昨年夏以降再開したこのエントリーですが、先週よりタイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”に変更した上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。
この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミングがロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。
そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、エントリー掲載の理由です。
<2025年6月25日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・HANA「Burning Flower」
6月18日公開分 2位→6月25日公開分 6位
・≒JOY「ブルーハワイレモン」
6月18日公開分 4位→6月25日公開分 100位未満
・aoen「青い太陽 (The Blue Sun)」
6月18日公開分 6位→6月25日公開分 100位未満
当週のストリーミング表はこちら。
なお、前週フィジカルセールス指標初加算に伴い総合18位から首位に返り咲いた、米津玄師「Plazma」の動向はこちら。
米津玄師「Plazma」については一昨日のエントリーにて分析しています。
前週初めてトップ10入りした曲のうち、≒JOY「ブルーハワイレモン」およびaoen「青い太陽 (The Blue Sun)」はストリーミング未加算が影響し、総合100位以内に急落しています。前者ではLINE MUSIC再生キャンペーン(→こちら)を実施した先月にはストリーミング指標が加点されるもその後は未加算となっており、開催タイミングの再考、そして何よりライト層へ訴求すべく施策を見直すことが必要だと考えます。
一方、総合2→6位に後退したHANA「Burning Flower」はストリーミング再生回数が前週比77.2%を記録。ポイント前週比(67.4%)を考慮すると、接触指標の勢いはやや保てているといえそうです。
HANAは、ソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャートで3→4位と推移。最新の同チャートについては上記リンク先("記事化"したエントリー)でも紹介していますが、HANAは所有指標群(フィジカルセールスおよびダウンロード)が後退しながらも接触指標群(ストリーミングおよび動画再生)は順位をキープしています。
このトップアーティストチャートにおいてHANAはラジオが13→9位、カラオケが54→53位と上昇し、後者では最高位を更新しています。カラオケ指標は新曲がなかなか上昇しにくく、且つロングヒットも難しいのが特徴ですが、その状況下で上昇している点からはHANAの作品が浸透し、歌手自体が存在感を高めていると捉えていいでしょう。
ビルボードジャパンソングチャートのカラオケ指標にデータを提供するDAMおよびJOYSOUNDは、共に今週火曜に今年度上半期ランキングを発表(ふたつの集計期間は同一)。上記ランキングは集計期間中にリリースされた楽曲に絞ってのものですが、HANAは双方のランキングでMrs. GREEN APPLE、米津玄師さんと共に複数曲を20位以内に送り込んでいます。この点からも歌手の人気や注目度の高さがうかがえます。