イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2025年年末の地上波長時間音楽特番から、出演歌手傾向およびテレビ局の動向を読む (最終版)

昨年11月以降に放送された地上波長時間音楽特番の出演者傾向を分析します。このエントリーは先月掲載分の"最終版"となるものです。

一昨年末、および昨年夏の結果に関しては下記エントリーをご参照ください。

 

 

<2025年年末の地上波長時間音楽特番 その傾向について>

 

 

対象番組一覧、および各番組の特徴

対象は以下の12番組となります。リンク先は番組ホームページおよび音楽ナタリー掲載の記事となり、後者においてタイムテーブルが掲載されている場合はその記事を紹介した音楽ナタリーによるポストを貼付しています。

 

<2025年年末の地上波長時間音楽特番 対象番組一覧>

 

・11月13日放送 読売テレビ/日本テレビベストヒット歌謡祭2025』

 

・11月29日放送 日本テレビ『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2025』

 

・12月3日放送 フジテレビ『2025FNS歌謡祭 DAY1』

 

・12月10日放送 フジテレビ『2025FNS歌謡祭 DAY2』

(番組ホームページは上記と同じ)

 

・12月15日放送 TBS『CDTVライブ!ライブ! クリスマスLOVE SONG Fes.』

 

・12月22日放送 TBS『CDTVライブ!ライブ! クリスマス年間ランキング Fes.』

(番組ホームページは上記と同じ)

 

・12月26日放送 テレビ朝日ミュージックステーション SUPER LIVE 2025』

 

・12月29日放送 日本テレビ『発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード2025~』

 

・12月30日 TBS『第67回 輝く!日本レコード大賞

 

・12月31日 テレビ東京『第58回年忘れにっぽんの歌

(音楽ナタリーに番組関連記事はありません)

 

・12月31日 NHK総合『第76回NHK紅白歌合戦

 

・12月31日放送 TBS『CDTVライブ!ライブ! 年越しカウントダウン Fes.』

(番組ホームページは先述した通り)

 

各番組について簡単におさらいします。

 

ベストヒット歌謡祭2025』は所属事務所の枠を超えたアイドルのコラボレーションが複数用意。また『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2025』ではSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手によるシャッフルメドレーが用意されています。一方で、一部地域でのみ放送される時間帯に2025年発売曲が複数登場。ヒットしたアイナ・ジ・エンド「革命道中」やバズを起こしたM!LK「イイじゃん」もこの時間の披露となります。

『2025FNS歌謡祭』では新旧の楽曲がバランスよく配置されているようにも見える一方、私見と前置きするならば2025年リリース曲の割合が高くないという印象を抱きます。また過去曲においてはカバーにて対応する傾向が強いといえます。

3回に渡って放送された『CDTVライブ!ライブ!』においては、12月15日放送回にて星野源さんのプラチナライブを開催、12月22日放送回ではCDTV年間オリジナルランキングを発表しています。なおそのオリジナルランキングについては下記エントリーにて、複合指標から成る他のチャート/ランキングと比較しています。

 

ミュージックステーション SUPER LIVE 2025』は全曲生パフォーマンスであることを訴求し、2025年リリース曲、もしくはそれ以前のリリースであっても2025年にヒットした曲が多くを占めています。またアイドル曲カバーにおいては女性歌手が事務所枠を超えた形でコラボレーションした一方、男性歌手においてはSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手同士のタッグという形となります。

『発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード2025~』についてはチャート発表方式である一方、年間チャートにランクインしなかった歌手の登場も少なくなかったといえます。なおこの番組ではSpotifyの年間チャートを紹介していますが、同チャートは12月はじめの段階で既に発表されています。

 

『第67回 輝く!日本レコード大賞』および『第76回NHK紅白歌合戦』(以下"紅白"と表記)については、その内容について放送翌日に公開したエントリーでまとめています。

紅白においては他の番組と出場歌手傾向が大きく異なります。演歌歌謡曲ジャンルの歌手、大御所歌手そして米津玄師さんやちゃんみなさんが登場。地上波長時間音楽特番の中ではあらゆる世代に対し最も強くアプローチしていると捉えていいでしょう。

<2025年度末地上波長時間音楽特番 『NHK紅白歌合戦』のみの出演歌手>

 岩崎宏美

 aespa

 久保田利伸

 サカナクション

 高橋真梨子

 玉置浩二

 ちゃんみな

 ハンバート ハンバート

 稲葉浩志 (B'z)

 布施明

 松田聖子

 松任谷由実

 MISIA

 矢沢永吉

 米津玄師

 

紅白と同日放送の『第58回年忘れにっぽんの歌』は演歌歌謡曲が主体に。一方でブログエントリー執筆段階でもTVer見逃し配信は行われていません。これは『ミュージックステーション SUPER LIVE 2025』でも同様ですが、『ミュージックステーション』では通常回でも見逃し配信を未だ実施していないという状況です。またテレビ東京では2024年11月に『テレ東音楽祭』が放送されましたが、今季は放送がありませんでした。

 

どの地上波長時間音楽特番においてもそれぞれの番組らしい特徴がみられる一方、たとえば昔の曲を(時には当時のVTRを流す形で)多用し、2025年のリリース作品より優先するという姿勢が少なくないとも感じています。テレビパフォーマンスがチャート動向に反映されることを踏まえれば、番組制作側が保守的になるのではなく"自分たちがヒットの流れを作る"と考え、動くことがより好いのではと感じた次第です。

なおこの傾向は、あらゆる世代へのアプローチに長けた紅白においても同様と考えます。2025年ヒットしたアイドル曲を不自然といえるほどに短尺化したこと等への違和感は、昨日付エントリーでも記したとおりです。

 

 

出演番組一覧表

それでは、出演歌手一覧表を以下に掲載します。なお、番組にソロで出演しながらグループでの出演がない場合は"ソロ名義 (グループ)"と記載。また『FNS歌謡祭』でのミュージカル企画については歌手を一括りにして掲載しますが、それ以外は基本的に分けてクレジットしています。また『NHK紅白歌合戦』においてオープニングメドレーや『あんぱん』スペシャルステージのみに参加した歌手についてはカウントに含めていません。

 

<2025年度末地上波長時間音楽特番 出演本数上位歌手>

 

・10番組

 HANA

 

・9番組

 BE:FIRST

 

・8番組

 Da-iCE

 超ときめき♡宣伝部

 乃木坂46

 FRUITS ZIPPER

 

・7番組

 アイナ・ジ・エンド

 =LOVE

 Mrs. GREEN APPLE

 M!LK

 

・6番組

 Ado

 幾田りら

 ORANGE RANGE

 CANDY TUNE

 CUTIE STREET

 King & Prince

 Number_i

 

出演歌手の傾向

2024年末、そして2025年夏の地上波長時間音楽特番にて最多出演を果たしたMrs. GREEN APPLEは、今回7番組の出演となり最多ではなくなりました。それでもNHKおよび民放4局の特番に登場、また紅白ではオープニングメドレーの一組目ならびに白組のトリを飾ったのみならず、大森元貴さんは『あんぱん』スペシャルステージにて「見上げてごらん夜の星を」をカバーし、その存在感を発揮しています。

そのMrs. GREEN APPLEが大賞を受賞した『日本レコード大賞』にて最優秀新人賞を獲得したHANAが、地上波長時間音楽特番で最多10番組に出演。『FNS歌謡祭』2本のうちの1本、そして『年忘れにっぽんの歌』を除くという形ゆえ、J-POP関連番組をすべて網羅したといっても過言ではないでしょう。さらにBE:FIRSTが9番組出演で2位を記録しています。「ROSE」「Blue Jeans」「夢中」等のヒットが大きく貢献したという印象です。

 

BMSGの強さが際立ったともいえますが、それ以上にストリーミングヒット、そしてそこにつながるネットのバズの重要性が、今回の出演歌手傾向からみえてきます。KAWAII LAB.の3組(FRUITS ZIPPER、CANDY TUNEおよびCUTIE STREET)、=LOVE、超ときめき♡宣伝部さらにM!LKの上位進出は、昨年同時期の傾向とは大きく異なります。ここからは、アイドル/ダンスボーカルグループにおける勢力図の変化が十分に感じられます。

なお2025年にストリーミングヒットを輩出したSnow Manやtimelesz等が所属するSTARTO ENTERTAINMENTでは、(エージェント契約の)King & Princeが6番組で最多に。この点については紅白出場やニューアルバムリリースの影響も考えられます。なおSTARTO ENTERTAINMENTはカウントダウンコンサートを開催していますが、その中継が地上波でなかったこともあり、今回の番組一覧には含めていません。

 

おわりに:紅白パフォーマンス映像"フルバージョン"公開から考える

昨年大晦日のエントリーにて、2025年の音楽業界における注目点として記した内容の答え合わせを行いましたが、そのひとつである『テレビパフォーマンス動画は歌手側に貸与されるか』という点については悪い意味で変わらなかったと捉えています。ただし昨年の紅白についてはここ数年と同様、短尺版ながらパフォーマンス映像をYouTubeSNSで公開することを徹底しています。

 

その中にあって、米津玄師「IRIS OUT」の紅白パフォーマンス映像はフルバージョンで公開されています。それも米津さん側はYouTubeが昨秋新たに用意したコラボレーション投稿機能をきちんと活用。また今朝までに、星野源「創造」においても同種の公開を行っていることを確認しています(「IRIS OUT」「創造」共に歌手側の公式YouTubeチャンネルとNHK MUSIC公式YouTubeチャンネルとのコラボレーションとなります)。

音楽番組でのパフォーマンスは音楽チャートの上昇に寄与します。話題性や人気の高い、また視聴者数が多い番組ほどその傾向が強く、たとえば直近(2025年12月31日付)の日本のSpotifyデイリーチャートではその傾向が既に可視化されています。

映像の貸与については条件の厳しさ、特に安価ではないだろうことがネックになっているかもしれませんが、米津玄師さんや星野源YouTubeの新たな機能も活用しつつ公開する形を採っています。この点に注目すると共に、より多くの方がこの動きをなぞること、さらにはメディア側が貸与条件を緩和する等により歌手側に協力する体制を作ることを願います。見逃し配信の実施は、その最低限の条件といえるでしょう。