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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】5連覇のCreepy Nuts、2位の櫻坂46における獲得指標への疑問

最新2月28日公開分(集計期間:2月19~25日)のビルボードジャパンソングチャートでは、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が5連覇を達成。櫻坂46「何歳の頃に戻りたいのか?」が15→2位に上昇しています。

前週同様当週も平日が4日間だったもののダウンロード指標、またストリーミング指標の基となるストリーミングソングチャートでの再生回数は共に微減となった「Bling-Bang-Bang-Born」ですが、動画再生指標は19位に初登場。ただ、Creepy Nutsの公式YouTubeチャンネルにおける「Bling-Bang-Bang-Born」関連動画はショート動画以外見当たらず、今回この指標が加点された要因は不明です。

(ともすれば、YouTubeの有料会員向けにのみ公式側が関連動画をアップしたのかもしれません。この指標への疑問については、以前チャート予想を行っていた紅蓮・疾風さんも指摘しています(ポストはこちら)。)

CHART insightでは赤で表示される動画再生指標が加点されなければ総合ポイントもダウンに転じた可能性が考えられ、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はピークを越えたと捉えることができるかもしれません。この"ピークを越えた可能性"については昨日付ブログエントリー(下記参照)で紹介しており、その際提案したように公式動画をYouTube無料会員向けにも公開することが早急に必要だと考えます。

 

総合2位にはフィジカルセールス指標初加算となった櫻坂46「何歳の頃に戻りたいのか?」が上昇しています。

獲得ポイントは12,215となり、前週Snow Man「LOVE TRIGGER」がフィジカル初加算時に記録した12,458ポイントに迫っています。その前週における「LOVE TRIGGER」のCHART insightを下記に。

Snow Manはデジタル未解禁のためダウンロード(紫で表示)およびストリーミング(青)が未加算となっていますが、櫻坂46「何歳の頃に戻りたいのか?」はデジタル先行リリース。このデジタル、特にストリーミングの加点に伴い「LOVE TRIGGER」とのフィジカルセールスの差(およそ69万枚)を埋めた形です。それでも、「何歳の頃に戻りたいのか?」は今後の急落の可能性は拭えないと考えます。

櫻坂46は今回もLINE MUSIC再生キャンペーンを採用しており、ストリーミングの上位進出はこれが要因と断言可能です。というのも、Spotifyではデイリー200位までに「何歳の頃に戻りたいのか?」が一度もランクインしていません。当週のビルボードジャパンソングチャートと集計期間が同一となるApple Music週間チャートでも100位以内に入っておらず(記事はこちら)、LINE MUSICに人気が偏っている状況です。

 

ストリーミングは総合ソングチャートに最も影響力を与えるもので、大ヒット曲やロングヒットする作品において獲得ポイントの過半数を占めます。これは歌手のコアファン以上にライト層(歌手のファンというわけではないが曲が気になる方々)の接触が多く、急落することがほぼないはずの指標です。しかしLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲は急落が目立ち、櫻坂46の前シングル「承認欲求」でもこの現象が発生しています。

(ビルボードジャパンはストリーミングソングチャートの首位曲がLINE MUSIC再生キャンペーンを採用していた場合、他のサブスクサービスとの乖離を踏まえて指標化の際に係数処理を行いますが、ストリーミングソングチャート2位以下の採用曲には施しません。これがストリーミング指標の乱高下を招いている要因であり、再生キャンペーン採用曲すべてに係数処理を施すことをこのブログでは以前から提案しています。)

 

これを踏まえ、「何歳の頃に戻りたいのか?」ではキャンペーン終了時が反映される週(3月13日公開分)および反映されなくなる週(3月20日公開分)の動向を注視する必要があります。日本のアイドルやダンスボーカルグループがデジタルを重視することは好い流れですが、コアファン(そして意識的に動くファンダム)の熱意を過度に用いかねないキャンペーン等に頼るよりもライト層の獲得にこそ注力すべきというのが私見です。