イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

コーチェラ出演を機にジャスティン・ビーバーが日本でもヒット、一方で未加点の指標が存在することについて

コーチェラ・フェスティバルのヘッドライナーを機にジャスティン・ビーバーの新旧作品がヒットしていることについては、米ビルボードによる米やグローバルのソングチャートからみえてきます。そしてその影響は米にとどまらず、日本でもみられています。

米ビルボードによる最新5月9日付グローバルチャート(Global 200、およびGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.の双方)を制したジャスティン・ビーバー feat. ニッキー・ミナージュ「Beauty And A Beat」は、ビルボードジャパンによるソングチャートでも2週連続で100位以内に登場。一方でこの2週のCHART insightをみると、気になる点が浮かんできます。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

 

 

ジャスティン・ビーバーはビルボードジャパンによる最新5月6日公開分のアルバムチャートでも、100位以内に5作品を送り込んでいます。牽引しているのはいずれもストリーミング指標(CHART insightでは青で表示)であり、『Swag』は総合34位/ストリーミング指標28位、『Believe』は36位/29位、『Swag II』は59位/53位、『My Worlds』は67位/60位、そして『Justice』は86位/82位を記録しています。

そしてビルボードジャパンによるソング/アルバムチャートを合算したトップアーティストチャートでは、ジャスティン・ビーバーが2週前に100位未満から23位へ急伸し、その後18→25位と推移しています。CHART insightをみるとストリーミングが牽引し、コーチェラ・フェスティバルの評判もあってかラジオ(黄緑)も大きく反応しているのですが、動画再生指標(赤)がこの3週カウントされていないことが気になるのです。

最新5月6日公開分ビルボードジャパントップアーティストチャートにおける上位10組の6指標構成を示したCHART insightからは、ストリーミングと動画再生という接触指標群が比例傾向にあることが解ります。一方でジャスティン・ビーバーは当週ストリーミング17位ながら、動画再生は300位未満となり加点されていません。ストリーミング20位までに登場した歌手で動画再生が100位に達していないのは、ジャスティンのみです。

 

 

実はこの現象、2026年度のビルボードジャパン週間アルバムチャートでストリーミング指標20位以内に入った作品(サウンドトラックを除く)を輩出した洋楽歌手(K-POP除く)でも散見されます。トップアーティストチャートのCHART insightをみると、テイラー・スウィフト、レディー・ガガ、バッド・バニーそしてイェーもまた、今年度に入り動画再生指標が加点されていません。

(テイラー・スウィフトのCHART insightは5月6日公開分が最終表示)

(レディー・ガガのCHART insightは4月15日公開分が最終表示)

(バッド・バニーのCHART insightは4月15日公開分が最終表示)

(イェーのCHART insightは4月29日公開分が最終表示)

一方で、日本でも高い人気を誇るブルーノ・マーズは、ニューアルバム『The Romantic』および先行曲「I Just Might」のリリースに伴い動画再生指標が通算3週に渡り加点されています。それでもストリーミング指標の常時ランクインとは大きく異なります。

(ブルーノ・マーズのCHART insightは5月6日公開分が最終表示)

 

 

日本のレコード会社が動画に関する施策を行っていないわけではありません。たとえばジャスティン・ビーバーについては先週、このようなYouTube番組を配信。また代表曲のひとつである「Sorry」については日本語訳の字幕を付けた公式動画を別途用意しています。後者の動画はジャスティン・ビーバーの公式チャンネルから発信されていますが、概要欄からユニバーサルミュージックによる投稿であることが想起可能です。

それでも洋楽の動画再生指標が上がらないとなれば、根本的な見直しが必要ではと考えます。たとえば上記動画においては曲名がカタカナ表記になっていますが、このような旧来からの慣習はストリーミング時代、海外の作品に気軽に触れられる現代に合っていないのではと感じています。この点は最近になって、(別の作品に対してですが)音楽評論家の林剛さんも採り上げています。

また、日本語訳の字幕を付けたミュージックビデオを別途用意するよりもオリジナル動画の字幕設定変更にて日本語を選択してもらうよう促すことで、オリジナル動画の視聴につなげるのが好いかもしれません。実際、「Sorry」のオリジナル動画では日本語での字幕設定が可能です。

外国語に慣れさせる、海外歌手のオリジナル動画に接触する習慣を身につけさせることは、海外の作品に触れやすくなった現代にあってそこまで難しいことではないと捉えています。なおYouTubeで"ジャスティン・ビーバー ソーリー"と検索すると、オリジナル動画が日本語訳の字幕を付けた動画に先駆けて登場します。

 

 

さて、2026年度のビルボードジャパンアルバムチャートにおいてストリーミング指標20位以内に入った作品を輩出した歌手の中で、トップアーティストチャートにおける動画再生指標が唯一大きく伸びたのがマライア・キャリーです。

(マライア・キャリーのCHART insightは2月11日公開分が最終表示)

マライア・キャリーは「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」、および同曲を収録した『Merry Christmas』がクリスマスにかけて上昇。そのタイミングで、ストリーミングと比例する形にて動画再生指標も上昇しています。

米では旧来のクリスマス定番曲に新たなミュージックビデオを用意する、ミュージックビデオが存在する曲についてはその高解像度版を用意するという傾向が、2020年前後に散見されました。これは音楽チャート施策ともいえますが、クリスマス定番曲をプレイリスト化し流すというパーティーや店舗向けにも有効に作用したと捉えています。日本においてもプレイリスト化して流したところは存在するかもしれません。

この点を踏まえ、最新曲や話題曲、また現在ヒットしている洋楽の公式動画をプレイリスト化し、レコード会社の枠を超えて用意するのも好いのではと考えた次第です。日本での洋楽ヒットが減少している以上尚の事、レコード会社のつながりは必要ではないでしょうか。

 

 

今回の提案が洋楽動画の視聴増加にはつながらないかもしれませんが、洋楽における動画再生指標の強くなさを踏まえれば慣習の見直し等は必要と考え、記した次第です。