イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「踊」「きらり」「Cry Baby」…ロングヒット候補3曲の動向と、さらなる安定に向けての提案

ビルボードジャパンソングスチャートの上位をみると、初週フィジカルセールスの勢いで突出したチャートアクションを示す一方で翌週には急落する曲、そして超がつくほどロングヒットする曲に分かれる傾向があります。

その中で、今後のロングヒットが見込める3曲を紹介しましょう。

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Ado「踊」は4位に初登場後、5→9→9位と推移。ポイント前週比も常時87%以上となり、最新では99.9%とほぼ横ばいに。「踊」についてはチャートに初登場する前、施策の巧さについて記載しました。

注目は、曲への”チャレンジャー”が多く生まれていること。踊ってみた動画に代表されるUGC(User Generated Contents)の数を示すTop User Generated Songsチャートでは15→3→3→2位と推移、さらにカラオケも42位に急上昇しています。

「踊」については今後、カラオケの伸びが要のひとつとなるでしょう。しかしながら緊急事態宣言の延長により、この指標はとりわけ逆境にさらされています。この克服には国が動かない限りどうしようもありませんが、動向に注目していきたいところです。

 

 

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藤井風「きらり」は2位に初登場し自己最高位を更新すると、その後は5→6位と推移。ラジオで強さを発揮する曲ですが、今後はカラオケに加点対象が置き換わるでしょう。また次週はミュージックビデオの再生回数が初めて1週間フルで加算されます。

「きらり」が2位に初登場を果たしたタイミングでアップしたブログエントリーでは、『現在のチャートにおけるロングヒットの条件はストリーミング指標5割以上、動画再生指標およそ10%以上』と書きました。次週以降その理想形に近づくと考えます。

さらなるバズを起こすためには、以前も述べたように生放送の音楽番組に出演することも必要かもしれません。出演は藤井風さん側の判断に委ねられますが、テレビ出演が接触指標群、そして所有指標を押し上げることは上記ブログで記した通りです。

 

 

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最新チャートでは11位にダウンするも、Official髭男dism「Cry Baby」は10→8→11位と安定。8位へ上昇した理由は解禁後はじめて1週間フル加算されたためですが、翌週のポイント前週比は2割強のダウンにとどまっています。

次週は仮にポイントを落とすにしても、下落幅は小さくなることが予想されます。

このようなコラムが登場すると、曲がじっくり何度も聴かれるようになるはずです。コラムが曲のさらなるバズを引き起こした例としては、現代ビジネスの記事がAdo「うっせぇわ」を総合首位に押し上げる一因となったことが挙げられます。

他方、気掛かりなのは「Cry Baby」が動画再生未加算のままということ。

この点についてはチャート分析や予想に長けたあささんがいち早く指摘されています。

Official髭男dismにおいてはこのようなことは多くないのですが、あいみょんさんにおいては「裸の心」等で散見されます(この点もあささんが指摘されています(→こちら))。この対策をきちんと行っていたならば、「裸の心」は昨年度年間ソングスチャートでさらに高い順位に達していたはずです。

 

 

今回取り上げた3曲は新たなロングヒット候補となることでしょう。さらなるヒットを目指すべく、芸能事務所やレコード会社側は問題点があれば解消に至らせ、曲をさらなる高みへ押し上げる努力を惜しまないよう願うばかりです。