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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】BBBB12連覇も、この1ヶ月におけるポイント等の下落幅が気になる

最新4月17日公開分(集計期間:4月8~14日)のビルボードジャパンソングチャートでは、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が12連覇を達成しています。

一方で「Bling-Bang-Bang-Born」は、ポイントの下落幅が小さくはない状況です。

 

3月27日公開分にて23,453ポイントを獲得したCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は、その後ポイントのダウンが続いています。最新4月17日公開分おけるポイント前週比は83.1%であり、前週および当週共に50位以内にランクインした(2週分のポイントが判明している)曲においては最も低い数値となります。

 

「Bling-Bang-Bang-Born」の2万ポイント超えはYOASOBI「アイドル」(2023年4月26日~6月28日公開分 9週)、BE:FIRST「Mainstream」(2023年9月20日公開分 1週)に続く記録となりますが、ここで「アイドル」の表をみてみましょう。

YOASOBI「アイドル」が最高ポイントを獲得したのは2023年6月28日公開分。この週はフィジカルセールスの初加算が大きく影響した形ですが、翌週は同指標の加算2週目に伴いポイント前週比は2割以上ダウンしています。一方で最高ポイント獲得後の4週における動向をみると、ストリーミング指標の基となる再生回数は最もダウン幅が大きくとも7%強にとどまっています。

他方、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はフィジカルリリースされながらダブルAサイドの「二度寝」に入るため、5指標が加算対象に。最高ポイントを獲得した3月20日公開分では動画再生指標が首位に躍り出たことが影響していますが、最高ポイント獲得の4週後にYOASOBI「アイドル」がポイント前週超えを果たした一方、「Bling-Bang-Bang-Born」は2割近く減少、またストリーミング再生回数も1割強ダウンしています。

 

フィジカルセールス指標はデジタルの補完的要素、且つ一時的な底上げというのが現在のチャートにおいて最も近い位置付けといえるでしょう。また加算されずともフィジカルがリリースされたことで注目度は高まります。とはいえCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」におけるダウン幅の大きさは気掛かりというのが私見です。

「Bling-Bang-Bang-Born」はUGC(踊ってみた等に代表されるユーザー生成コンテンツ)やTikTok、またカラオケ指標でも人気に。いわば活用を契機として大ヒットを果たしたことから、その反動は今後も表れるものと思われます。ならば、YOASOBI「アイドル」が最新4月17日公開分にて53週連続トップ10入りを記録しているように、「Bling-Bang-Bang-Born」においても人気が持続するかが今後のポイントとなるでしょう。

 

その点において、「Bling-Bang-Bang-Born」にはいわゆるカンフル剤が存在しないのではと懸念します。YOASOBI「アイドル」のテレビパフォーマンスが昨年大晦日の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)までなかったことに対し、Creepy Nutsは既に様々な音楽番組で披露しています(とはいえその姿勢自体は好いと考えます)。たとえば現在開催中のライブでのパフォーマンスを公開する等、運営側が施策を用意することは重要です。

ヒットにおいては、最高位やポイントを獲得することもさることながら、如何に安定させるかも大事であり、そのための施策が鍵となります。低流動性と指摘されることもあるストリーミング指標にて「Bling-Bang-Bang-Born」はやや高い状況ゆえ、尚の事です。歌手の直接の運営側のみならずレコード会社側も、大ヒットに至る経験のみならず安定に向けての施策も積む必要があるでしょう。