(※追記(11月11日17時39分):予想の特別枠欄に竹内まりやさんを掲載していなかったため、追記しています。)
このブログではここ数年、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか、以下”紅白”と表記)の出場歌手を予想しています。今年についてもこれまで二度掲載しました。
今回は2回目の予想を基に、掲載後にアナウンスされたSTARTO ENTERTAINMENT所属タレントのNHK起用再開を踏まえ、”2.5回目”という形で掲載します。
本来、2.5回目のエントリーを10月25日金曜を目処に記す予定と提示していましたが、音楽ナタリーに寄稿したコラムが昨夜掲載されたタイミングにて公開した次第です。このエントリーは、コラムの補足という位置付けでもあります。
【コラム寄稿のお知らせ】
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2024年10月29日
音楽ナタリーによる #NHK紅白 出場者予想企画に今年も参加しました。柴那典さん(@shiba710)、てれびのスキマさん(@u5u)、西森路代さん(@mijiyooon)そして自分が、それぞれの切り口で予想しています。あいうえお順ゆえ自分が最初に登場してします。https://t.co/uyLBm2T4VC
まずはNHKとSTARTO ENTERTAINMENTについて、自分の考えを記します。
NHKは10月16日、STARTO ENTERTAINMENT所属タレントの起用再開を発表しました。
そのNHKが10月20日に放送した『NHKスペシャル』では、旧ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川氏による性加害問題を掘り下げ、事務所自体、また問題の放置や拡大に加担したメディアの責任を追及するスタンスを採っています。放送後NHKに対し、STARTO ENTERTAINMENT所属タレントを起用することはおかしいとの声が少なくありません。自分はコラムでもこの番組を採り上げましたが、複数の見方を抱いています。
性加害問題の補償を拒否する等、事務所側の行動は問題です。他方、番組制作側の演出も引っ掛かります。遺族への謝罪拒否については最終的に一転していますが(とはいえ担当者解任に時間がかかったことは疑問)、その経緯は紹介されていません。旧社屋映像に雷鳴の映像を合わせる、旧社屋を背景に元社員の取材を車内にて行う等、視聴者の感情を増幅させかねない手法に違和感を抱いています。
上記についても、田淵氏がチェックしなかったことは問題かもしれませんが、放送後担当ディレクターが田淵氏に対し述べたことに対し、違和感はより強くなっています(田淵氏のブログで確認できます→こちら)。ただ、このブログへのコメント、また上記記事が転載されたYahoo! JAPANニュースのコメント欄で強い言葉が踊っていることに悲しみを抱いています。
今回の『NHKスペシャル』を経て、NHK側にSTARTO ENTERTAINMENT所属タレントの起用再開を是とする者(や部署)と拒否する者(や部署)の双方が存在する、報じる側は後者であるという視点がみられます。前者における視聴率第一という姿勢が問題を拡大させたとの見方は理解できる一方、NHKにおいてはたとえば下記問題が出たばかりであり、後者における演出面やこの”報じない”問題も、根にある部分は似ていると感じます。
皆さん書いておられるが、NHKは夜7時と9時のゴールデンタイムの視聴率の高い時間帯には、自民党による不適切な政党交付金の使用に関する報道は一切流さず、あまり人の目につかない時間帯に限って一応報道しましたよと言い訳できるようなあざといやり方をしたことについては、強く記憶に留めたい。
— 斉藤正美 (@msmsaito) 2024年10月23日
(上記は2000万円交付問題における、富山大学非常勤講師の斉藤氏による発言。氏は別のポスト(→こちら)にて、NHK(の姿勢)を『自民党を利する報道であり、放送局だとしか思えない』とも記しています。)
旧ジャニーズ事務所の問題においては、事務所側の過度な圧力、それに応じ過度な忖度を行うメディアの双方において保身が蔓延していたと考えます。一方でその問題を報じた側が(『NHKスペシャル』の制作は報道側とは異なるかもしれませんが)過度な演出を施したり、先述のように敢えて報じない姿勢をみせることもまた、自分たちをよく魅せよう、何かしらに従おうという保身の一種ではないかと捉えています。
性加害問題における被害者補償、救済は絶対に必要なことです。私たちは事務所を監視するのみならず、次に同種の問題が起きない業界の仕組みや社会づくりを提案し、協力するほうが好いでしょう。Xでも記しましたが(→こちら)、怒りを怒りのままに書くことはそれを遠ざける行為だと考えます。告発できる、且つその告発者が保護される環境の醸成、告発者を誹謗中傷した者への罰則強化等はどこまで行われているでしょうか。
自分の見方はマイノリティかもしれません。そのことは重々承知していますが、今回の番組やその反応には違和感が拭えず、自分なりにまとめた次第です。
さて、『NHKスペシャル』では旧ジャニーズ事務所時代におけるNHK紅白歌合戦出場歌手枠の拡大を採り上げ、疑問視していました。この出場枠推移については下記リンク先に記載されている内容がわかりやすいと考えます。
ビルボードジャパンソングチャートが社会的ヒット曲の鑑となった2010年代後半以降、紅白は特に若手や初出場歌手にてヒット曲輩出に沿い、事務所に関係なく選出していますが、一度出場した歌手が再度起用されることも少なくありません。ゆえに紅白においては主に若手にて、社会的ヒット曲の輩出に基づく出場枠の最適化が必要と考えます。その上で同一事務所から複数の歌手が出場しても、自然なことだといえるでしょう。
前置きが長くなりましたが、紅白2.5回目の出場歌手予想は以下の通りです。
<紅白の傾向等についておさらい>
昨年の出場歌手および披露曲、曲順は下記リンク先に掲載されています。
紅白における出場歌手の選考基準について、昨年は以下のように定義されていました。
NHKは、紅白歌合戦の出演者の選考にあたって、今年の活躍、世論の支持、番組の企画・演出という3つの点を中心に、次のようなデータを参考資料として検討し、総合的に判断しました。
「今年の活躍」については、CD、DVD、Blu-rayの売り上げやインターネットでのダウンロード、SNSなどについての調査、それに、ライブやコンサートの実績などです。
また、「世論の支持」については、NHKが行った2024人を対象にした世論調査の結果や、8000人を対象にしたウェブアンケート調査の結果です。
調査はいずれも7歳以上を対象に行いました。
今年の活躍については、社会的ヒット作品を示す鑑であるビルボードジャパンのチャートを参考にしているものと考えます。2024年度上半期各種チャート、および第3四半期のデータは以下に掲載しています。
また”番組の企画・演出”については、NHKの番組タイアップやNHK(音楽)番組への出演の有無と置き換えてもいいでしょう。
<『NHK紅白歌合戦』出場歌手の傾向>
① 若手や初出場歌手についてはビルボードジャパンのチャート動向が重視される
② ①で選ばれた歌手の連続出場は難しいが、実績が伴えば叶う
③ 若手で連続出場するもその年の曲が披露できないならば翌年外れる可能性がある
④ ①を踏まえ、K-POP歌手も積極的に起用する
⑤ 演歌歌謡曲は顔ぶれが変わらず、枠も最低限にとどまる
⑥ 他の音楽番組に比べて、出場歌手の世代やジャンルが広範囲に及ぶ
⑦ 『SONGS』や『NHK MUSIC SPECIAL』等、NHK関連番組出演等の実績が大きい
⑧ 周年記念歌手の出場が少なくない
⑨ 音源をサブスク配信していることがほぼ条件となっている
⑩ 年末年始のリリースが影響する(作品の宣伝の場という位置付けにもなっている)
紅白においては上記傾向があると捉えており、今回の予想もこの10項目がベースとなっています。
<『第75回NHK紅白歌合戦』出場歌手予想>
(紅組、白組共に22組。以下敬称略。)
・紅組
ILLIT
tuki.
FRUITS ZIPPER
ME:I
YOASOBI
ヨルシカ
LE SSERAFIM
(前年出場歌手で1回目予想時未掲載:あいみょん、Ado、ano、伊藤蘭、櫻坂46、JUJU、Superfly、NiziU、MISAMO、milet × MAN WITH A MISSION)
(2回目にて掲載した歌手:あいみょん、FRUITS ZIPPER、西野カナ、ヨルシカ)
(1回目予想歌手で2回目未掲載:超ときめき♡宣伝部、NewJeans、星街すいせい、松田聖子)
・白組
Omoinotake
こっちのけんと
JO1
GEMN
純烈
Number_i
HYDE × MY FIRST STORY
B'z
BE:FIRST
ゆず
米津玄師
(前年出場歌手で1回目予想時未掲載:エレファントカシマシ、大泉洋、Official髭男dism、キタニタツヤ、さだまさし、すとぷり、Stray Kids、SEVENTEEN、10-FEET、藤井フミヤ、MAN WITH A MISSION × milet)
(2回目にて掲載した歌手:こっちのけんと、SEVENTEEN、B'z)
(1回目予想歌手で2回目未掲載:ENHYPEN、SPYAIR、福山雅治)
(2.5回目にて掲載した歌手:Snow Man、GEMN)
(2回目予想歌手で2.5回目未掲載:SEVENTEEN、西川貴教 with t.komuro)
<特別枠>
嵐
ハマいく
藤井風
(2回目予想歌手で2.5回目未掲載:美川憲一)
STARTO ENTERTAINMENT所属歌手についてはSnow Man、そしてキタニタツヤさんと元Sexy Zoneの中島健人さんによるGEMNの2組を予想に反映しています。Snow Manはフィジカルシングルが全歌手の中で唯一、それも2作連続で初週ミリオンを達成したこと(それら作品がフィジカルリリース時までにデジタルを解禁していればよりヒットしたはずです)、GEMNは「ファタール」がロングヒットしていることがその理由です。
Snow Manは昨年大晦日のYouTube生配信が盛況となり、一部からは彼らが紅白に出ないとする見方も出ています。またビルボードジャパンソングチャートではフィジカルセールス指標ばかり強い作品は年間チャートに到達しにくくなりましたが、しかしフィジカルシングルの連続ミリオン達成はやはり驚異的です。
GEMNについては、「ファタール」が2024年度ビルボードジャパン年間ソングチャートにてSTARTO ENTERTAINMENT関連曲の中で最上位に到達すると考えます。アニメソングが今年も複数披露されるだろう中で、ヒットの面で「ファタール」が西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」を上回るとして今回入れ替えた形です。これにより白組のK-POP歌手出場予想はゼロとなりましたが、曲単位でのヒットを踏まえた予想となります。
また活動25周年を迎え、次作の朝ドラ『あんぱん』に二宮和也さんが出演することもあり、嵐が特別枠で登場するという2回目の予想は変わっていません。二宮さんはSTARTO ENTERTAINMENTから離れていますが、同じく事務所を移籍したNumber_iの初出場も考えられるため、嵐の出演(活動再開)はあり得なくはないと捉えています。
なお今回は2回目(10月7日付ブログエントリー)の予想をベースに、音楽ナタリー掲載コラム(10月21日に執筆)の内容を付加しています。『NHK MUSIC SPECIAL』の放送、著名人の訃報等を踏まえた最終予想は、11月10日前後に掲載する予定です。
最後に。NHKとSTARTO ENTERTAINMENTの関係性について、私見を掲載します。今回の紅白にて両者が良好な関係を復活させるという可能性を以前から感じていた者として、仮にこの予想が当たっているならば違和感を覚えます。
GEMNは活動最初期のインタビュー(7月5日掲載)にて、紅白への出演願望を語っています。また『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』にて、なにわ男子が主題歌およびテーマ曲を担当、そしてNHK総合ではSixTONESの松村北斗さんが出演した朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(2021-2022)が来月から再放送されます。再放送については、起用再開アナウンスから間もないタイミングで発表されています。
(NHKでは他にも、なにわ男子の長尾謙杜さんが出演した映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が今年5月6日に総合で放送されていました。)
これらから、NHK側がSTARTO ENTERTAINMENT所属タレントの起用を再開することは今夏の段階から既定路線だったのでは、という疑問が自分の中で拭えずにいます。
旧ジャニーズ事務所初代社長の性加害問題は解決されなければならず、メディアによって差はあれど新規出演見送りの方針も理解できるものです。ただ、方針と矛盾する状況が発生してはいないか自問自答し、発生の際はきちんと経緯を説明する、また方針変更の基準を(ある程度でも)予め明確にすることは必要ではと考えます。報道姿勢等も含め、曖昧なままでいることが今のメディア全般の根本的問題ではというのが私見です。
GEMN「ファタール」がヒットの兆しをみせた段階で記した内容は、『NHKスペシャル』に対し抱いた違和感と似ているかもしれません。STARTO ENTERTAINMENT所属歌手を起用する/しない、そのどちらを選んでも紅白は批判を免れないと考えますが、そこから逃げることなく、紅白、もっといえばNHKの考えを毅然と示すことを願います。それこそが責任ある態度であり、保身脱却の第一歩ではないでしょうか。