毎週木曜以降は最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。
10月31日~11月6日を集計期間とする最新11月9日公開分(11月14日付)ビルボードジャパンソングスチャートは、Official髭男dism「Subtitle」が3連覇を達成。ストリーミングや動画再生回数を伸ばし、ポイントも前週超えを果たしています。
【ビルボード】Official髭男dism「Subtitle」3週連続総合首位、週間ストリーミング再生数が2週連続2,000万回超え https://t.co/hkhdMKyl8i pic.twitter.com/tBx5bSma5z
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) November 9, 2022
Official髭男dism「Subtitle」はストリーミング指標が前週比101.3%となる21,044,966回再生を記録し、BTS「Butter」が2021年6月2日公開分(6月7日付)で記録した29,935,364回に次ぐ歴代2位の週間再生回数を記録(前週自身が記録した内容を更新)。さらに動画再生指標でも前週比123.7%となる3,098,136回再生を記録したほか、ラジオおよびカラオケ指標でもポイントが増加。集計期間内に祝日があったとはいえ、強さが際立ちます。
Official髭男dism「Subtitle」は10月19日公開分(10月24日付)の初登場以降のポイント推移は10,612(3位)→14,433(1位)→16,053(1位)→16,626(1位)となり、3週連続で上昇。そしてこの「Subtitle」を追い続けるのが米津玄師「KICK BACK」で、「Subtitle」と同週に首位で初登場を決めた後は3週連続で2位をキープ。15,526→13,686→13,852→13,925ポイントと安定した推移をみせています。
そして「KICK BACK」は、今年度最終週となる11月30日公開分(12月5日付)での首位奪還を狙っています。
何が言いたいかというと、配信加点だけで1万点を超えるような大人気曲に、CD売上20万が更に加わったら完全無双状態になるという事。
— 紅蓮・疾風 (@ideal_charts) November 6, 2022
そして「KICK BACK」は、既に「大人気曲」の枠には収まらない程の「特大人気曲」という恐ろしさ。#米津玄師 #KICKBACK #チェンソーマン
上記は日本では数少ないビルボードジャパンソングスチャートの予想を行う紅蓮・疾風さんによるツイートを上記に。米津玄師「KICK BACK」は11月23日にフィジカルシングルがリリースされ、前作「M八七」と同程度の売上ならば初週24万枚が見込めることから、フィジカルセールスのみで7千ポイント以上を獲得し、総合での2万ポイント突破はほぼ間違いないとみられるのです。
KICK BACKシングルこんな感じです。すげーいいぞ。https://t.co/XKEMo1eZwN#KICKBACK_米津玄師 #チェンソーマン pic.twitter.com/f0AsMXqUTO
— 米津玄師 ハチ (@hachi_08) November 1, 2022
オープニングテーマに起用されたテレビアニメ『チェンソーマン』にちなんだチェンソーネックレスが付いたチェンソー盤、DVDが同梱された映像盤そして通常盤の3種がリリースされるのみならず、封入特典として来年のツアーの最速先行シリアルナンバー(抽選)が封入。この応募終了日時は11月30日公開分(12月5日付)ビルボードジャパンソングスチャートの集計期間終了時と同一であり、初週フィジカルセールスの増幅に寄与することが考えられます(なお、シリアルナンバー封入は以前の作品でも行われています)。
2022年度の週間ポイント数で米津玄師「KICK BACK」が自身の「M八七」を超える可能性は高いと思われますが、ひとつだけ気になることがあります。それはルックアップ指標です。
ルックアップとは、CDをパソコン等インターネット接続機器に取り込んだ際、インターネットデータベースのGracenoteにアクセスされる数のこと。売上枚数に対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)やレンタル枚数の推測を可能とするものですが、米津玄師さんはシングルCDのレンタル解禁をアルバムと同じ17日後に設定してきました。
レンタル解禁日設定については米津玄師さんが所属するソニーミュージック系列の意向も強いとみられますが、米津さんはレンタル遅らせ解禁により「Lemon」や「馬と鹿」等においてダウンロード解禁→ミュージックビデオ公開→フィジカルリリース→レンタル解禁という段階的なスケジュールを用意しポイント面で複数のピークが誕生(なお例示した2曲はサブスク解禁以前の作品)。チャート施策としても有効に作用していました。
今作「KICK BACK」においてレンタル遅らせ解禁措置を採った場合、レンタルによるルックアップは加算されません。ビルボードジャパンはルックアップおよびTwitter指標を今年度をもって加算終了することをアナウンスしており、レンタル遅らせ解禁に伴うルックアップでのピーク作りは不可能です。ゆえに今年度最大ポイントを狙うならばレンタル遅らせ解禁を止め、フィジカル発売週にレンタル解禁することが好いでしょう。
11月10日朝の段階で「KICK BACK」はTSUTAYAでの登録がないため、レンタル解禁が後日になるかは分かりません。一方で「KICK BACK」の前週にリリースされるなにわ男子「ハッピーサプライズ」は現段階でレンタル遅らせ解禁施策を採ることが判明し、レンタルは今年度中に行われません。それゆえ、ともすればOfficial髭男dism「Subtitle」や米津玄師「KICK BACK」を週間単位でも超えることはできないかもしれません。
(上記はショートバージョン。)
このブログではレンタル遅らせ解禁施策を採ってもフィジカルセールスに大きく影響しないだろうことを以前提示しています。ルックアップ指標の加算が終了するタイミングで、レンタルに伴うポイントを頼りにしていた歌手や作品はレンタル解禁をフィジカルリリース週に合わせるよう設定し直す必要があると考えます。レンタル業界自体が衰退の一途を辿ると言われており、そのカンフル剤としても有効ではないでしょうか。