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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Hey! Say! JUMP「UMP」が僅差で総合首位…フィジカルセールス加算2週目の次週動向に注目

最新10月2日公開分(集計期間:9月23~29日)のビルボードジャパンソングチャートではHey! Say! JUMP「UMP」がフィジカルセールス初加算に伴い、初登場で首位を獲得しています。

一方で「UMP」の獲得ポイントが7,157だったのに対し、2位のMrs. GREEN APPLEライラック」は7,112ポイントと僅差であり、ともすれば「UMP」は首位を逃したかもしれません。

 

Hey! Say! JUMP「UMP」はラジオ指標が6位に上昇、加えて動画再生指標も加点が復活したことで、総合首位を獲得した形です。

ラジオ指標はプランテックによる全国31局のOAチャートを基に、聴取可能人口等を加味して算出されます。今回のOAチャート(上記リンク先参照)ではHey! Say! JUMP「UMP」が9位に入っていますが、指標化の際には6位に。おそらくは東名阪等聴取可能人口の多い地域でよりOAされたことが、総合ソングチャートでの首位獲得に寄与したといえるでしょう。

 

一方で、次週は急落する可能性が否定できません。デジタル、特に接触指標であるストリーミングが強い曲はライト層の支持を受けロングヒットする傾向にあるのですが、Hey! Say! JUMP「UMP」はそもそもデジタル未解禁につきストリーミング指標を獲得することはほぼできません(動画がオーディオストリーミングで多く聴かれた場合はストリーミング指標300位以内に入る可能性もありますが、今はほぼない状況です)。

最新10月2日公開分ソングチャートのトップ10をみると、Hey! Say! JUMP「UMP」以外はすべてストリーミング指標20位以内に入っていることが解ります(上記CHART insightにてストリーミング指標は青で表示)。また総合2~10位にランクインした曲ではチャートイン期間が最も短いMrs. GREEN APPLE「familie」でも2ヶ月であり、ロングヒット曲が強い状況です。

ロングヒットに至るためにはストリーミング指標が欠かせず、サブスク解禁は必須といえるのです。

 

Hey! Say! JUMPの前フィジカルシングルで、山田涼介さんが出演したドラマ『王様に捧ぐ薬指』(2023 TBS)主題歌の「DEAR MY LOVER」は、昨秋Hey! Say! JUMPによる初のデジタル作品『P.U!』に既発曲として唯一収録され、解禁効果でチャートを再浮上しています。仮にフィジカルリリースまでにデジタルを解禁していれば、昨年度のSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手作品を代表するヒットになったことは間違いありません。

しかしながらHey! Say! JUMPは、その後デジタルに明るくなってはいません。『P.U!』はあくまでも『PULL UP!』の一部をデジタルで訴求した、言い換えれば『PULL UP!』のフィジカルを手に取ってもらうための施策と捉えてもいいでしょう。この姿勢が、最新曲「UMP」でも踏襲されたというのが自分の見方です。

 

 

無論、Hey! Say! JUMP「UMP」が次週もフィジカルを維持して総合上位にとどまる可能性はゼロではありません。ただしフィジカルセールス指標加算2週目においてより重要なのは他指標の動向です。以前紹介した(特にアイドルやダンスボーカルグループにおける)"ヒットの7段階"にて、少なくとも第3段階以降に突入できるかを次週見極める必要がありますが、そのためにはデジタル解禁が必須であることは間違いありません。