毎週木曜以降は最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。
11月28日~12月4日を集計期間とする最新12月7日公開分(12月12日付)ビルボードジャパンソングチャートは、Official髭男dism「Subtitle」が首位に返り咲きを果たしています。
【ビルボード】Official髭男dism「Subtitle」が米津玄師「KICK BACK」を逆転、5度目の総合首位返り咲き https://t.co/TaRxS94QuJ pic.twitter.com/fd5Fgld8SI
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年12月7日
今週公開分からビルボードジャパンは2023年度に突入。そしてこのタイミングでチャートポリシー(集計方法)が変更されています。
上記CHART insightからも分かるように、2023年度に入りルックアップおよびTwitter指標が廃止となりました(なおCHART insightでは曲やアルバム単位において、廃止された2指標の2022年度までの分が表示されるようになっています)。なおこの2指標廃止以外に関する変更については行われていない模様であり、毎週ソングチャートの予想と結果分析を実施する紅蓮・疾風さんがその旨をアナウンスされています。
Billboard JAPANチャート、ルックアップ&Twitter指標を2023年度チャートより廃止 https://t.co/sUmiTGOexU pic.twitter.com/esKzvqNHUc
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年10月26日
なお当週より23年度集計期間となり、事前予告の通りルックアップ指標とTwitter指標は廃止され6指標体制に移行しました。それに合わせてスレッドに掲載した表の形式も一部変更しています。残り6指標に関しては、換算率の変更等は見られません。
— 紅蓮・疾風 (@ideal_charts) 2022年12月7日
(勝手ながらツイートを引用させていただきました。問題があれば削除いたします。)
CDをパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスする数を指し、売上枚数に対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)やレンタル枚数の推測を可能とするルックアップ指標は特にジャニーズ事務所所属歌手が、Twitter指標はジャニーズ以外の男性ダンスボーカルグループが強かったという状況です。下記は2022年度における2指標の週間チャート推移であり、その傾向がよく解ります。
廃止された2指標を補う意味でもデジタル、特にストリーミングでポイントを獲得することが今後ますます重要となります。所有指標は特にフィジカルにおいて急落する傾向にあるため、デジタル未解禁を続ける歌手がデジタルに前向きになることは必須となったというのが私見。ビルボードジャパンソングチャートが社会的ヒット曲の鑑と成ってきたことを踏まえれば尚の事です。
さて今回、このルックアップが大きく影響したと思しき作品がなにわ男子「ハッピーサプライズ」。フィジカルセールス加算3週目にして総合100位圏外へダウンしてしまいました。
(上記ミュージックビデオはショートバージョン。)
この3週分における「ハッピーサプライズ」のCHART insightを下記に。廃止されたルックアップはオレンジ、Twitter指標は水色、そして総合順位は黒で表示されます。チャート構成比に占めるルックアップ指標が高かったことがよく解ります。
「ハッピーサプライズ」においては前作ほど動画再生指標が強くないという側面もありますが、特にルックアップ指標の廃止が総合ソングチャートのダウンに大きく響いたと言えます。そしてこの状況は今後、ジャニーズ事務所所属歌手のシングル作品全般で発生すると考えていいかもしれません。2022年度におけるシングル曲の動向をみると、ルックアップの強さが目立っているのです。
2指標廃止の影響はジャニーズ事務所所属歌手に限ったことではなく、これまでフィジカルに強かった歌手やTwitterで安定した成績を収めてきた歌手にも及びますが、ジャニーズ事務所がまず浮かんでくることは自然なことかもしれません。一方で、今回のチャートポリシー変更がデジタルの充実に向かわせるのではなく、コアファンも含めビルボードジャパンを意識しないようになるのではと邪推してしまう自分がいます。
その危惧に現実味を帯びさせないよう、音楽チャートの認知拡大やエンタテインメント業界全体での環境改善、また音楽ファンが監視の目を持つことは急務と考えます。2指標廃止のタイミングで記したブログエントリーから引用し、音楽業界等の改善を強く願います。
他方今回を機に、一部組織やそのコアファンからそっぽを向かれる可能性もあるのではという危惧も捨てきれません。ビルボードジャパンは自らの認知度を高め信頼度を増す(特に一時期目立ったミスの連続を絶対に起こさない)ことで業界内外や広く海外にも支持者を集め、日本の音楽業界がチャートを無視できない環境を築き上げることを願います。そしてメディアが行うべきは、そのチャートへの正当な批評、そしてエンタテインメント業界改善に向けてどうするかを考え提案することでしょう。