イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

プランテックによる2025年度ラジオエアプレイチャートが発表、そこから考えることについて

プランテックは12月19日に、2025年度の年間ラジオエアプレイチャートを発表しました。プランテックは全国31のFMおよびAM局によるオンエアの回数チャートを毎週発表しており、ビルボードジャパンはこのデータを基に聴取可能人口等を加味したソングチャートのラジオ指標を算出しています。この年間チャートは、現時点ではプランテックのホームページ(→こちら)のみにて確認することができます。

 

プランテックの年間チャートについては、2024年度も分析しています。

なおプランテックのラジオエアプレイチャートでは、2025年度の集計期間が公表されていません。これは2024年度以前においても同様であり、プランテックに対しては以前より記載を求めています。

 

 

プランテックのラジオエアプレイチャートには特徴があります。

上記は2025年度ビルボードジャパンソングチャート、ラジオ指標における週間上位20曲の一覧となります。色付けは青がSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手、緑がSTARTO ENTERTAINMENT以外の日本の男性アイドル/ダンスボーカルグループ、グレーっぽい青はLDH所属歌手、紫はK-POP男性アイドル/ダンスボーカルグループ、そしてオレンジがK-POP以外の洋楽を指します。

週間単位における主な特徴として、【男性アイドル/ダンスボーカルグループの曲はリリース週に上位進出しやすい(その直後急落する)】【中には1ヶ月程度上位にとどまる曲も存在する】【全国レギュラー番組を持つベテラン歌手の曲が圧倒的に強い】【K-POPを除く洋楽の上位占有率はこの数年で縮小している】【新人を主体にラジオ局のパワープレイ(ヘビーローテーション)選出に伴い上昇するも、1ヶ月後に急落する】等が挙げられます。なお基となるプランテックのラジオエアプレイチャートも同種の動きといえます。

 

 

この前提を踏まえた上で、まずは総合の年間トップ10を引用し掲載します。プランテックの記事では邦楽、洋楽それぞれの部門のトップ10も掲載され、またK-POPは洋楽として括られています。なお邦楽および洋楽部門の年間チャートトップ10については、プランテックのホームページ(→こちら)経由にてご確認ください。

 

<プランテックによる2025年度年間ラジオエアプレイチャート 総合トップ10>

 

1位 1,417ポイント サザンオールスターズ「夢の宇宙旅行」 

2位 1,412ポイント サカナクション「怪獣」

3位 1,365ポイント Mrs. GREEN APPLE「GOOD DAY」

4位 1,364ポイント ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」

5位 1,260ポイント RADWIMPS「賜物」

6位 1,256ポイント Mrs. GREEN APPLE「breakfast」

7位 1,235ポイント BILLY BOO「ラプソディ」

8位 1,230ポイント あいみょん「スケッチ」

9位 1,217ポイント Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」

10位 1,200ポイント サザンオールスターズ「桜、ひらり」

 

最上位はサザンオールスターズが獲得し、トップ10内には2曲ランクイン。これはニューアルバム『THANK YOU SO MUCH』リリースの影響も大きく反映された形です。そしてトップ10内に複数曲を、それもサザンオールスターズよりも多く送り込んだのがMrs. GREEN APPLE(3曲)となっています。

先程は週間単位におけるラジオチャートの主な特徴として、【男性アイドル/ダンスボーカルグループの曲はリリース週に上位進出しやすい(その直後急落する)】ことを挙げました。これはラジオ向け施策(とその終了後)が大きく反映されているのですが、Mrs. GREEN APPLEにおいても施策を行っていることは上記エントリーから解ります。とはいえ年間単位では3曲がトップ10入りしており、業界内の支持の大きさも見て取れます。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

2025年度年間ラジオエアプレイチャート総合トップ3におけるビルボードジャパンソングチャートのCHART insightを上記に。ラジオ指標は黄緑で示されますが、他の指標より安定せず、且つ短期間で後退することが解ります。特にサザンオールスターズ「夢の宇宙旅行」は100位以内連続在籍期間が3曲のうち最も短いゆえ、上位進出時に如何に多くのポイントを獲得できたかが解るはずです。その旨は下記記事からも見えてきます。

 

昨年の総合トップ10では新鋭がランクインしていませんでしたが、今年の年間チャートでは昨年結成されたBILLY BOOによる「ラプソディ」が7位に登場しています。テレビアニメ『謎解きはディナーのあとで』のエンディングテーマ曲は、多くの放送局によるパワープレイ選出が影響した形です(BILLY BOOが初登場1位/TREASURE 4週目で2位へ/imase広範囲OAで3位 | ラジオ・オンエア・チャート by PLANTECH(4月9日付)参照)。

一方、BILLY BOO「ラプソディ」は5月7日公開分(集計期間:4月28日~5月4日)のビルボードジャパンソングチャートにてラジオ指標が7位を記録した翌週、この指標が300位未満へ急落していることが解ります。ここからはパワープレイ終了後におけるラジオ局側の姿勢もみえてくるといえるかもしれません。

パワープレイ後の急落は、帯放送の番組や番組内コーナーといった定期枠を主体にオンエアを獲得する施策を採用した曲の、その施策終了後においても散見されます。それらを踏まえてラジオ局側への違和感を記し、そしてビルボードジャパンに対してはラジオ指標の廃止も含めた検討が必要ではということを、以前提案しています。

ラジオ指標廃止の提案は、業界関係者から不満を抱かれかねないでしょう。しかしレコード会社や男性アイドル/ダンスボーカルグループを主体とする(チャート)施策が大きく反映されるオンエア傾向から、"放送局がプライドを持って真に届けたい曲は見えづらい"という現状を危惧しています。音楽番組や専門DJが減っていることもあり尚の事、ラジオ業界のプライド復活を切望するゆえの提案であることをご理解ください。そしてパワープレイ自体が必要か否か、根本の部分を議論することが重要ではないでしょうか。

もしくはプランテックのカウント対象局が30局強しかないことも偏りにつながっているかもしれません。なおこのブログでは2026年度開始を前に、ビルボードジャパンへの改善提案をまとめる (その1:チャートポリシー変更に関して)(11月24日付)にて、ラジオ指標についての提案をあらためて記しています。

 

 

さて、K-POPを含む洋楽のトップ10入りは2018年度以降最低タイとなっています(2018年度以降3曲→2曲→5曲→4曲→2曲→1曲→3曲→1曲と推移)。2025年度に唯一ランクインしたロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」は前年度も洋楽にて最高位となる総合3位につけていますが、「APT.」がなかったならば(それでもアレックス・ウォーレン「Ordinary」が10位に入ることになるとして)、上位における洋楽不在の印象は強まったでしょう。

それでも、洋楽のみで構成されたラジオエアプレイチャートの10位におけるポイントは2024年度が680ポイントだったのに対し、2025年度は730ポイントに増加しています。レディー・ガガやサブリナ・カーペンターの強さは特筆すべきですが(共に前年リリース曲が2年連続でランクイン)、たとえば世界で大ヒットしているHUNTR/X(イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ)「Golden」が10位に登場したことは注目すべきといえます。

先程CHART insightを掲載した4曲以上に、HUNTR/X「Golden」ではビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標が安定しています。ストリーミング(青で表示)の安定が最も際立ちますが、ロングヒットが難しいラジオ指標における安定は極めて珍しいことです。この点から、世界でヒットしている洋楽をきちんと伝えたいというラジオ業界側の意地を感じた次第です。

 

 

最後に。先程はブログエントリーの引用の形にて、『音楽番組や専門DJが減っている』と記しました。そして昨年の年間ラジオエアプレイチャートを紹介したエントリー(冒頭のリンク先参照)にて『"レスミュージック、モアトーク(お笑い)"の傾向が高まる可能性』を指摘し、音楽全体のオンエア数が下がる可能性への懸念を掲載しています。個人的には、ラジオ業界の変化により特に洋楽が影響を受けかねないと危惧していました。

ラジオエアプレイチャートの集計期間が未掲載のため、ともすれば2025年度の集計期間は前年度より長いかもしれませんが、それでも上位曲に関してはオンエア数自体が増えていると捉えていいのかもしれません(ただし前年度におけるCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のような大量オンエア曲は2025年度に見当たらなかったのですが)。そして洋楽においても、復調と呼べる状況にあるのではないでしょうか。

一昨日、このようなことを記しました。

オリヴィア・ディーンは現在世界的に人気の歌手であり、クリスマス関連曲の席巻状態が解消後には世界の音楽チャートにて「Man I Need」をはじめ複数局が上位に復帰するとみられています。そのサウンドはラジオフレンドリーと呼べるでしょう。

ラジオ業界はお笑い芸人による番組が増えているという印象であり、(FMにも流れるAM局ではない)FM局にあってもその状況が強まっているという印象です。ただ、上記ポストにあるように、そのお笑い芸人の方が今の音楽を積極的に発信するならば、お笑い芸人や番組のファンが洋楽を好んで聴くようになるかもしれないということを、2日前の出来事から感じています。その形にて洋楽ヒットが生まれることを、願うばかりです。