イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『ミュージックステーション』における曲の短尺化の理由とは、そしてフルバージョンにこだわる『CDTVライブ!ライブ!』で行ってほしいこと

この春からはじまった『CDTVライブ!ライブ!』(TBS 月曜22時)が基本的にフルバージョンでのOAに徹することで、長年夜の音楽番組を牽引してきた『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)のショートバージョン化が悪い意味で際立ってしまったと思うのです。だからこそ。

一昨日の『ミュージックステーション』に出演予定だった三浦春馬さんの「Night Diver」、そのミュージックビデオを初公開する場だったため尚更違和感を覚えました。曲の素晴らしさ等については昨日のブログエントリーにて紹介しています。

 

このミュージックビデオの件も含め、一昨日番組で披露された曲をみると『ミュージックステーション』の立ち位置が解ると思うのです。そこで今年リリースされた曲の披露時の尺をまとめてみました。左が披露時のおおよその尺、右が実際の尺であり、不明については[?]で表示しています。

Sexy Zone「RUN」 2:32 / ?

・ToshI「BE ALL RIGHT」 2:44 / 4:12

ラストアイドル「愛を知る」 2:30 / 4:12

GENERATIONS from EXILE TRIBE「You & I」2:18 / 3:31

乃木坂46「Route 246」2:29 / 3:52

HYDE「BELIEVING IN MYSELF」2:24 / 3:48

・嵐「IN THE SUMMER」 3:26 / 4:48

・TUBE「日本の夏からこんにちは」1:57 / 2:50

SixTONES「NAVIGATOR」2:57/?

・嵐「カイト」4:32 / 4:35

Official髭男dism「HELLO」4:40 / 4:40

・瑛人「香水」3:50 / 4:12

いきものがかり「きらきらにひかる」3:05 / ?

三浦春馬「Night Diver」(ミュージックビデオ) 2:18 / 3:23

 

※「RUN」「きらきらにひかる」は発売前、「NAVIGATOR」は発売されながら未配信且つ手元に音源がないため尺は不明。「カイト」はNHKYouTube公式アカウントにアップされた動画を参照。

フルバージョンで披露されたのは「カイト」と「HELLO」の2曲のみであり、嵐や乃木坂46による今週発表の新曲も短尺であることに驚かされます。瑛人さんの下記ツイートは一昨日を踏まえてのものなのです。

他にも、ToshIさんが披露したYOASOBI「夜に駆ける」のカバーの尺がオリジナル(4分21秒)の半分にあたる2分16秒。最後のサビ前のいわゆる大サビまで割愛していたため、曲の魅力がかなり薄れたのではないでしょうか。

 

ミュージックステーション』については、ひとつの視点に基づく過去曲のランキング紹介等に時間を割き、新曲への配慮が足りないという声を耳にすることがあります。仮に一昨日放送回でそのランキング等の尺を幾分削ったならば、大半の曲をフルバージョンにて紹介できたはずです。「Night Diver」においては翌日のYouTube公開時にアクセス数を伸ばすべく敢えて短尺化したのかもしれませんが、それは邪推の域を越えません。

ただ、『ミュージックステーション』が最新曲をフルバージョンで披露させるのを躊躇う理由は視聴率にあると考えます。コロナ禍から通常シフトに戻りはじめた6月から7月12日までの視聴率をみると、『ミュージックステーション』は6回の放送の平均が6.65%なのに対し、『CDTVライブ!ライブ!』は3回の平均が5.0%(平均視聴率はビデオリサーチ調べ 関東地区)。時間帯が異なるため単純比較は難しいでしょうが、それでもこの差をみるに、視聴率にこだわるならば最新曲を短尺化してでも多くの方が楽しめ数字を確保できる企画を前面に出したいという気持ちになるのは解らなくありません。そして、視聴率が芳しくない『CDTVライブ!ライブ!』が近いうちに演出面でテコ入れされるのではと危惧する自分がいます。

 

番組のこだわりや意義、もしくは質の高さよりも数字が圧倒的な評価基準であろう地上波テレビ番組においては、レコード会社を中心とした固定スポンサーを導入して収入面を安定させたり、テレビ局が局全体としての視聴率を確保し音楽番組を保護することも重要でしょう。そして個人的に必要だと思うのは、『CDTVライブ!ライブ!』でのパフォーマンス映像を歌手のYouTubeアカウントにて公式に発信すること。海外ではトーク番組や音楽賞でのパフォーマンス映像が後にYouTubeで発信されています。

音楽番組にとってはプロが撮影した素晴らしい映像を後々まで残すことができ且つ番組への評価につながる、歌手側はそのパフォーマンスの素晴らしさを伝えられ且つチャート効果も期待できると考えれば、非常に意味のあることだと思うのです。その上でこのYouTubeへのアップロードはフルバージョンでなければできないことでもあります。権利関係をクリアさせることは容易ではないとしても、是非検討してほしいというのが願いです。