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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

国内盤シングルCDもリリースの一方でストリーミングは…日本の洋楽における現状を今一度考える

このブログでは一昨日、ザ・ビートルズ「Now And Then」のチャート動向についてお伝えしました。

この「Now And Then」、日本では次週のチャートで上昇する可能性を持ち合わせています。この曲にフィジカルセールス指標が加算されるためです。

 

なお今回はビルボードジャパンソングチャートにおけるCHART insightを多く紹介します。このCHART insightの見方については下記ポストをご参照ください。

 

ザ・ビートルズ「Now And Then」は既にアナログでリリースされたのみならずCD、それも国内盤がリリースされます。

国内盤シングルCDのリリース日は12月1日であることから、「Now And Then」はしばらくの間フィジカルセールス指標も加算されることでしょう。(上記ポストにて紹介された)オリコンビルボードジャパンとではフィジカルセールスの数値は異なりますが、後者においてもアナログで週間1万枚近いセールスが見込めるかもしれません。

 

昨日はザ・ビートルズにちなんだテレビ番組内特集も放送されていますが、これが「Now And Then」にどう反映されるかに注目です。ロングヒットに特に重要なのは動画再生、そしてこの曲において未だカウントされていないストリーミングであり、テレビでの反響は(ダウンロードへの勢いがより強く高まるものの)これら接触指標群へも影響すると思われます。

 

 

実は、伝説的と形容可能なベテラン歌手については、国内盤シングルCDがリリースされる傾向が強い印象です。先述したザ・ビートルズに限らずザ・ローリング・ストーンズガンズ・アンド・ローゼズも、年末までにリリースされることが決まっています。

ガンズ・アンド・ローゼズ「Perhaps」については日本でのみシングルCDがリリースされることから、日本においてCD需要があると捉えていいのかもしれません。

 

実際は海外でもフィジカルの需要(およびそれを喚起させる供給)は高く、たとえば直近11月18日付の米ビルボードソングチャート(上記リンク先参照)で7位に初登場したザ・ビートルズ「Now And Then」はCD、レコードおよびカセットテープの形で、それも複数種リリースされていることが解ります。ただ、ストリーミング指標もきちんと獲得しているのが特徴なのですが、他方日本では所有指標やラジオの大きさが際立ちます。

ザ・ローリング・ストーンズが今年リリースしたアルバム『Hackney Diamonds』からは、上記ポストにて紹介した3曲がいずれもビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標で20位以内に入っています。しかし接触指標群の加算は「Angry」の動画再生1週のみであり、ストリーミングはいずれの曲でも加算されていません。

 

今年度のビルボードジャパンソングチャート、ラジオ指標上位曲(一昨日のエントリーに一覧表を掲載→こちら)のうちトップ5内に入った洋楽はベテランや、たとえば若手でも1970年代等のディスコティークを踏襲した作品が多いのですが、CHART insightをみるとデュア・リパ「Dance The Night」やマイリー・サイラス「Flowers」、テイラー・スウィフトAnti-Hero」はストリーミングが加算されても同指標100位未満の状況です。

他方、昨年のクリスマスシーズンにビルボードジャパンソングチャートで上位進出した洋楽のクリスマス曲は、ストリーミングや動画再生指標を獲得していることが解ります。洋楽が、特にストリーミング指標を獲得しなければ総合での上位進出が厳しいということは、下記ポストで紹介するクリスマス関連曲が接触指標群未加算であることと比べてもよく解るでしょう。

これをみると一部のクリスマス曲を除き、洋楽全体が接触指標群に強くないことが見て取れます。ビルボードジャパンソングチャートはロングヒット、そして社会的ヒットに至る曲において獲得ポイントの過半数がストリーミングであることから、その基となるサブスクサービスで如何に盛り上げるかが重要な課題です。そして接触指標群は特に、曲は気になるが歌手のファンというわけではないライト層の支持を示すものです。

 

伝説的なベテラン歌手はいずれもシングルをCDの形でリリースしますが、コアファンを刺激してもライト層にどう届くかは分かりかねます。今回紹介したCDはいずれもユニバーサルミュージック発ゆえレコード会社の施策に因るものかもしれませんが、歌手側やレコード会社側はフィジカルリリースと同時に、主要ファン層と思しき中高年の方々にデジタルでのアプローチを促すことが必須でしょう。

 

日本の音楽チャートにおける、そしてそこからみえてくる日本での洋楽の危機的状況は今年2月に掲載していますが、改善はほぼみられないというのが厳しくも私見です。ともすれば中高年層を中心にデジタル(特にサブスク)への警戒心が高いかもしれないということを直近の音楽問題(デジタル引き上げ)に対する反応で痛感したばかりであり、その反応は危機的状況とリンクしているとも捉えています。改善は急務だと断言します。