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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Number_i「未確認領域」が総合首位獲得…Mrs. GREEN APPLE「夏の影」を上回った要因とは

最新8月20日公開分(集計期間:8月11~17日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週首位に到達したKing & Prince「What We Got ~奇跡はきみと~」が74位に後退。Number_i「未確認領域」が首位初登場を果たしています。

当週はトップ5内に3曲が初登場。2位には「未確認領域」と同日デジタルリリースとなったMrs. GREEN APPLE「夏の影」が入り、2曲は1,661ポイント差となっています。

 

・8月20日公開分ビルボードジャパンソングチャート(→こちら)より

 

今回、上位2曲の指標構成に注目しています。

 

Number_i「未確認領域」、Mrs. GREEN APPLE「夏の影」共にフィジカル未リリースであり、フィジカルセールス指標は未加算。また2曲とも、カラオケ指標も加点されていません。残る4指標のうち、デジタル3指標(ダウンロード(CHART insightでは紫で表示)、ストリーミング(青)および動画再生(赤))の合計ポイントでは「夏の影」が「未確認領域」を上回っていることが、3指標の増加順を示すHot Shot Songsチャートから解ります。

午後の紅茶のCMソングである「夏の影」は、8月11日から配信スタートし、ダウンロード2位、ストリーミング2位、動画再生3位という好調なスタートで総合2位に初登場した。総合トップに立ったNumber_i「未確認領域」は、ダウンロード1位、動画再生1位と「夏の影」より順位は上だが、ストリーミング21位だったため、本チャートでは2位に登場している。

ここから、「未確認領域」はCHART insightで黄緑にて表示されるラジオ指標の強さに伴い、最終的に「夏の影」を上回ったことになります。

 

ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標では、Number_i「未確認領域」が首位に立っています(なおMrs. GREEN APPLE「夏の影」は5位に)。この指標はプランテックによる全国主要ラジオ局のオンエアチャートを基に、各局の聴取可能人口等を加味して算出されます。

当週のラジオ指標では、FUNKY MONKEY BΛBY'S「Come back home」が2位につけているのですが、実はプランテックのオンエアチャートにおいては「未確認領域」と順位が入れ替わっているのです。

2025年8月20日発表のラジオ・オンエア・チャート(集計期間:2025年8月11日~8月17日 プランテック調べ)では、FUNKY MONKEY BΛBY'S「Come back home」が1位を獲得した。

(中略)

帯放送の番組/コーナーなど定期枠を中心にオンエアを積み上げていった結果、今週最も広範囲となる調査対象の87.1%のステーションでのオンエア獲得に至っている。好調なリクエストオンエアも踏まえ、シングルリリース週を迎える次週の動向にも注目したい。


2位はNumber_i「未確認領域」が初登場した。9月にリリースを控える2ndフルアルバム『No.II』からの先行配信シングルとなる同曲。

(中略)

同じく定期放送枠の番組/コーナーを中心に調査対象の67.7%と、今週のTOP10において2番目に挟範囲でのオンエア獲得ながら、リクエストオンエアを全国範囲で獲得している点はさすがだ。セールスも好調のようだ。

 

帯や定期放送枠の番組/コーナーを中心とするオンエアは、主にフィジカルリリース週の施策として用いる歌手が少なくありません。そのような施策を用いた場合は調査対象局のオンエア割合が小さくなる傾向にあるのですが、Number_i「未確認領域」はFUNKY MONKEY BΛBY'S「Come back home」よりオンエア対象局が少ないながら、ビルボードジャパンソングチャートにおけるラジオ指標では逆転した形です。

Number_i「未確認領域」においてはおそらく、聴取可能人口の多い放送局でのオンエアを重点的に行なったものと推測できます。そのことがFUNKY MONKEY BΛBY'S「Come back home」をラジオ指標で上回り、ポイント全体の4分の1強を獲得できた要因といえるでしょう。実際、集計期間中には以下の番組に出演しています。

 

 

「未確認領域」にて4曲目の首位を獲得したNumber_iは、Xにて喜びのコメントを発信しています。

「未確認領域」がロングヒットし年間チャートでどこまで存在感を示すかが今後の注目点ですが、この曲がこれまでの首位および2位獲得曲と比べて勢いが大きくないことは気になります。

上記表掲載曲のうち、ロングヒットに欠かせないストリーミング(指標の基となる再生回数)は「未確認領域」が最も少なくなっています。また登場2週目におけるポイント前週比は縮小し続けており、「未確認領域」のポイント前週比に注目です。

土曜付エントリーで掲載するストリーミング表を上記に。Number_i「未確認領域」はSpotifyで比較的強いながらも、実はそのSpotifyにおいてこれまでと動きが異なっているものと捉えています(この点は後日紹介予定です)。Number_i「未確認領域」について、次週総合トップ10内をキープできるか注視する必要があります。