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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】「BBBB」首位返り咲き、「ライラック」1万ポイント超え…大型連休効果を考える

最新5月8日公開分(集計期間:4月29日~5月5日)のビルボードジャパンソングチャートは前週初登場で首位に到達したBE:FIRST「Masterplan」が7位に後退、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が2週ぶり、通算14週目となる首位を獲得しています。

(上記はCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のビルボードジャパンソングチャートにおけるCHART insight。)

各データを見てみると、ストリーミング以外の指標が全て前週を上回るという結果に。ダウンロードは前週比117%、ラジオと動画は105%、カラオケは120%となった。ストリーミングも前週と、ほぼ変わらない再生数をキープしており、史上2番目のスピードで累計3億回再生を突破している。

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は、ストリーミング指標の基となる再生回数が前週比99.96%となりダウンするも下落幅を最小限にとどめ、一方で他指標は上昇(なおフィジカルセールス指標はダブルAサイドのもう1曲である「二度寝」に加点)。これが総合ソングチャートにおけるポイント上昇(前週比104.0%)につながっています。カラオケ指標の大きな伸びは、今回の集計期間が平日3日のみだったことが要因といえます。

当週は全体的なポイント上昇が見られており、ゴールデンウィーク期間と重なったことから、視聴や投稿の数が増えたことが考えられる。

土日祝日はストリーミング再生回数が伸びる(緩やかなダウン傾向の曲でも横ばいもしくは上昇する)傾向にあり、またソングチャート加算対象外ながらTikTokでも上記のような動向がみられます。「Bling-Bang-Bang-Born」はYOASOBI「アイドル」やAdo「唱」同様、カラオケや動画投稿等の"活用"がヒットの源であるとこのブログでお伝えしてきましたが、大型連休はその行動が高まったと考えられます。

 

もうひとつ興味深いのはラジオの動向です。Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はこの指標において4週ぶりに20位以内に返り咲きを果たしています。

今週は天気に恵まれたゴールデンウィークだった事も相まって、お馴染みのドライブ・休日ソングはもとより、初夏に相応しい爽やかな楽曲の数々がチャート上位に並んだ。

ラジオはプランテックによるOAチャートを基に、ビルボードジャパンが各ラジオ局の聴取可能人口等を踏まえて指標化するものですが、当週はドライブの定番曲等が伸びる傾向にあります。家族で移動することが増える大型連休にあって、子どもへの浸透度が高い「Bling-Bang-Bang-Born」のOA傾向が高まったと推測していいでしょう。

 

 

そのラジオ指標で前週比4倍強と大きく上昇したのが、Mrs. GREEN APPLEライラック」です。

(上記はMrs. GREEN APPLEライラック」のビルボードジャパンソングチャートにおけるCHART insight。)

ソングチャート全体では『ダウンロードは前週比130%、カラオケは127%、ラジオは425%と、特にラジオのポイントを増加させ、本楽曲では最高位となる2位に』つけています(『』内は先述したビルボードジャパンソングチャートの記事より)。そしてストリーミング再生回数も前週から伸びています(下記ストリーミングの記事参照)。

3位には、Mrs.GREEN APPLEライラック」(前週比104.1%)が登場。その他、4月29日に放送された『CDTVライブ!ライブ!』に出演したことがきっかけか、9位に「ケセラセラ」(前週比106.7%)、16位に「ダンスホール」(前週比109.3%)、23位に「青と夏」(前週比117.9%)など、全体的に楽曲の再生回数が上昇している。なお、番組で披露された「春愁」も再生回数を伸ばして96位から80位に浮上した。

ライラック」は「青と夏」(2018)のアンサーソングであり、そして当週ラジオでは『初夏に相応しい爽やかな楽曲の数々がチャート上位に』登場しています(『』内は先述したプランテックによるOAチャート記事より)。「青と夏」の流れを汲み、また疾走感のある「ライラック」が上昇することは自然といえますが、それでも前週よりラジオ指標4倍強という状況を興味深く感じています。

(上記は最新5月8日公開分ビルボードジャパンソングチャート、トップ10のラインナップ。)

各指標の伸長に伴い、Mrs. GREEN APPLEライラック」は登場4週目にして1万ポイントを突破しました。今年度週間1万ポイント超えを果たした曲は複数ありますが、デジタルもしくはフィジカルセールス指標初加算時以外で1万ポイントを上回ったのはAdo「唱」、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」に続く3曲目であり、その点においても特筆すべきことが解ります。

 

 

次週のソングチャートでは集計期間において平日は4日ながら、大型連休効果が薄れることで全体的にポイントが下がると思われます。今回紹介した2曲に限らず当週ポイントや認知度が高まった作品が、それらを如何に持続できるかが真の社会的ヒットに至るに重要な点と考えるのは、決して大げさなことではないでしょう。