イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

年末音楽特番のラインナップから地上波メディアや披露曲の傾向を読み解く (12月30日版)

12月22日のブログエントリーにて、年末音楽特番の出演歌手および披露曲の一覧表を掲載し、出演傾向について私見を記載しました。

そこから数日が経過し、さらに様々な発表が行われています。今回は最新版の一覧表を掲載し、あらためて私見を述べていきます。

 

今回採り上げる音楽特番は、『ベストヒット歌謡祭』(読売テレビ / 日本テレビ)、『ベストアーティスト』(日本テレビ)、『FNS歌謡祭 (第1夜および第2夜)』(フジテレビ)、『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)、そして『CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2021→2022』(TBS)となります。

掲載表においては、ディズニーやミュージカル等企画の詳細は含まず、一方でメドレーについては全曲掲載しています。また『輝く!日本レコード大賞』(TBS)や『ジャニーズカウントダウン2021→2022』(フジテレビ)は後日追加し、掲載する予定です。音楽番組については、ゴールデンタイムに放送される番組を主体に取り上げていますが、大晦日はその限りではありません。

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参考として、2021年度のビルボードジャパン年間チャートの総括エントリーはこちら。

 

12月22日付のブログエントリーでは、主に紅白においてビルボードジャパン年間チャートを賑わせた曲(優里さん、Adoさん等)やK-Popの不在を疑問視し、また全体の傾向として男性ダンスボーカルグループやTikTok発ヒットに光が当たっていないということを記しました。

その後、『NHK紅白歌合戦』では複数の歌手が追加出演するとアナウンスしていますが、藤井風さんの出演はとりわけ大きいと考えます。

音楽番組生出演は初だと記憶しています。また披露する「きらり」は2021年度ビルボードジャパン年間ソングスチャート19位を記録するヒットに。CMソングとしての高い露出度等も踏まえれば、その出演に納得される方は非常に多いはずです。

 

また、「なないろ」で紅白出場を果たすBUMP OF CHICKENが、メドレーのもう一曲に「天体観測」(2001)を用意したことも注目すべき動向です。

2019年6月にBUMP OF CHICKENはサブスクを解禁していますが、その後ビルボードジャパンソングスチャートにおいては「天体観測」がストリーミング指標でほぼ毎週300位以内に入っています。カラオケも強いことから、ともすれば紅白を機に再爆発する可能性がCHART insight(→こちら)から見て取れます。

永く愛されてきた曲は、サブスク興隆に伴ってより永く愛されるようになります。2000年代の人気曲においては、Mr.ChildrenHANABI」やMONGOL800「小さな恋のうた」のようにストリーミング再生回数1億回を超える曲が今後も出てくるでしょう。

サブスク興隆は昨日紹介したようにクリスマスソングも押し上げていますが(昨日のブログエントリーはこちら)、これらはデジタルアーカイブを徹底して用意しているからこそ為せる業。「天体観測」の環境を踏まえれば、紅白を機に伸びる可能性は十分と考えます。

 

一方で、昨年のYOASOBI「夜に駆ける」や瑛人「香水」のような、同年ブレイクしビルボードジャパン年間ソングスチャートでトップ10入りを果たした新鋭の作品、特に優里「ドライフラワー」およびAdo「うっせぇわ」の名が今年の紅白にはありません。昨年は12月30日に玉置浩二さんの出演が追加発表されましたが今年はこれ以上の追加は厳しいのではと想像するに、昨年この記事を執筆した身として至極残念に思います。

 

 

男性ダンスボーカルグループやTikTok発ヒットについては、『CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2021→2022』が光を当てていると感じています。

音楽ナタリーのタイトルでは他の年末音楽特番よりも出演者が少ないジャニーズ事務所所属歌手を最初に紹介していますが、しかしながらより重要と考えるのは他事務所の男性ダンスボーカルグループでしょう。JO1やその後輩に当たるINI、さらにINIと同日フィジカルデビューを果たしたBE:FIRST、そしてストリーミングで大ヒットを飛ばした「CITRUS」を歌うDa-iCEも登場します。

さらにはTikTok初のヒットとしてMAISONdes feat. 和ぬか、asmi「ヨワネハキ」、なかねかな「モテすぎて草、誘ってて森」をはじめ、韓国でもバズを生んだ超ときめき♡宣伝部「すきっ!~超ver~」(音楽ナタリーの記事はこちら)、TikTokerであり来年メジャーデビューが決定しているあかせあかりさん等も出演します(あかせあかりさんについて取り上げたビルボードジャパンの記事はこちら)。

CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2021→2022』が男性ダンスボーカルグループやTikTok発のヒットをきちんと紹介する姿勢が、関連番組でありゴールデンタイムに放送される『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)、あるいは『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に波及することを願ってやみません。

 

 

最後に、関心した選曲について。

King Gnu「逆夢」は、大ヒット中の映画『劇場版呪術廻戦0』エンディング曲として、映画公開日に配信され、且つ同日放送の『ミュージックステーション』で初めてパフォーマンスを披露しています。すべての解禁を同日とすることのインパクトは大きく、「逆夢」は最新12月28日付の日本におけるSpotifyデイリーチャートにおいて4位に到達、また「一途」はクリスマスが明けて以降首位をキープしている状況です。

 

そしてYOASOBI」は、12月にリリースされた2枚目のEP『THE BOOK 2』収録曲をすべての番組で披露することを自らのTwitterアカウントにて明らかに。しかも上記ツイートは固定されています。

今年の「NHK紅白歌合戦」にも出ますけど、確か「怪物」ってまだテレビでパフォーマンスしてないんですよ。もしこの曲が披露されたらまた年明けにチャートで伸びるだろうなと思っています。

上記は音楽ナタリーが企画してくださった座談会にて自分が述べた内容ですが、「怪物」は結果的に『輝く!日本レコード大賞』で披露される形となりました。この座談会ではどの番組でどの曲を披露するかが重要だという話題が挙がったのですが、YOASOBIはその点を間違いなく意識していると言えるでしょう。それが最終的に、今回の収録曲全曲披露達成に至るわけです。

このブログではEP『THE BOOK』の収録曲の動向を踏まえ、YOASOBIの作品を”全てリード曲”と形容しましたが、歌手側がその意識を強く持ち合わせ、形にしたと言えます。メディアの協力も勿論大きいのですが、YOASOBIが(フィジカル以上に)デジタルに長け、そしてデジタルのヒットが社会的ヒットとイコールであるという認識を各メディアが持ち合わせていることが、偉業達成の背景にあるのではないでしょうか。