日本時間の明日早朝に発表予定の12月20日付米ビルボードソングチャートでは、マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が史上初となる20週目の首位に至る可能性が高いとみられています。同曲が今シーズン初の首位を獲得した最新12月13日付米ソングチャートの記事は、下記エントリーにて翻訳しています。
そのクリスマスソングに首位の座を譲ったテイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」は前週まで、初登場から8連覇を達成。首位獲得週数は「Anti-Hero」と並び、自己最長タイを記録しています。


「The Fate Of Ophelia」は昨年度最終週に初登場。同時にアルバムチャートを制した(「The Fate Of Ophelia」を収録した)『The Life Of A Showgirl』は、わずか1週にて2025年度米ビルボード年間アルバムチャートを制しています。
さて、アルバムそしてソングチャートにおけるテイラー・スウィフトの施策は徹底されています。今回はソングチャート主体に、テイラー・スウィフト最新作における施策を振り返ります。
テイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』が制した2025年度米ビルボード年間アルバムチャートの記事では、同年度6位にランクインしたテイラーによる『The Tortured Poets Department』についても紹介されています。その際、通常版の直後にデジタルのデラックス版、また2025年度に入りフィジカルのデラックス版が用意されたことを踏まえ、テイラーは『多角的なアプローチで記録を塗り替えている』と評されています。
【2025年米ビルボード年間アルバム・チャート】テイラー・スウィフト『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』で通算5作目の首位、集計対象は1週のみ https://t.co/PJjOEzru2L
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月10日
実際、テイラー・スウィフトは『The Life Of A Showgirl』においても施策を徹底しています。初登場週には米ビルボードアルバムチャート史上最多となるユニット数を獲得していますが、同週の(リリース等)内容は以下の通り。なお米ビルボードアルバムチャートはデジタル/フィジカルセールス、単曲ダウンロードのアルバム換算分(TEA)およびストリーミング(動画再生含む)のアルバム換算分(SEA)という複合指標で構成されます。
米ビルボードアルバムチャートにおけるテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』の記録達成については、ビルボードジャパンによる記事をご確認ください。そこではテイラー側による様々な施策を確認できますが、個人的には以下の部分が気になっています。長文ゆえ、記事をキャプチャしたものを貼付します。
・【米ビルボード・アルバム・チャート】テイラー・スウィフト、『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』400万ユニット越えで記録ずくめの首位デビュー | Daily News | Billboard JAPAN(10月14日付)より
テイラー・スウィフトのファンダムの中で38種すべて購入した方はいらっしゃるかもしれません。また38種の中には事前に案内されたものもあり、購入のための予算を十分用意していた方もいらっしゃるはずです。一方で発売日以降も多くの種類がリリースされたことが記事から解ります。
音楽チャートを追いかける者として、ファンダムに物理的(金銭面や時間等)、そして精神的な負担を過度に強いかねない施策への懸念を日頃から感じています(LINE MUSIC再生キャンペーンへの違和感もここにあります)。ファンダムに過度な負担を強いず、コアファンに昇華し得るライト層を獲得するよう務めることが重要と考えますが、テイラー・スウィフトの施策はそのライト層へのリーチにおいても疑問を抱いています。
No Single-Track Sales
(単曲ダウンロード販売せず)
Back in the 1989 days, big albums — including Adele’s 25, and 1989 itself — were frequently held back from streaming services for the first week or two of its release, ensuring that fans who wanted to hear the album immediately upon its debut would have to actually go and buy the full thing. That’s become much less common in the decade since, and indeed, not only was The Life of a Showgirl made immediately available on streaming, it set its own fair share of benchmarks there in its first week of availability on DSPs, and this week commands the top 12 spots on the Billboard Hot 100, thanks largely to that streaming activity.
(テイラー・スウィフト『1989』がリリースされた頃、アデル『25』や『1989』自体を含む大作アルバムはリリース後1~2週間はストリーミングサービスで配信されず、発売と同時に聴きたいファンは実際にアルバムを購入せざるを得ませんでした。しかしこの10年でその手法は激減しています。事実、『The Life of a Showgirl』は リリース直後からストリーミング配信され、DSP配信初週で数々の記録を樹立。今週は米ビルボードソングチャートで12位までを独占していますが、 その原動力はまさにこのストリーミング再生回数にあります。)
However, while the set’s 12 tracks were immediately available for either individual or collective streaming, if you wanted to buy the songs, that was initially an all-or-nothing proposition, as none of the songs were made available for single purchase on iTunes or other digital retailers. So if you fell for “The Fate of Ophelia” on the radio this week, or went down a Reddit rabbit hole on fan theories about the subject of “Actually Romantic,” or cracked up seeing the lyrics to “Wood” going viral on TikTok or Twitter, and you decided you wanted to purchase one of those songs for your home collection — you had to purchase the other 11 along with it.
(ただし、アルバム収録の12曲はすぐに個別またはまとめてストリーミング可能だった一方、楽曲を購入したい場合は当初全曲一括購入しか選択肢がなく、iTunesやその他ダウンロードサイトでは単曲販売は一切行われていませんでした。つまりリリースから一週間、ラジオで「The Fate of Ophelia」に心を奪われたり、「Actually Romantic」の主題に関するファンの理論をRedditで延々と読みふけったり、TikTokやXで拡散された「Wood」の歌詞を見て大笑いしたりした後、自宅コレクション用にこれらの楽曲を単曲にて購入しようと決めた場合——他の11曲も一緒に購入せざるを得なかったのです。)
Given that iTunes single sales isn’t as huge a part of the music industry as it was a decade ago, with the best-performing songs usually only selling a fraction of what they did at the peak of digital song sales, it’s hard to say how much of an impact that practice had on Swift’s final first-week numbers. But Swift’s music often proves the exception to accepted industry rules of size and scale — and when you’re looking to potentially sell nearly 3.5 million copies of your album in its first week, every single album sale counts.
(iTunesの単曲ダウンロードは10年前ほど音楽業界で大きな割合を占めておらず、最も売れた楽曲でさえデジタル楽曲販売のピーク時と比べるとごく一部に過ぎないため、この手法がテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』の初週売上総額にどれほどの影響を与えたかは判断が難しいといえます。しかしテイラーの音楽は、業界で定説とされる規模やスケールのルールから外れる例外となることが多く——アルバム発売初週に350万枚近くを売り上げる可能性を秘めている場合、一枚一枚のアルバム販売が重要になるのです。)
・Taylor Swift's Record 'Life of a Showgirl' Week: How She Pulled It Off - Billboard(10月13日付)より
※ 記事についてはDeepL翻訳を基に、意訳しています。
米ビルボードの記事タイトルは正確には『5 Reasons Why Taylor Swift’s ‘Life of a Showgirl’ Was Able to Pull Off Such a Record-Breaking First Week (テイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』が初週で記録的な売上を達成できた5つの理由』)となっていますが、その最後の項目を上記に。単曲ダウンロードを認めておらず、最新ソングチャートにおいて12曲いずれもダウンロード指標はカウントされていません。
テイラー・スウィフトはアルバムチャートにおける週間最多ユニット数獲得を目指し様々な施策を投入したと考えるのは、先述した記事における38種リリースも踏まえれば自然なことでしょう。単曲ダウンロードもアルバムチャートの指標ではあるのですが、目標達成のためにアルバムとしての購入のみ推進したものと思われます。しかしこれでは、楽曲単位で気になったライト層の確保は難しいのではというのが私見です。
発売週の映画限定公開や異なるボーナストラックを収録したフィジカルリリース等により、テイラー・スウィフトのファンダムはたとえ自身の負担への違和感を抱いたとしても購入したものと思われます(ただユニークユーザー数は知りたいところです)。他方、気に入った曲があっても単曲ダウンロード不可という状況をライト層やグレーゾーンの方々はどうみるか…ファンダムとの間で乖離が発生するのではと危惧しています。
年間アルバムチャートの制覇も踏まえれば尚の事、テイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』における初週の様々な施策は週間単位での最多ユニット更新のみならず、年間チャートにおける首位獲得も見据えたものと捉えていいのかもしれません。
(そのように書くと、"テイラー・スウィフトが嫌いだからそのようなことを言っている"と指摘する方がいらっしゃるかもしれません。実際にそのような非難をされたことがありますが、たとえばテイラー・スウィフトの施策とその成果についてはテイラー・スウィフトが米アルバムチャートで14週目の首位獲得…前週からのユニット数"倍増"を考える(2024年8月12日付)等でも示しており、如何にチャートに意識的かが解るはずです。)
実際、テイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』では初週に全曲の単曲ダウンロードができない形になっていました。初登場時の記事では『トラックによる換算ユニットによるポイントがない(単体曲の販売がない)アルバムが1位を獲得するのは、2014年12月13日付のチャートから「総合ユニット数」でランキングを始めて以来初の事例となる』と紹介され、如何に異例かが解ります(『』内は【米ビルボード・アルバム・チャート】テイラー・スウィフト、『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』400万ユニット越えで記録ずくめの首位デビュー | Daily News | Billboard JAPAN(10月14日付)より)。
そして『The Life Of A Showgirl』では2週目にリード曲である「The Fate Of Ophelia」のみ単曲ダウンロードが解禁されています。ではソングチャートにおける「The Fate Of Ophelia」の初登場週以降の動向はどうだったか、12月6日付までの動向を米ビルボードソングチャート記事の翻訳エントリーから、主に施策に関する部分を引用します。
なお米ビルボードソングチャートはストリーミング(動画再生含む)、ダウンロード(フィジカルセールス含む)およびラジオの3指標で構成。ラジオはどのくらいの方に届いたかというインプレッション数で示され、またダウンロード指標におけるフィジカルセールスは予約ではなく発送段階でカウントされます。
<米ビルボードソングチャート
テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」における初登場時以降の動向>
・10月18日付
(高ストリーミング数を記録、且つ初登場時にラジオ指標トップ10入り、一方でダウンロードはゼロ)
「The Fate Of Ophelia」は米ビルボードソングチャートにて通算1,184曲目の首位獲得作品に。ストリーミング9250万(同指標首位)、ダウンロードゼロ、およびラジオ3850万(同指標7位)を記録しています。なおダウンロード指標においては『The Life Of A Showgirl』にて単曲ダウンロード不可だったことに伴い、未加算となっています。
・10月25日付
(単曲ダウンロード初加算)
テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」はストリーミングが前週比47%ダウンの4910万(同指標通算2週目の首位)、ダウンロードが11,000(同指標首位初登場)、ラジオが同10%アップの4220万(同指標5位)を記録。前週(アルバムリリース週)はアルバム『The Life Of A Showgirl』収録曲がいずれも単曲ダウンロード不可となっていましたが、当週は「The Fate Of Ophelia」のみ可能となり、今回ダウンロード指標にて初加算された形です。
・11月1日付
(施策についての言及なし)
テイラー・スウィフトにとって13曲目の首位獲得作品となる「The Fate Of Ophelia」は、ストリーミングが前週比31%ダウンの3360万(同指標3週目の首位)、ダウンロードが同42%ダウンの6,000(同指標2週目の首位)およびラジオが同17%アップの4940万(同指標5位)を記録。なおダウンロードについてはアルバム発売初週にて単曲ダウンロードが行われなかったことに伴い、前週初登場を果たした形です。
・11月8日付
("Alone In My Tower Acoustic Version"バージョンのデジタルダウンロード解禁(集計期間5日目以降 ただし集計期間中のストリーミングは未解禁)、および後日加算されるフィジカルセールスの予約に関する言及あり)
テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」はストリーミングが前週比13%ダウンの2910万(同指標通算4週目の首位)、ダウンロードが同236%アップの22,000(同指標通算3週目の首位)、ラジオが同10%アップの5450万(同指標5位)を記録しています。
「The Fate Of Ophelia」の首位キープの背景には、同曲における”Alone In My Tower Acoustic Version"のデジタルダウンロード解禁が挙げられます。このバージョンは東部標準時における10月28日火曜16時30分から10月30日23時59分(当週の集計期間最終時)までの限定でリリースされています。
(なお、新バージョンを収録したCDシングル(インストゥルメンタルバージョン付)、およびオリジナルバージョンを収録したCDシングル(インストゥルメンタルバージョン付)については、10月30日深夜から10月31日午後にかけてテイラー・スウィフトの公式ストアで予約販売が行われていました。これらのCDは発送され次第、チャートに影響を与えることとなります。)
・11月15日付
(ラウド・ラグジュアリーによるリミックスの公開(集計期間最終日)、"Alone In My Tower Acoustic Version"のストリーミング解禁(集計期間初日))
テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」はストリーミングが前週比6%ダウンの2740万(同指標2位)、ダウンロードが同33%アップの29,000(同指標通算4週目の首位)、ラジオが同9%アップの5920万(同指標5位)を記録。当週におけるダウンロード指標の上昇は、集計期間最終日となる11月6日にラウド・ラグジュアリーによるリミックスがデジタルにて購入可能となったことが反映。また前週の集計期間中となる10月28日に期間限定で販売されていた"Alone In My Tower Acoustic Version"が、10月31日以降ストリーミングにて聴取可能となったことも影響しています。
・11月22日付
(以前予約販売したフィジカルの発送)
テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」はストリーミングが前週比4%ダウンの2620万(同指標通算5週目の首位)、ダウンロードが同13%ダウンの25,000(同指標通算5週目の首位)、ラジオが同5%アップの6220万(同指標4位)を記録しています。
当週のダウンロード指標のうち、15,000は以前予約が行われた2種のCD(オリジナルバージョンおよびそのインストゥルメンタル、"Alone In My Tower Acoustic Version"およびそのインストゥルメンタルを収録)が集計期間中に発送されたことに伴うもの。残り10,000はデジタルダウンロードとなります。
・11月29日付
(以前予約販売したフィジカルの発送)
テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」はストリーミングが前週比11%ダウンの2340万(同指標通算6週目の首位)、ダウンロードが同22%ダウンの19,000(同指標2位)、ラジオが同1%アップの6280万(同指標3位)を記録しています。
当週のダウンロード指標のうち、14,000は以前予約が行われた2種のCD(オリジナルバージョンおよびそのインストゥルメンタル、"Alone In My Tower Acoustic Version"およびそのインストゥルメンタルを収録)が集計期間中に発送されたことに伴うもの。残り5,000はデジタルダウンロードとなります。
・12月6日付
(ザ・チェインスモーカーズによるリミックスの公開(集計期間5日目))
テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」はストリーミングが前週比8%ダウンの2160万(同指標通算7週目の首位)、ダウンロードが同30%アップの25,000(同指標通算6週目の首位)、ラジオが同1%ダウンの6210万(同指標2位)を記録。ダウンロード指標の上昇は、集計期間5日目となる11月25日にザ・チェインスモーカーズによるリミックスがデジタルリリースされたことに伴います。
以上がテイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」における構成3指標の動向、および集計期間中における施策の部分を引用したものとなります。冒頭で挙げた2025年度米ビルボードソングチャート制覇曲および各指標首位獲得曲の数値を見る限り、「The Fate Of Ophelia」のダウンロード指標が如何に高く、且つ維持しているかということがよく分かるはずです。
またリミックス版のダウンロード先行/ストリーミング後発や、フィジカルセールスの2週に渡る加算、そしてリミックス版を集計期間初日ではないタイミングでリリースしたことは考慮する必要があります。無論、フィジカル発送については1週で終わらなかった可能性もあるとして、チャート動向を見据えて段階的に解禁や発送を行ったと捉えられてもおかしくないのではというのが、今までの施策を考慮した上での自分の見方です。
米ビルボードソングチャートにおけるダウンロード指標の重要度は低下しており、このことは2025年度年間チャート発表時における公開範囲の狭小(50位→25位まで)から明らかです((追記あり) 米ビルボードによる2025年度米年間ソングチャート、10の注目ポイントとは(12月10日付)参照)。ファンダムの熱量が反映されやすい同指標は米ビルボードのチャートポリシー(集計方法)変更に伴い影響度も低下していますが、その中にあってテイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」は高水準を維持していることが解ります。これが同曲8連覇の大きな礎になったと考えるのは自然なことでしょう。
This week's top 10 on the #Hot100 (chart dated Dec. 13, 2025).
— billboard charts (@billboardcharts) 2025年12月8日
Details: https://t.co/xc9Re79o27 pic.twitter.com/hLktvLIFkR
そして最新分となる12月13日付では、テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」が初めて首位の座を譲ったのみならず、HUNTR/X(イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ)「Golden」の後塵を拝する結果となっています(上記ポスト参照)。ストリーミングやラジオで拮抗もしくは上回る「Golden」をダウンロードにて総合で上回った「The Fate Of Ophelia」は、施策がなければ上位進出が難しかったことを指すといえそうです。
この時期はクリスマス関連曲が上位を占めることが通例です。ゆえに、テイラー・スウィフトはそのことを考慮し(関連曲に首位の座を譲ることになると最初から想定した上で)、施策を打たなかったのではないかと想起した次第。リミックス版のフィジカルリリースやさらなるリミックス等を用意し、クリスマス期間後(クリスマス関連曲の後退後)にリリースすることで総合首位返り咲きを狙うという可能性が考えられます。
ここまで、テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」の米ビルボードソングチャート動向を紹介してきました。接触2指標でHUNTR/X「Golden」と競るようになった「The Fate Of Ophelia」が、ダウンロードの強さで総合首位をキープし続けたというのが自分なりの結論です。これはTalk of the Chartsさん(Xアカウントはこちら)が発信する米ビルボードソングチャート予想からもみえてきます(予想精度は高いと考えます)。
テイラー・スウィフトほど施策を徹底する歌手は珍しいかもしれませんが、そのテイラーほどチャートを意識する歌手はいません。その熱意が施策の徹底につながり、わずか1週での年間アルバムチャート制覇や自己最長タイとなる首位獲得週数記録の樹立に至っていますが、その内容(数値の詳細)を見ることが大事と考え今回紹介した次第です。
・Taylor Swift - The Life of a Showgirl - Reviews - Album of The Yearより(日本時間12月15日4時57分段階におけるページをキャプチャしています)
メディア、またユーザーによるレビューをまとめたAlbum of The Yearにおけるテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』のレビューは高くはなく、賛否両論が生まれていると耳にします。米ビルボードはアルバムチャートにストリーミング(動画再生含む)のアルバム換算分(SEA)を含めており、聴かれ続ける作品がロングヒットする形となっていますが、評判を踏まえれば早い段階でSEAが弱まる可能性も考えられます。
一方で『The Life Of A Showgirl』初登場時における獲得ユニット(400万2千)のうちセールスは3,479,500となっています。ファンダムの構成数が多く、且つその熱量が(複数種リリースのいくつか、もしくはいずれも購入する方が多いという意味で)高いならば、セールスだけで週間のみならず年間でも上位に進出可能ということは2025年度年間アルバムチャートから明らかであり、次年度の年間ソングチャートでも明白になるでしょう。
年間チャートの結果は日を追う毎に、その順位や総数でしかみられなくなっていきますが、重要なのはその内訳を知ることです。その上で違和感があると考えればチャートポリシー(集計方法)が変わること、またその変革をチャート管理者側に進言することが重要となります。たとえばデラックスエディションやリミックスを集計期間初日リリースのみ加算対象とする等、チャートポリシーの見直しは検討する必要があるでしょう。
最後に、音楽チャート分析者としての施策に対する見方を提示します。
以前記した内容を再掲。日本においては勿論のこと、海外においても稀にですが、条件を揃えないという施策がみられます。その施策を採る歌手は果たして信頼されるだろうか…特にコアファンこそ考え、進言する必要があると考えます。 https://t.co/J73iKUKVke
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月14日

