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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

JO1「WHERE DO WE GO」が総合首位到達…CHART insightからみえてくる上位進出の要因

最新10月9日公開分(集計期間:9月30日~10月6日)のビルボードジャパンソングチャートではJO1「WHERE DO WE GO」がフィジカルセールス初加算に伴い、同曲初の首位を獲得しています。

JO1「WHERE DO WE GO」の指標構成はフィジカルセールス首位、ラジオ2位、ダウンロード4位、動画再生29位およびストリーミング36位という結果に。注目はフィジカルセールスの多さ(732,009枚)もさることながら、フィジカルセールスのタイミングで他指標が大きく伸びているという点です。

上記はビルボードジャパン総合ソングチャートの記事(冒頭に貼付したポストのリンク先参照)に掲載されたCHART insight。無料会員は総合および各指標20位までしか確認できませんが、今回掲載されたのは有料会員が確認可能な100位までとなっています。

フィジカルセールス(黄色で表示)は当週初登場ですが、ラジオ(黄緑)は2週ぶり、ダウンロード(紫)は3週ぶりに300位以内に返り咲いています。また順位変動が緩やかになる傾向の接触指標群(ストリーミング(青)および動画再生(赤))でも変動が大きいことから、今回のJO1「WHERE DO WE GO」の首位獲得はビルボードジャパンソングチャートでの上位進出を意識した歌手側の施策やコアファンによる後押しが大きいと捉えています。

(なおCHART insightにおいてピンクはハイブリッド指標であり、上記はダウンロードおよび動画再生を合計した”BUZZ”を。また当週300位以内に登場した濃いオレンジはUGC(”踊ってみた”等に代表されるユーザー生成コンテンツ)を指します。なおUGCは総合ソングチャートの構成指標ではありません。)

 

 

たとえばラジオがこの週に300位以内初登場を果たしたことは、今回のJO1「WHERE DO WE GO」におけるチャートアクションを象徴する動きと捉えています。この指標はプランテックによる全国31局のOAチャートを基に、聴取可能人口等を加味した上で算出されるのですが、OAチャートの記事ではこのように記載されています。

2位はJO1「WHERE DO WE GO」がこちらも初登場した。10月2日リリースのニューシングルからタイトル曲となる同曲。オンエアは9月9日の先行配信と同時に開始され、これまでチャート圏外ながらも毎週一定数を獲得してきたなか、シングル発売週を迎えた今週、帯放送のコーナー/番組など定期枠を中心に大量オンエアを積み上げ上位入りとなった。

解禁当初から毎週確認されてきたリクエストオンエア数も今週大きく伸長しており、上位10曲中ではOfficial髭男dism「Same Blue」(6位)に次いで最多であった。プロモーションおよび広範囲でのコメント出演に加え、ファンダムによるバックアップもオンエア獲得に貢献したことと思われる。

定期枠中心のOAは男性アイドル/ダンスボーカルグループで、フィジカルリリース週に多い傾向です。「WHERE DO WE GO」は9月9日にデジタルおよびラジオで解禁されていますが、人気曲であれば以前から上位に進出できたかもしれません。『プロモーションおよび広範囲でのコメント出演』『ファンダムによるバックアップ』との記載は、施策やファンの熱量に因る部分が大きいとプランテック側が捉えているゆえでしょう。

 

またストリーミング指標においては、主要サブスクサービスの週間チャートでApple Musicが100位未満→100位未満、Spotifyが200位未満→79位、LINE MUSICでは13→14位と推移し、週間順位に乖離がみられます(なおSpotifyは金曜、LINE MUSICは水曜が集計初日)。

LINE MUSICでは今回上記キャンペーンが採られていますが、しかし再生キャンペーンの類ではありません。それでもLINE MUSICの再生回数が他サービスより多いのは、以前JO1が再生キャンペーンを行っていたことやLINE MUSICが男性アイドル/ダンスボーカルグループにてキャンペーンを多く行っていることで、アイドル/ダンスボーカルグループのコアファンによる加入率が(他サービスより)高いゆえと考えます。

 

そしてJO1は「WHERE DO WE GO」にて、下記キャンペーンも実施しています。応募期間が今回の集計期間と完全に一致しており、歌手側のチャートへの意識の表れといえるでしょう。この効果もあり同曲は当週8,991DLを獲得、ダウンロード指標4位に至っています。

 

 

これらの動向からは歌手側のチャート意識やコアファンの熱量の高さが感じられる一方、ライト層の獲得ができているだろうかという疑問が芽生えます。真の社会的ヒット曲は主要サブスクサービスで順位が大きく乖離しないことも、そう捉えた理由です。JO1「WHERE DO WE GO」についてはフィジカルセールス加算2週目の次週10月16日公開分にてどの位置にとどまるか、乖離が解消されるか等を注視する必要があります。

なおJO1は、前作「Love seeker」がフィジカルセールス指標加算2週目に総合首位から16位に後退しています。「WHERE DO WE GO」については総合でのトップ10キープが直近の課題といえるでしょう。