イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングチャート、4つのポイントからヒット継続の可能性を読む

最新10月30日公開分(集計期間:10月21~27日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週初の首位を獲得したCreepy Nuts「オトノケ」が2位に後退。櫻坂46「I want tomorrow to come」が首位に立っています。

当週のトップ10ではCreepy Nuts「オトノケ」(1→2位)、Mrs. GREEN APPLEライラック」(3→3位)およびAKASAKI「Bunny Girl」(10→9位)を除き、7曲が入れ替わっている状況ですが、次週もその位置をキープする曲は多くないと捉えています。首位を獲得した櫻坂46「I want tomorrow to come」においても、その可能性は高くないだろうというのが私見です。

 

 

最新10月30日公開分ビルボードジャパンソングチャートを制した櫻坂46「I want tomorrow to come」はフィジカルセールス(CHART insightでは黄色で表示)が首位、ダウンロード(紫)が12位、ストリーミング(青)が5位、ラジオ(黄緑)が68位、および動画再生(赤)が71位を記録しています(緑で表示されるカラオケは300位圏外)。デジタル先行でリリースされた曲がフィジカルセールス指標初加算に伴い、総合首位に至った形です。

さてこのブログでは基本的に毎週金曜に、前週初めてトップ10入りした曲の翌週動向を分析し真の社会的ヒットに至る可能性があるか(高いか)を見極めるエントリーを掲載しています(上記リンク先参照)。その分析からみえてきたことを、今回トップ10入りした曲の中から櫻坂46「I want tomorrow to come」に当てはめてみます。

 

 

注目するポイントは4つ。まずは【ダウンロードが上昇しているか】。フィジカルリリースに伴い購入の選択肢が増え、フィジカルセールスではなくダウンロードを所有する方もいらっしゃいます。「I want tomorrow to come」はダウンロードが前週の300位未満から12位に上昇していますが、逆にいえばデジタル初加算週以降にこの指標がほぼ加点されていなかったことが気になります。

 

2つ目は【ストリーミングが高いか】。社会的ヒット曲は接触指標が高く且つ安定し、特にストリーミング指標によるポイントが高い傾向です。この点において、「I want tomorrow to come」は当週5位と高い位置に就いています。

他方、3つ目の【主要サブスクサービスの順位に乖離はないか】についてですが、「I want tomorrow to come」はApple Musicで100位以内、Spotifyでは200位以内に達していない一方、LINE MUSICでは先行配信版が28位、フィジカルリリースのタイミングでリリースされた”Special Edition”収録版が18位となり、乖離がみられます(各サブスクサービスの集計期間は若干異なります)。

(なお、上記表の全体版は11月1日付ブログエントリーにて掲載予定です。)

10thシングル『I want tomorrow to come』リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定! | ニュース | 櫻坂46公式サイト(9月23日付)より

「I want tomorrow to come」では配信開始時から今週月曜まで、LINE MUSIC再生キャンペーンが組まれていました。ストリーミング指標はライト層(歌手のファンというわけではないが曲が気になる方々)の人気を反映し安定する一方で、再生キャンペーンはプレゼントが用意されていることもありコアファンの熱量を大きく反映します。そしてキャンペーン終了後の急落が多いのも特徴です。

「I want tomorrow to come」ではこのキャンペーン効果もあり、総合ソングチャートで5週連続エントリーを果たしています。他方LINE MUSICとその他サービスとで乖離がみられることを踏まえれば、この曲がライト層を獲得しなければ次週ストリーミング指標がダウンし、総合チャートにも影響することが考えられます。LINE MUSIC再生キャンペーンは次週の集計期間初日までとなっていることから、注視する必要があります。

 

そして4つ目は【動画再生とストリーミングの順位が乖離していないか】。接触指標のひとつである動画再生は、社会的ヒット曲においてストリーミングと順位が大きく乖離していないのが特徴ですが、「I want tomorrow to come」はストリーミング5位に対し動画再生が71位という状況です。動画再生は前週100位未満だったために伸びているとはいえますが、接触指標群の乖離は気になります。

 

 

当週はM!LK「エビバディグッジョブ!」が総合47→4位に上昇。フィジカルセールスの初加算が影響していますが、ストリーミングは56位を記録しながらサブスクサービスで順位が乖離し、LINE MUSIC再生キャンペーン(→こちら)の影響が見て取れます。他方そのLINE MUSIC、そしてビルボードジャパンのストリーミング指標でも順位が後退していますが、これはキャンペーン再生回数をクリアしたコアファンの離脱と推測可能です。

加えて「エビバディグッジョブ!」ではデジタル先行解禁時にYouTubeにて公式オーディオも公開されていますが、当週までダウンロードおよび動画再生指標は週間300位以内に達せず、加点されていません。M!LKをはじめとするスターダストプロモーション内EBiDAN所属の男性アイドルグループは再生キャンペーン採用共々この傾向が目立っており、ライト層獲得に向けてどう動くかを考える必要があるでしょう。

 

 

総合トップ10初ランクイン時(フィジカルリリース曲ではその指標の初加算時)に【ダウンロードが上昇しているか】【ストリーミングが高いか】【主要サブスクサービスの順位に乖離はないか】そして【動画再生とストリーミングの順位が乖離していないか】をチェックすることが重要です。そしてこの4点を踏まえるに、櫻坂46「I want tomorrow to come」は現時点において社会的ヒット曲に成るのは難しいと考えます。

櫻坂46による2024年リリースのフィジカルシングル表題曲はフィジカルセールス指標初加算時に似た指標構成をなぞっていますが、その翌週に総合トップ10内をキープできていません。いずれの曲でもLINE MUSIC再生キャンペーンを実施し、アイドルやダンスボーカルグループの作品としてはロングヒットしているように映りますが、その内容を分析することが大切です。なお、下記エントリーも参考になれば幸いです。