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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

BTS「Butter」は米ビルボード制覇が確実? 予想担当者の信憑性を高めたBTS側の施策とは

BTS「Butter」が米ビルボードソングスチャートを制する可能性が高まっています。

ビルボードソングスチャートを予想する方々をフォローしているのですが、次回6月5日付ではすべての方が「Butter」が制すると予想。5月29日付チャートを制したオリヴィア・ロドリゴ「Good 4 U」を大きく引き離すとしています。

ビルボードソングスチャートは歌手のホームページで販売されたデジタルおよびフィジカルセールスもダウンロード指標に含むのですが、そのため「Butter」のセールスは読みにくいとされています。ゆえに、上記ツイートはあくまで予想と前置きしなければなりませんが、しかし首位発進を半ば裏付ける動きをBTS側が行っているのです。

「Butter」の”Hotter Remix”がリリースされたのは日本時間の5月28日金曜13時。ちょうど1週間前にオリジナルバージョンが公開されていますが、この金曜13時(米がサマータイムを適用していない期間は金曜14時)が米ビルボードやグローバルチャートにおけるストリーミングおよびダウンロード指標の集計開始時刻に当たります。

 

実は「Butter」におけるリミックスの投入は、「Dynamite」に比べて遅いのです。

BTSが「Dynamite」が初登場で首位を獲得した昨年9月5日付米ビルボードソングスチャートについては上記エントリーで記していますが、首位獲得の要因のひとつにはオリジナルバージョンのリリースから1週間も経たずにリミックスを複数投入したことが挙げられます。

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「Dynamite」が首位を獲得する前は2週連続でカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」が制しており、とりわけストリーミングの凄さが際立っていたことから、BTS側がリミックスを初週集計期間中に投入したと推測されます。ゆえに「Dynamite」は圧倒的なダウンロード数がストリーミングやラジオの差を埋め、「WAP」を逆転するに至ったのです。

 

ならば、オリヴィア・ロドリゴ「Good 4 U」と対決する「Butter」でもリミックスが早期投入されるものと予想されたのですが、Hotter Remixのリリースはオリジナルバージョン解禁の1週間後。つまり「Butter」は、リミックスを投入せずとも首位獲得を確実にしたとしてオリジナル解禁後1週間以内でのリリースを取り止め、むしろ連覇達成のための武器として用いたと考えるのが自然でしょう。

 

連覇のための施策はリミックス投入にとどまりません。

米ABCの『Good Morning America』(GMA)で「Butter」を披露したのも現地時間の5月28日金曜朝。BTSは「Dynamite」も披露し、番組におけるサマーコンサートシリーズの幕開けを飾っています。このシリーズの初日が偶然金曜だったとして、BTSは「Butter」2週目のチャートアクションを押し上げる最良の機会を得たのです。これもまた施策の一環と言えるでしょう。

 

 

ビルボードソングスチャートは日本時間の火曜早朝までに発表される予定。ただし現地時間の5月31日月曜が祝日のため1日遅れる可能性もあります。その動向に注目しましょう。

また、グローバルチャートのチェックも重要です。グローバルチャートにおいては主要デジタルプラットフォームのストリーミングおよびダウンロードのみが対象となり、ラジオや歌手のホームページでのセールスは含みません。そのため米ビルボードとグローバルチャートを比較すると、BTS「Butter」の歌手のホームページにおける販売分が推測できるのです。