イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『第76回NHK紅白歌合戦』、発表された曲目から考えること

『第76回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と記載)で披露される曲目が昨日発表されました。

 

このブログでは出場歌手の予想を行った上で、発表後にその振り返りを兼ねて出場歌手の傾向を分析しています。

今回は、発表された曲目から見えてくることを列記します。

 

 

紅白において、ビルボードジャパンの主要チャートを出場歌手選定の参考にしていることは間違いないと考えます。ビルボードジャパンによる2025年度年間チャートはこのブログで分析しています。

2025年度年間チャートはMrs. GREEN APPLEのいわば無双状態だったといえますが、今回紅白で披露するのが「GOOD DAY」ということに、個人的には驚いています。

音楽チャートでの圧倒的な勢い、2年連続の日本レコード大賞受賞、さらには紅白関連番組といえる『MUSIC GIFT 2025 ~あなたに贈ろう 希望の歌~』(NHK総合 8月9日放送)で大トリを務めたこともあり、Mrs. GREEN APPLEは紅白でもトリもしくは大トリに相応しいのではと捉えていました。ゆえに「GOOD DAY」以上にダイナミックなポップス、もしくはバラードが披露される可能性を考えており、今回の選曲に驚いた次第です。

「GOOD DAY」で紅白を、そして”フェーズ2”を〆るというのも面白いかもしれませんが、ビルボードジャパン年間ソングチャート制覇曲がその年の紅白で披露されないのは2021年の優里「ドライフラワー」以来となります。尤も2025年度年間首位の「ライラック」は昨年の紅白にて披露されていますが、優里さんは紅白自体に出場していません。

 

2025年度年間ソングチャートにおいて、集計期間中にリリースされた曲の中で最も勢いが凄まじかったといえるのが米津玄師「IRIS OUT」でした。それこそ2023年におけるYOASOBI「アイドル」や翌年のCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」を想起させる動きでしたが、米津玄師さんの紅白アナウンス自体ありません。

それでも、「革命道中」「恋風」「ROSE」「残酷な夜に輝け」「怪獣」そして「夢中」といった、2025年リリースのストリーミングヒット曲が今年の紅白で披露されます。注目はBE:FIRSTの披露曲が「空」ではないということ。「空」は第92回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲ゆえ”NHK関連曲”として披露される可能性が高いと考えていましたが、ストリーミングヒットの選出からは紅白側の意向、意志も感じられます。

 

 

さて、今回のようなエントリーは昨年も掲載しています。

その際、『若手歌手については今年リリースした曲を披露、過去曲であっても今年リリースしたベストアルバム収録曲をパフォーマンスする傾向に (中略) その中にあって、若手歌手で過去曲を披露する場合、ともすれば翌年の選出が危ぶまれるのではというのが厳しくも私見です』と記しました。一方で今年の紅白では過去曲を披露する若手歌手はほぼ見当たりません。

その若手歌手の中で注目したいのは、復活出場を果たすKing & Princeがミッキーマウスのオフィシャルテーマソングとなる「What We Got ~奇跡はきみと~」をパフォーマンスするということ。紅白でのディズニー企画開催、またはディズニーキャラクターの出演はほぼ毎年恒例となっており、今年もKing & Princeとの共演という形で実現したことになります。

また同じく復活出場に至ったSixTONESは、来年リリースのベストアルバムにも収録される3曲を披露。そのうち「Imitation Rain」はYOSHIKIさんによる提供曲ですが、そのYOSHIKIさんも紅白のほぼ常連といえます。ソロもしくはバンドにて直近10年では8回に渡り紅白に登場したYOSHIKIさんが、「Imitation Rain」でSixTONESと共演する可能性も考えられます。

 

先程は『今年の紅白では過去曲を披露する若手歌手はほぼ見当たりません』と記しましたが、追加発表の形で出場がアナウンスされたAKB48は状況が異なります。

卒業したメンバーと共に披露した今年リリースの20周年記念シングル「Oh my pumpkin!」はこのメドレーに含まれなかった一方、今回の紅白では卒業メンバーも登場します。その点からも、AKB48は今年のヒット規模(音楽チャート動向)で選ばれたというよりは、これまでの実績や周年記念であることが選出の背景にあったと捉えていいでしょう。

 

 

さて、紅白では見どころについても発表されています。

結果的に今年も、演歌歌謡曲の披露においてはバラエティ企画が目立ちます。水森かおりさんは昨年と異なり新曲(この年にリリースした曲)を披露する形ではありますが、ドミノ企画であることは変わりません。そして三山ひろしさんは今年もけん玉世界記録に挑戦します。

演歌歌謡曲というジャンルにおいてはこのような演出手法は昔からではあるのですが、『今の複合指標から成る音楽チャートにてヒット曲を輩出し、堂々とパフォーマンスできる態勢を用意することが何よりも必要なことではないか』と昨年のエントリー(→こちら)で記した思いは、ますます強くなっています。

ちなみに純烈は「いい湯だな」を披露しますが、こちらは音源化されていない模様です(そのような指摘がXでみられたことからSpotifyで探したものの、見当たりませんでした)。ともすれば来年1月にリリースされる『純烈15周年記念BOX 純情烈将伝』にて、このカバーが収録されるかもしれません。なお同曲は先述したNHK総合の今夏の音楽特番『MUSIC GIFT 2025 ~あなたに贈ろう 希望の歌~』にて披露されています。

 

 

さて、紅白に復活出場を果たすPerfumeは、この日を最後に活動休止(”コールドスリープ”)期間に入ります。

Perfumeは年末の地上波長時間音楽特番に多数登場しますが、「巡ループ」はどの番組でも共通する一方、他の披露曲は番組毎に異なります(ただし『ミュージックステーション SUPER LIVE 2025』(テレビ朝日 12月26日放送)では披露曲が明らかになっていません)。この傾向は2025年年末の地上波長時間音楽特番から、出演歌手傾向およびテレビ局の動向を読む (途中経過版)(12月16日付)で紹介しましたが、紅白でも同様となっています(なお、このリンク先では今年紅白に出場するback numberについても触れています)。)

Perfumeは2008年の紅白に初出場した際、「ポリリズム」を披露しています。今回の紅白でも同曲が披露されることに、感慨深いと感じる方は少なくないかもしれません。

 

最後に。Perfumeのように2曲の披露であってもメドレーと表記されている場合がありますが、この2組については異なります。

サカナクション、そしてback numberによる2曲がメドレー形式なのか、そうでない場合はどこまでフル尺に近い形で披露されるかは解りかねます。ただこれまでの紅白における、他の番組ではあまりみられない強引な短尺化(特に3年前におけるOfficial髭男dism「Subtitle」が顕著だったと記憶)を踏まえれば、(どの歌手の作品もですが)一分一秒でも長く聴かせてほしい、曲を大事に扱ってほしいとの思いを紅白に対し抱いています。サカナクションの場合は前回出場時に音声トラブルがあったゆえ、尚の事願っています。

 

 

以上、発表された曲目から見えてくることを列記しました。

現時点にて白組が一組少ないながら、昨年は曲目発表後も特別企画を主体とする複数の発表が行われています。今年においても今後の発表、そして当日の放送を待ちたいと思います。

 

 

最後に。紅白に対する旧態依然との声がメディアやその関係者から散見されます。しかしそのような発し手から、”こうすればより好くなる”という改善提案はほぼみられません。ゆえに非難だけで止めるのは好ましくないというのが私見です。

また紅白は他の番組よりもYouTubeに積極的です。しかしNHK ONEの開始等からみられるように、他メディアからの過度な反発(および背景にある自己保身)に伴い、NHKは発信に関して制限せざるを得ない状況に陥っているものと捉えています。

日本の音楽業界はグローバル化を目指していますが、その際YouTubeの活用は欠かせません。そのYouTube等ネット活用の足枷になるようなメディアこそ、省みる必要があるはずです。

紅白に対し、YouTube等の徹底的な活用を願います。そして紅白を旧態依然と発する者に対し”では自分(のメディア)はどうか”を自問自答し、”紅白そして自分たちが良くなるにはどうすべきか”を客観的に考えるよう、強く願います。