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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ビルボードのHot Trending Songsチャートがリニューアル…2回目までのチャートから見えてきたこと

ビルボードは先週、Hot Trending Songsのリニューアル後初となるチャートを発表しました。そのリニューアルについては大きな変動がないのではと捉えていましたが、前週および最新のチャートをみると自分の想像以上でした。リニューアルアナウンス時にきちんと伝えなかった反省も踏まえ、今回きちんと紹介していきます。

 

 

ビルボードが昨年開始したHot Trending Songsチャートについては、開始後にブログエントリーで解説しています。開始後、K-Popの占拠率が高かったのがこのチャートの特徴でした。

そして米ビルボードは先月、Hot Trending Songsチャートのリニューアルを発表しました。

この内容はビルボードジャパンでも翻訳され、記事として登場しています。

この『話題になりつつある楽曲もランキングに反映させることができるようになる』という部分が、リニューアル後2週間の動向ではっきりと示されています。

 

リニューアル初回となる11月5日付Hot Trending Songsチャートではリアーナ「Lift Me Up」が首位に登場しました。

リニューアル前最後となる10月22日付から、トップ20内では14曲が入れ替わっています。そしてそのリニューアル前最後のHot Trending SongsチャートではK-Popが席巻していたことが解ります。

11月5日付で首位を獲得したリアーナ「Lift Me Up」は最新11月12日付米ビルボードソングスチャートで2位に初登場。JIN(BTS)「The Astronaut」はHot Trending Songsチャート5位の翌週、米ビルボードソングスチャートでは51位に入りました。リリース前の期待値の高さがHot Trending Songsチャートに反映されるようになったとの解釈が可能です。

 

さらに最新11月12日付Hot Trending Songsチャートにおいては、ドレイク & 21サヴェージ(一部メディアではトゥエニーワン・サヴェジとも表記)のコラボアルバム『Her Loss』から大量エントリーを果たしています。

首位を獲得したドレイク & 21サヴェージ「Circo Loco」は実際に起きた事件を基に、被害者であるミーガン・ザ・スタリオン(メディアによって表記が異なり、ミーガンではなくメーガン、ザではなくジーと記すところも。ここでは日本のレコード会社の表記を使用しています)に対して無礼なリリックが用いられています。この点についてはライターの竹田ダニエルさんがスレッドの形で紹介されています。

(勝手ながらツイートを取り上げさせていただきました。問題があれば削除いたします。)

個人的にはこのような揶揄は許してはならないと考えますが、今回物議を醸したことが「Circo Loco」をHot Trending Songsチャートの首位に押し上げた要因とも言えるでしょう。現に米ビルボードは記事にて、『“Circo Loco” drew a larger amount of virality than the rest of the 16-song tracklist due to a controversial lyric referencing Megan Thee Stallion allegedly having been shot by Tory Lanez in 2020.』と紹介しています。

ドレイク & 21サヴェージ『Her Loss』は次週、11月19日付米ビルボードアルバムチャートに初登場予定であり、収録曲も同日付ソングスチャートに大挙エントリーが予定されます。これら収録曲がアルバム/ソングスチャート初登場週ではなく前週のHot Trending Songsチャートにエントリーを果たしたかについて、米ビルボードではこのような説明がなされています。

The recently relaunched Hot Trending Songs ranking features nine songs from Her Loss, as users tweeted about the then-upcoming release’s tracklist, which was shared Nov. 3, one day before the album’s arrival.

最新11月12日付米ビルボード各種チャートの集計期間は11月3日までの1週間となりますが、リリック直前の11月3日木曜に『Her Loss』のトラックリストが公開(下記ツイート参照)。この公開がツイート数を増やし、期待値の高さと相俟って同作から9曲ものトップ20エントリーが生まれたと言えるでしょう。

 

リアーナ、JINそしてドレイク & 21サヴェージによるソングスチャート登場前のHot Trending Songsエントリーからは、リリース前の期待値がチャートに反映されていることがよく解ります。リニューアル初回で抱いた自分の感覚(下記ツイート参照)は、ドレイク & 21サヴェージの大量エントリーによって揺るがないものとなりました。

Hot Trending Songsチャートもライト層の支持がより大きく反映された形にリニューアルされたと言えます。他方J-PopやK-Pop等のアジア発の作品群は、米ビルボードソングスチャートにおけるストリーミングやラジオ指標、アルバムチャートにおけるストリーミングのアルバム換算分(SEA)を上げることでロングヒットを目指さない限り、米で広く社会に浸透し真の人気を得ることはさらに難しくなったとも言えそうです。