(※追記(7月9日7時27分):ジャニーズ事務所所属歌手が今年度にリリースしたシングル16曲について、フィジカルセールス初加算を含む3週分のチャート動向を追記しました。)
毎週木曜は、最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。
6月28日~7月4日を集計期間とする7月7日公開(7月12日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。BTS「Butter」が4週ぶり、通算3週目の首位を獲得しました。
【ビルボード】BTS「Butter」総合首位返り咲き&V3達成 YOASOBI「三原色」総合4位に初登場 https://t.co/Dipjpfbvdo pic.twitter.com/QOBkgJb5xd
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年7月7日
集計期間中、BTS「Butter」は『THE MUSIC DAY』(日本テレビ)でパフォーマンス。日本独自のベストアルバム『BTS, THE BEST』の効果等は薄れてきた印象があり、「Butter」のポイント前週比は83.1%となっていますが、しかし安定した強さを発揮しています。
一方で今週フィジカルセールスを制したNEWS「BURN」は総合2位。首位を獲得することはできませんでした。
初週フィジカルセールスは前作「ビューティフル」から8千枚近く伸ばした一方、ビルボードジャパンが下半期からソングスチャートにおけるフィジカルセールス指標のウェイトを下げたことで(係数処理枚数を30万→10万に変更。枚数は推定ですがほぼ間違いないでしょう)、前作の17699ポイントに対し今回は11703ポイントの獲得にとどまり、BTS「Butter」とは1500ポイント以上の差が開いてしまいました。
デジタル未解禁というハンデはありながらも、10万を超えるフィジカルセールスゆえ総合首位の可能性もあったNEWS「BURN」。しかし至れなかったと考える点がふたつ。ひとつはレンタル解禁日が二度あること。4種リリースされた前作「ビューティフル」では通販盤を除く3種のレンタル解禁日がいずれもリリースの17日後でしたが、3種リリースの今作「BURN」では通常盤が3日後、2種の初回限定盤は17日後となっています。
度々失礼します。
— Kei (@Kei_radio) 2021年7月1日
GEOで確認してその理由が解りました。通常盤は7月3日ですね。https://t.co/krpdcxCvTw
一方で初回限定盤はA・Bともに7月17日となっています。https://t.co/dDKfPHQNhChttps://t.co/gIbxVHEaTp
解禁日のずれを記したツイートはこちら。この二重設定を用意した真意は解りかねますが、運営側はおそらく初回限定盤のフィジカルセールス上昇を目的とし、また前作においてリリース直後のレンタルを用意しなかったことで生まれた不満の解消を図ったものと思われます。しかしリリース週に十分なレンタル解禁が成されないことでレンタル喚起につながらず、ルックアップの上昇に至らなかったのではないでしょうか。
(ルックアップとは、パソコン等インターネット接続機器にCDを取り込んだ際、インターネットデータベースのGracenoteにアクセスされる数を示します。フィジカルセールスに対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)、およびレンタル回数を推測可能とするものです。)
そしてもうひとつは、動画再生指標の強くなさ。
ビルボードジャパンのCHART insightにおいて、「BURN」の総合および動画再生指標の順位のみを抜き出したのが上記。ミュージックビデオの解禁日から間もなく、6月16日公開(6月21日付)で動画再生が100位未満ながら300位圏内に入ったものの、最新週では当該指標が300位にも達していません。
考えられる理由としてはふたつ。近年ジャニーズ事務所所属歌手がYouTubeにアップするミュージックビデオはそのほぼすべてが短尺版ながら、2~3分の尺が増えています。しかし「BURN」の尺は1分19秒と短く、これが視聴に結びつきにくかったのではというのが一点。そしてもうひとつは、NEWSにおいては動画再生自体が強くないだろう点にあります。
NEWSは前作「ビューティフル」でも動画再生は最高100位未満(300位圏内)であり、またフィジカルセールス初加算週において動画再生が300位以内に入っていません。
ジャニーズ事務所所属歌手が今年度にリリースしたシングルは16曲ですが、そのうちNEWSの2曲同様フィジカルセールス初加算週に動画再生が300位未満だったのはA.B.C-Z「Nothin' but funky」、V6「僕らは まだ」の2曲。また動画再生が100位未満(300位圏内)なのはKAT-TUN「Roar」、Sexy Zone「LET'S MUSIC」、ジャニーズWEST「サムシング・ニュー」、関ジャニ∞「ひとりにしないよ」の4曲となっています。
(※追記(7月9日7時27分):ジャニーズ事務所所属歌手が今年度にリリースしたシングル16曲について、フィジカルセールス初加算を含む3週分のチャート動向を下記に掲載します。)
(※追記ここまで)
関ジャニ∞やジャニーズWESTは別曲で動画再生100位以内に入っているものの、ベテラン歌手ほど動画再生が強くないだろう傾向が見えてきます。一方で直近のデビュー組は当該指標に長けており、とりわけSnow Manは新曲「HELLO HELLO」が、リリース前ながら4週連続で動画再生トップ10入りを果たしています。
YouTubeのオーディオストリーミングはストリーミング指標(上記CHART insightにおいて青で表示)としてカウントされるため、Snow Man「HELLO HELLO」はサブスク未解禁ながらストリーミング指標が3週連続加算対象に。これが如何に珍しいかは以前ブログで述べており、またSixTONES共々動画再生の高さについても記しています。
SixTONESもSnow ManもYouTubeチャンネルを持っているゆえに動画再生が強いという側面もあるでしょうが、それでも所属歌手によって当該指標に大差がついていることは注目に値します。ベテラン歌手ほど、この点の克服は急務と言えるでしょう。
ちなみに、フィジカルセールス加算2週目の関ジャニ∞「ひとりにしないよ」は4→62位へ急落。そして星野源「不思議」は総合首位から11位に後退し、トップ10入りをキープできませんでした。「不思議」のポイント前週比は33.8%と高くありません。
ほぼすべての指標が順位を落としていますが、仮にレンタル解禁日がフィジカルセールスの3日後に設定されていたならばルックアップのダウンは軽減できたものと考えます。それでも、同じくレンタル解禁日を17日後に設定した米津玄師「Pale Blue」のフィジカルセールス加算2週目におけるポイント前週比が54.0%であり、「不思議」は接触指標がそこまで強くないことがトップ10キープに至れなかった要因と言えるでしょう。
最後に私見を述べるならば、ルックアップの件も踏まえ、レンタル解禁日は統一してほしいと考えます。