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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

BE:FIRST「Masterplan」登場2週目、KAMIGATA BOYZ「無責任でええじゃないかLOVE」初登場週の動向を掴む

最新5月8日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:4月29日~5月5日)ではCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が首位に返り咲いた一方、前週初登場で首位を獲得したBE:FIRST「Masterplan」は7位に後退しています。

 

BE:FIRST「Masterplan」の首位初登場についてはこのブログにて紹介しました。フィジカルシングル表題曲は2枚目の「Bye-Good-Bye」(2022)を除きそのリリース週の月曜にデジタルを先行解禁し、デジタル/フィジカル初加算に伴い初登場週に高ポイントを獲得。この点を、施策の徹底という意味でも興味深く捉えています。

一方、昨日付ブログエントリーでも紹介したように当週5月8日公開分は集計期間のうち平日が3日のみであり、総合首位に返り咲いたCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のポイント上昇、Mrs. GREEN APPLEライラック」の1万ポイント超え等における背景にあります。全体的なストリーミングの上昇等を踏まえ、BE:FIRST「Masterplan」が当週トップ10から後退する可能性を示唆しましたが、実際は1→7位と推移しています。

 

BE:FIRSTのフィジカルシングル表題曲5作品におけるフィジカルセールス指標初加算週および2週目の動向をまとめた表を上記に。指標動向から、「Masterplan」は前作「Mainstream」(2023)の動きをなぞっているというのが自分の見方です。その中で「Masterplan」はダウンロードが前作よりダウンしていますが、これは今回の集計期間までテレビパフォーマンスがなかったゆえとも考えられます。

ダウンロードはテレビパフォーマンス(およびその話題)が反映されやすい指標であり、BE:FIRSTは5月6日放送の『CDTVライブ!ライブ!』で「Masterplan」を初披露。無論ダウンロードのみならず他指標にも波及する可能性を踏まえ、同曲がロングヒットに至るかを注目する必要があります。

 

5月8日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおいてストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャート、そして主要サブスクサービスにおける順位比較を上記に。今回は前週および当週の双方で再生回数が可視化された曲の数値ならびに前週比も掲載しています。再生回数前週超えの曲が目立つのは、当週が平日3日のみの大型連休中であることが背景にあるといえます。

2週分のストリーミング再生回数が可視化された曲の中で、BE:FIRST「Masterplan」の再生回数前週比は最も小さくなっていますが、これはコアファンを主体にリリース直後からきちんとチェックすることの反動もあるかもしれません。先述したようにテレビパフォーマンスの影響が反映される次週以降の再生回数推移を注視すると共に、特に最もシェアが大きいApple Musicの動向に注目する必要があると考えます。

 

 

一方で、こちらも前週ブログで採り上げたKAMIGATA BOYZ「無責任でええじゃないかLOVE」は19位に初登場。STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)所属で関西出身のSUPER EIGHT、WEST.およびなにわ男子から成るユニットの初作品で、デジタルにてリリースされています。

KAMIGATA BOYZ「無責任でええじゃないかLOVE」は集計期間5日目となる5月3日金曜にデジタルにてリリース。海外では音楽チャートの集計期間初日である金曜が標準リリース日である一方、月曜を初日とする日本では金曜解禁が不利となる中、この位置での初登場を興味深く受け止めています。そもそもSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手によるデジタルリリース自体、未だ珍しいことです。

5月8日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおいて、「無責任でええじゃないかLOVE」はダウンロード指標首位、動画再生指標9位を記録し、ストリーミング指標では100位未満ながら300位圏内に入りポイント加算対象となりました。ユニット結成やミュージックビデオの話題が金曜リリース曲ながら動画再生指標の高位置初登場につながったことは間違いありません。一方で、ダウンロード指標においては気になる点も。

「無責任でええじゃないかLOVE」は初週23,737ダウンロードを記録していますが、フィジカルシングルの初週売上が15万枚以上を記録する3組によるユニットゆえ、DL数はもっと伸びたのではというのが私見。この点から、ともすればコアファンのデジタルに対する親和性がみえてくるかもしれません。仮にSTARTO ENTERTAINMENT側がデジタルに明るくなろうとするならば、コアファンのデジタル意識醸成は課題ではと考えます。

 

 

日本の男性ダンスボーカルグループにおいてはNumber_iが「GOAT」でデジタル初加算週にビルボードジャパンソングチャートで首位、フィジカルセールス初加算週に2位を記録し、現在も50位以内にランクインしています。そしてBE:FIRSTもビルボードジャパンソングチャートで常に上位進出を果たし、音楽業界で確固たる地位を築きつつあります。

STARTO ENTERTAINMENT所属のKing & Princeは5月23日のフィジカルシングルリリースに先立ち、5月20日(つまりは5月29日公開分ビルボードジャパンソングチャートの集計期間初日)に表題曲をデジタル解禁します。このスケジュール策定の意味等をコアファンと共有する、また事務所全体がデジタルに明るくなりつつあることをライト層やグレーゾーンに広めることが、STARTO ENTERTAINMENT側の喫緊の課題ではないでしょうか。