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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

通算18週目の首位獲得…「Bling-Bang-Bang-Born」がストリーミングやラジオで強い理由は

最新6月19日公開分(集計期間:6月10~16日)のビルボードジャパンソングチャートは、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が2週連続、通算18週目となる首位を獲得しています。

 

さて当週、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートの速報段階(集計期間前半3日間における先ヨミ記事)ではMrs. GREEN APPLEライラック」が首位となっていましたが、週報では「Bling-Bang-Bang-Born」が逆転しています。

実際、週間チャートがアナウンスされている主要サブスクサービスにおいて、いずれもMrs. GREEN APPLEライラック」がCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」を上回っていました。下記表に掲載した3つのサブスクサービスは厳密には集計期間が異なるものの、この状況からビルボードジャパンのStreaming Songsチャートでも「ライラック」が勝るのではと捉えていました。

 

ストリーミング指標およびその基となるStreaming Songsチャートで「Bling-Bang-Bang-Born」が「ライラック」を逆転した要因として、週末の再生回数増加が考えられます。

ストリーミング指標のデータ提供元のひとつであり、再生回数全体のおよそ2割を占めるといわれるSpotifyではデイリー200位までの再生回数が可視化されるのですが、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は金曜から土曜にかけての伸び率が大きいのが特徴です。実際、6月15日土曜付では「Bling-Bang-Bang-Born」が再生回数前日比116.5%に対し「ライラック」は同110.3%となっています。

先述した総合ソングチャートの記事ではCreepy Nutsが6月15日および16日に代々木第一体育館公演を行ったこと、東京ドーム公演開催をアナウンスしたことが紹介されています。日曜公演はテレビ中継も行われており、これら報道や中継が「Bling-Bang-Bang-Born」の集計期間後半における再生回数のさらなる増加につながったと考えます。

加えて、ストリーミング指標やその基となるStreaming SongsチャートはYouTubeのオーディオストリーミングも対象となります。Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は動画再生指標で首位に返り咲いており、YouTubeをオーディオストリーミングを介してチェックした人の多さも想起可能です。

(なお、Spotifyデイリーチャートにおける金曜→土曜の増加率の高さから、「Bling-Bang-Bang-Born」は子どもたちの運動会等といった行事や、家族のドライブ等における行楽のBGMとして用いられる傾向が高いと推測しています。)

 

ちなみに、総合ソングチャートの記事にて「Bling-Bang-Bang-Born」はラジオが唯一伸びた指標として紹介されていますが、これは当週が東名阪のラジオ局における聴取率調査週間であったことが要因と考えられます。この一週間は放送局の大半で"スペシャルウイーク"と銘打ち豪華プレゼントや豪華ゲスト企画を用意していましたが、この期間はOA曲にも特徴があることを4年前のエントリーで紹介しています。

ラジオエアプレイは他の指標と異なり一押しの新曲や新人を紹介する傾向が強く、総合チャートとは順位が大きく乖離しているもののその独自性が面白い指標という印象があります。しかしながら、スペシャルウイークでは普段ラジオをあまり聴かない方にも聴いてもらうべく、ここ最近ヒットしている曲をより多くかける傾向があるのだろうということが「Pretender」や「白日」のチャートアクションから見て取れます。

 

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はポイントが漸減しており、次週は9千ポイントを割り込む可能性も考えられますが、しばらくはトップ5内をキープし、首位に至る週も出てくるかもしれません。