週未加算だと解ります。

(上記は無料会員が確認可能なCHART insightにつき、各指標は20位以内が表示されます。)

最新11月13日公開分のソングチャートにおいて、ストリーミング(CHART insightでは青で表示)と動画再生(赤)とは比例する傾向にあることが解るのですが、超特急「AwA AwA」は先述した記事のとおりストリーミング指標27位を記録している一方で動画再生指標は300位圏外(ポイント加算対象外)となり大きく乖離しています。なお同曲は前週動画再生指標を加点しながらも100位未満となっていました。

フィジカルセールスが強い曲においてはその指標が初めて加算される際、動画再生指標がダウンする傾向にあります。「AwA AwA」のフィジカルシングルに同梱された映像盤には同曲のミュージックビデオは収録されていませんが、映像盤を視聴した(視聴先を移行した)コアファンが多いために動画再生指標が未加点となったのかもしれません。

 

ストリーミングにおいても、気になる点があります。

(上記表の全体版は11月15日付ブログエントリーにて掲載予定です。)

超特急「AwA AwA」はストリーミング指標27位を記録していますが、主要サブスクサービスではLINE MUSIC(1位)とApple Music(100位未満)やSpotify(200位未満)とで順位が大きく乖離しています(なお3サービスの週間チャートにおける集計期間は若干異なります)。これは超特急がLINE MUSIC再生キャンペーンを採用したことに因るものです。

【特典】

AwA AwA」の再生回数が

888回以上の方全員:“超特急×8号車 史上初のAwA踊り大会”集合待受画像

8,888回以上の方全員:“超特急×8号車 史上初のAwA踊り大会”からお届け!ムービー

8,888回以上の方から抽選で各メンバー1名様、計9名様:あなたのお名前入りソロチェキ(希望メンバー選択可能)

「AwA AwA」デジタルキャンペーン開催決定! | 超特急(10月27日付)より

LINE MUSIC再生キャンペーンが10月28日(前週11月6日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおける集計期間初日)に開始されたこともLINE MUSICでの強さの要因といえます。コアファンの再生が(特典も目的として)LINE MUSICに集中していることが読み取れます。

また上記リンク先で告知されたように、11月13日公開分ビルボードジャパンソングチャートの集計期間3日目からダウンロードキャンペーンが実施されたこともあり(「AwA AwA」デジタルキャンペーン、追加決定! | 超特急(11月4日付)参照)、「AwA AwA」のダウンロード指標はデジタル初加算週ではなくフィジカルセールス指標初加算時になって初めて300位以内に入り加点されています。ともすれば事前の告知が、コアファンのダウンロード購入を当週の集計期間中に至らせたのかもしれません。

 

 

ビルボードジャパン総合ソングチャート制覇の判明からおよそ7時間後、超特急側は首位獲得についてコメントを発信しています。この対応、またLINE MUSIC再生キャンペーンや(フィジカルセールス初加算週における)ダウンロードキャンペーン等の導入からも、超特急側がこのチャートを意識していることがうかがえます。

他方、先述した4つのポイント(【ダウンロードが上昇しているか】【ストリーミングが高いか】【主要サブスクサービスの順位に乖離はないか】および【動画再生とストリーミングの順位が乖離していないか】)においては、最初の2点こそクリアしているものの施策に因るところが大きく、コアファンの熱量が功を奏した一方でライト層(歌手のファンというわけではないものの曲が気になる方)との乖離が生じているといえます。

ロングヒットそして社会的ヒット曲においては接触指標群の上位安定が大事であり、曲の支持をコアファンから、特にストリーミング指標にて欠かせないライト層に拡げることが重要です。超特急側はコメントにて8号車(コアファンのファンネーム)への感謝を述べていますが、今後8号車に成るかもしれないライト層をどう掴むかを考え、動くことも大切でしょう。ライト層の支持は、まずは次週のチャートに表れるものと考えます。