最新7月24日公開分(集計期間:7月15~21日)のビルボードジャパンソングチャートでは、前週キャリア初の首位を獲得したMrs. GREEN APPLE「ライラック」が2位に後退。back number「新しい恋人達に」が初登場で首位を獲得しました。
【ビルボード】back number「新しい恋人達に」が総合首位、こっちのけんと「はいよろこんで」が初のトップ10入り https://t.co/o8SQKhWnVA
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年7月24日
今回はこの曲の強さの背景を分析し、今後について予想します。
back number「新しい恋人達に」は、目黒蓮さん主演ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ)の主題歌。
脚本を手掛ける生方美久さんがこれまで手掛けた連続ドラマ(いずれもフジテレビ)の主題歌はいずれもヒットし、Official髭男dism「Subtitle」(2022年『silent』)は初登場からわずか7週分で2022年度ビルボードジャパン年間ソングチャート27位、翌年度は2位に到達する大ヒットに。また藤井風「花」(2023年『いちばんすきな花』)は2024年度上半期ソングチャートで22位を記録しています。
『silent』『いちばんすきな花』そして『海のはじまり』は一度としてリアルタイムの世帯視聴率が10%を突破していませんが、TVerにおけるドラマ初回の再生回数は『海のはじまり』が『silent』を上回り過去最多を更新しています。
テレビ番組においてはリアルタイム視聴率も含めた複合指標での人気の可視化(それこそ楽曲人気におけるビルボードジャパンソングチャート的なもの)が必要と考えます。そのリアルタイム視聴率のみではヒットしたと断言し難いものの、『海のはじまり』の評判や視聴者の支持が主題歌にも反映されたことが、back number「新しい恋人達に」が首位到達を果たした要因といえるでしょう。
back number「新しい恋人達に」はソングチャートにおいてダウンロードおよびラジオ指標を制覇。またストリーミング指標4位、動画再生指標32位を記録しています。
ダウンロード数は24,432DL、ストリーミング指標の基となる再生回数は7,532,578回を記録し、前作「冬と春」に比べて初動はダウンロード数が1.9倍、ストリーミング再生回数が1.7倍増加。映像作品関連曲且つ基の作品の支持が大きい曲はダウンロードが大きく、また所有指標でありながら勢いが持続する傾向にあります。
ドラマ「海のはじまり」主題歌として書き下ろされた同曲は、7月15日の配信リリースに先がけ、11日放送のFM802「ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-」でのフル解禁を皮切りにFM/AM問わず広い範囲でオンエアを獲得し前週チャート57位に初登場。オンエアは日に日に波及していきリリース週を迎えた今週、首位へと上り詰めた。
ラジオ指標、そしてその基となるプランテックのラジオOAチャートでもback number「新しい恋人達に」が首位に立っていますが、そのラジオでは配信リリースに先駆けてOAが解禁されています。このようなラジオ先行解禁は時折みられる施策ですが、ラジオフレンドリーであること(この場合の"フレンドリー"はラジオリスナーのみならず発し手である放送局や番組側に対しても)が大量OAの一因であると捉えていいでしょう。
そして「新しい恋人達に」では、配信日にYouTubeにて公式オーディオが公開。他の動画はないことから、この公式オーディオのみで動画再生指標32位を記録したことが判ります。
公式オーディオを用意することはYouTubeで音楽を聴く方のニーズにきちんと応えることとなります。公式オーディオの重要性はこのブログエントリーにて幾度となく紹介していますが、今回の「新しい恋人達に」においても効果が可視化された形です。
さて、back number「新しい恋人達に」が今後も着実なチャートアクションを続けるためには、『海のはじまり』が好調に推移することでドラマからの波及効果を維持すること、特にロングヒット曲で週間獲得ポイントの過半数を占めるストリーミングにおいて高水準で安定することが必要です。Spotifyでは直近7月23日付デイリーチャートにおいてこの曲が初めてトップ10入りしており、ロングヒットの可能性は十分でしょう。
上記表を踏まえれば、フィジカル未リリース曲が安定してチャートを制するには2万ポイント以上が必要となります。ただそれは一大ムーブメントにならない限り難しいとして、仮に1万ポイントを上回り且つ安定したならば首位から一時的に脱落しても返り咲くことが十分考えられます。
次週以降もフィジカルセールスに強い曲が毎週のように登場。その次週はフィジカルセールス10万枚突破曲が複数登場予定であり、そのひとつがSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手によるユニット作品となります。つまり、『海のはじまり』の主役である目黒蓮さんの関連作品が2週続けてback number「新しい恋人達に」に挑むという形です。
フィジカルセールスに強い曲はデジタルが強くない限り、フィジカルセールス指標加算2週目に急落する傾向です(そもそもSnow Manやなにわ男子はそのデジタルにおいて未解禁の状態を続けています)。それでもフィジカルセールスに強い曲が入れ代わり立ち代わり総合首位を獲得する可能性も考えられますが、その中にあってback number「海のはじまり」が盤石の体制を築き、首位獲得週数をどこまで伸ばすかに注目です。