イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年7月24日公開分)

3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で先月復活しています。先週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする曲、年間チャートで上位に進出する曲と位置づけています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。

急落傾向はここ最近、特に目立っています。ソングチャートのトップ10は週平均5曲程が毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。

ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。

 

 

<2024年7月24日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

最新週における指標毎のポイント構成

 (CHART insight改定以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明しています。)

 

SixTONES「GONG」

 7月17日公開分 2位→7月24日公開分 76位

 

・BOYNEXTDOOR「One and Only」

 7月17日公開分 4位→7月24日公開分 45位

・GEMN「ファタール」

 7月17日公開分 8位→7月24日公開分 9位

当週におけるストリーミング等動向を記した表はこちら。

 

フィジカルセールス初加算に伴いトップ10入りした2曲についてはそのセールスが逆転したことも順位の逆転に影響していますが(SixTONES「GONG」は438,437→15,342枚、BOYNEXTDOOR「One and Only」は238,859→26,236枚)、一方でSixTONESはデジタル未解禁、「One and Only」はストリーミング指標未加算につき、次週はさらに順位を下げるものと思われます。

 

他方、トップ10をキープしたGEMN「ファタール」はポイントこそ前週割れとなったものの、ストリーミング指標の基となる再生回数が上昇(前週比102.3%を記録)に。また"歌ってみた"や"踊ってみた"に代表されるユーザー生成コンテンツ(UGC)の人気を可視化したビルボードジャパンのTop User Generated Songsチャートでは、「ファタール」が当週初の首位を獲得しています。

ミュージックビデオでは中島健人さんとキタニタツヤさんがダンスを披露し、キタニさんの公式YouTubeチャンネルではショート動画にてふたりのダンスパフォーマンスも登場。これがUGC投稿を刺激しているものとみられます。

 

この「ファタール」については前週初めてトップ10入りしたタイミングで紹介しました。その際、同曲のメディアでの披露やフィジカルセールスがあるかに注目すると述べましたが、このエントリー記載後にフィジカルシングルでのリリースがアナウンスされています。ともすればこのタイミングでテレビパフォーマンス等露出が増えていくかもしれません。

 

中島健人さんは主演ドラマ『しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜』(テレビ東京)の主題歌、「ヒトゴト」の作詞および歌唱を担当(HITOGOTO feat. Kento Nakajimaとして客演名義でクレジット)。同曲は本日デジタルリリースされています。

同曲はLINE MUSIC再生キャンペーンも用意されています。キャンペーンは終了後の急落を招きますが、GEMN「ファタール」と合わせて"中島健人さんがサブスクに積極的"という印象を与えるには十分といえるでしょう。

 

「ファタール」を採り上げた以前のエントリーにて『STARTO ENTERTAINMENT所属歌手はデジタル解禁が未だ完全ではないながらも徐々に進んでいますが、デジタル(先行)解禁作品で社会的ヒットと呼べる曲はほぼない』と記しました。この曲が社会的ヒットに成ったならば、芸能事務所側、そして中島健人さんに限らずSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手のコアファンにおいてもデジタルへの認識が前向きに変わるものと期待します。