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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

MUSIC AWARDS JAPAN 2026、主な受賞作品や受賞歌手のその後のチャート動向を確認する

最新6月24日公開分のビルボードジャパン各種チャートは6月15~21日が集計期間となり、6月13日に開催されたMUSIC AWARDS JAPAN 2026の影響がみられます。今回は主要チャートにおける動向を追いかけます。

MUSIC AWARDS JAPAN 2026の受賞作品および歌手はこちらで確認可能です。

 

 

まずは以前紹介した、SpotifyにおけるMUSIC AWARDS JAPAN 2026受賞効果(再生回数の上昇)についての記事に対する問題提起を記したエントリーを再掲します。このデータは昨日になって音楽ナタリーも記事化していますが(「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」授賞式の前後で、最も再生数が伸びたアーティストは誰か(6月25日付)参照)、Spotifyには下記エントリーを踏まえて再考してほしいと願います。

一方、ビルボードジャパンは以下のデータを発信しています。

6月13日に開催された【MUSIC AWARDS JAPAN 2026】の授賞式を受け、最優秀賞を受賞した楽曲の国内外のストリーミング数が増加したことがわかった(ルミネイト調べ)。

調査は全部門が発表された翌日の6月14日と、その1週間前(6月7日)のストリーミング数を比較。ビデオとオーディオの合算値をもとに分析した結果、楽曲部門で最優秀賞を受賞した27曲のうち、国内再生は26曲(96.3%)が前週のストリーミング数を上回った。これは昨年の77.8%を大きく上回る数字で、国内における本アワードへの注目度の高まりを示す結果となった。

米ビルボードにもデータを提供するルミネイトの調査では受賞式翌日の日曜と前週同曜日のデータとを比較しており、Spotifyよりも信頼できるといえます。一方で受賞曲の国内市場での伸び率は前年の77.8%から96.3%に増加していますが、昨年はGrand Ceremonyが木曜開催であり翌日の金曜は平日の中で最も再生回数が下がる傾向にあるため、この伸び率の比較は好ましくないというのが私見です。

 

ルミネイトの調査はMUSIC AWARDS JAPAN 2026開催翌日という直近の動向を分析したものとなります。注目の音楽番組やイベント、特に『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)ではダウンロードが放送直後に上昇、そしてストリーミングは1週間程度効果が持続する傾向にあるものと考えるに、より長いスパンで調べる必要があります。

(なお上記記事では、『ビルボードジャパンでは後日、海外でのアワード効果についてさらに詳しく分析した記事を公開予定だ』と締めくくられています。)

そこで、ビルボードジャパンによる受賞式開催2日後を集計期間初日とする主要チャートのデータを確認します。

 

 

まずは6月24日公開分ビルボードジャパンソングチャートを確認します。下記は毎週土曜掲載のエントリーにて貼付するストリーミング表よりMUSIC AWARDS JAPAN 2026の受賞曲やパフォーマンス披露曲、且つポイントが可視化される総合50位以内に登場した作品を抜粋した内容となります。

またストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでは、記事にて次のように紹介されています。

前週より再生数を10%以上伸ばした楽曲では、前週時点で【MUSIC AWARDS JAPAN 2026】や大型ライブの影響がみられていたサカナクション「怪獣」(11位/前週比約113.4%)、アイナ・ジ・エンド「革命道中 - On The Way」(26位/前週比約110.4%)、藤井 風「きらり」(57位/前週比約111.2%)、back number「幸せ」(65位/前週比約117.4%)が当週も勢いを継続。

 

上記ストリーミング表掲載曲のすべてでストリーミング再生回数の前週比が判明しているわけではありませんが、判明曲はすべて再生回数が前週超えを果たしていることが解ります。それが総合チャートにおけるポイント維持、またはダウンしてもその下落幅を抑えていることにつながっていますが、MUSIC AWARDS JAPAN 2026にて最優秀楽曲賞を受賞したサカナクション「怪獣」は伸び方が顕著といえます。

一方で同曲は既にリカレントルールが適用されています。総合100位以内に52週以上在籍した曲についてはその翌週以降、Streaming Songsチャートをストリーミング指標に落とし込む際に減算処理が適用されるという昨年度下半期初週に始まったルールによって、サカナクション「怪獣」およびMrs. GREEN APPLE「ダーリン」は総合順位が高くありません。それでも「怪獣」は総合30→23位と推移し、受賞効果が見て取れます。

 

6月24日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートでは、最優秀ニュー・アーティスト賞を受賞したHANAのファーストアルバム『HANA』にまずは注目。作品自体は(音楽賞が開催されるならば)来年の最優秀アルバム賞におけるエントリー対象となりますが、「ROSE」や「Blue Jeans」等を収めたこの作品は所有指標が伸びていることを、ビルボードジャパンが記事にて提示しています。

BTS『ARIRANG』が前週と大きく変わらないポイントで2位を維持する中、HANA『HANA』はCDセールス数が前週比114%、ダウンロード数が前週比118%で前週5位から当週3位に上昇した。HANAは【MUSIC AWARDS JAPAN 2026】で最優秀ニュー・アーティスト賞を受賞したばかりだ。

 

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

また最優秀アルバム賞を獲得した藤井風『Prema』は総合43→21位へ上昇。先述したリカレントルールはアルバムチャートでもソングチャートと同時に採用され、総合100位以内に26週以上在籍した作品はその翌週以降、Streaming Albumsチャート(非公表)をストリーミング指標に落とし込む際に減算処理が適用されます。既にルールが適用された『Prema』ですが、ストリーミング指標(青で表示)は当週46→23位と推移しています。

先述したルミネイトのデータではアルバムタイトル曲が国内でストリーミング再生回数を最も増やしたと紹介されており、アルバム全体でも同様に推移したと考えられます。

 

ソングチャートとアルバムチャートを合算した6月24日公開分ビルボードジャパントップアーティストチャートの推移も確認します。こちらは主要6部門を受賞した歌手、また主要部門は逃しながらも「IRIS OUT」が計5部門を受賞した米津玄師さんについても紹介します。

<6月24日公開分ビルボードジャパントップアーティストチャート

 MUSIC AWARDS JAPAN 2026主要部門受賞歌手および米津玄師のCHART insight>

 

・Mrs. GREEN APPLE (2→4位)

・米津玄師 (11→5位)

・HANA(6→7位)

・サカナクション (7→9位)

・藤井風 (22→13位)

・HUNTR/X (イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ) (52→57位)

・XG (100位未満→100位未満)

米津玄師さんの上昇は、新曲「烏」のソングチャート首位初登場も影響。また『ND5』がアルバムチャートで首位を獲得したなにわ男子がトップアーティストチャートも制しています。ゆえにそれら歌手に押し出されたともいえますが、MUSIC AWARDS JAPAN 2026主要部門受賞歌手の過半数が順位を落としています。作品単位では受賞効果が表れても、他の作品を含む歌手全体ではそこまでではなかったのかもしれません。

 

 

もうひとつ。ビルボードジャパンによる6月25日公開分のGlobal Japan Songs Excl. Japanについて紹介します。集計期間はMUSIC AWARDS JAPAN 2026の開催前後となる6月12~18日となります。

Global Japan Songs Excl. Japanは、米ビルボードによるグローバルソングチャートのうち世界200以上の国や地域による主要デジタルプラットフォーム(現時点でYouTubeは除く)でのストリーミングおよびダウンロードから成るGlobal 200をベースに、日本市場分を除いた上で日本の楽曲のみを抽出したものとなります。ゆえに集計期間はGlobal 200に倣い、金曜が開始日となります。

世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した“Global Japan Songs Excl. Japan”。今週はimase「NIGHT DANCER」が首位を獲得した(集計期間:2026年6月12日~6月18日)。

imase「NIGHT DANCER」は、2022年8月にリリースされた楽曲。ショート動画をきっかけにグローバルで人気を集め、当チャートのローンチ第1週目(2023/9/14公開チャート)では2位に初登場した。TVアニメ『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』ABEMA限定先行配信版のエンディング・テーマに起用されたことで再注目され、今週のオーディオとビデオを合算したストリーミング数は321万回を記録。チャートイン146週目にしてついに自身初の首位に輝いた。

(中略)

さらに、6月13日に開催された【MUSIC AWARDS JAPAN 2026】で<最優秀楽曲賞>などを受賞したサカナクション「怪獣」が前週比124%を記録。同アワードの授賞式に出演した藤井 風の楽曲も上昇傾向を見せており、「まつり」「花」「ガーデン」が前週比109%を記録した。

 

サカナクション「怪獣」は上昇していると紹介されながらも、トップ20内にはランクインしていません。また当週はimase「NIGHT DANCER」が初の首位を獲得していますが、再生回数は321万回となっており高いとは言い難いというのが厳しくも私見です。

上記グラフはグローバルチャートにおける日本の楽曲動向から、日本の音楽が世界に拡がるためにどうすべきかを考える(6月3日付)にて掲載した内容の最新版となりますが、Global Japan Songs Excl. Japan首位曲のストリーミング再生回数は高くない状況が続いています。このエントリーでも述べたようにYouTubeがデータ提供を取り止めたことも、日本の音楽全体にとって大きな打撃となっています。

(放送・配信予定 | MUSIC AWARDS JAPANより。来年開催される際にその内容が変更される可能性を踏まえ、キャプチャしたものを掲載しています。)

MUSIC AWARDS JAPAN 2026はYouTubeで世界に向けて生配信されており、そのYouTubeで受賞作品をチェックした海外在住者は少なくないでしょう。以前から申し上げているように、日本の音楽業界にはYouTubeの米ビルボードへのデータ提供を再開させるべく、YouTubeと米ビルボードの仲介役を担ってほしいと強く願います。

 

 

最後に。ビルボードジャパンによるルミネイトの記事ではMUSIC AWARDS JAPAN 2026受賞曲の、個別でのストリーミング再生回数上昇率が記載されていません。

一方で、今年の米グラミー賞を受賞、またノミネートされた曲の受賞式前後における動向が2月14日付米ビルボードソングチャートの記事に掲載されています(上記エントリー参照)。最優秀アルバム賞を獲得したバッド・バニーによる「DtMF」はストリーミングが前週から177%急増、最優秀新人賞を受賞したオリヴィア・ディーン「Man I Need」は前週比30%アップ、そして最優秀新人賞にノミネートされたアレックス・ウォーレン「Ordinary」はストリーミングが前週比23%アップを記録しています。

グラミー賞を集計期間に含む米での受賞式前後におけるストリーミング増加率は、(ビルボードジャパンによる6月24日公開分の各種チャートがMUSIC AWARDS JAPAN 2026終了2日後以降を集計期間とするため単純比較はできないながらも)日本のそれを大きく上回っています。YouTubeがデータを提供していない状況でも高い上昇率を記録した米の動向から、日本でサブスクをもっと普及し活用してもらう必要性を実感した次第です。