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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンアルバムチャート、デジタル未解禁作品が2週連続で首位を獲得したことについて

次週11月26日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートは、フィジカルセールスに強いNiziU『New Emotion』と、RADWIMPSのトリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』が首位を競うものとみられます。

フィジカルセールスではNiziU『New Emotion』が圧倒している一方、主要サブスクサービスでは『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』収録曲が強い状況です。ビルボードジャパンは本日、アルバムチャートのダウンロード指標およびソングチャートのストリーミング指標(その基となるStreaming Songsチャート)の速報値を発表するため、状況次第では『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』が総合で逆転する可能性がみえてきます。

 

さて、そのアルバムチャートでは当週、B'z『FYOP』が首位を獲得。一方でこのチャートは、2週続けてデジタル未解禁作品が制したことになります。

 

B'zの3年ぶり、通算23作目のオリジナル・アルバムとなる本作には、NHK連続テレビ小説『おむすび』主題歌で、昨年末放送の『第75回NHK紅白歌合戦』での披露も話題を呼んだ「イルミネーション」 をはじめ、全形態共通の10曲が収録されている。今回、CDセールス数178,592枚で1位にチャートイン。本チャートでは、前作の『Highway X』をはじめ、『NEW LOVE』『FRIENDS III』『DINOSAUR』に続いて5作目となる首位獲得となった。

B'z『FYOP』の初週フィジカルセールスは前作『Highway X』が2022年8月17日公開分にて記録した138,359枚を4万枚以上上回っています。ともすれば今作において、同梱される映像盤に昨年の『NHK紅白歌合戦』でのパフォーマンス映像が収録されていることも、大きく寄与したのかもしれません。

一方、『FYOP』は現時点においてもデジタル未解禁が続いています。CHART insightをみると、ダウンロード(紫)およびストリーミング(青)のデジタル指標群が加点されていないことが解ります。

この状況は前作『Highway X』でも同様でした。同作品は同週リリースされたAdo『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』に総合首位の座を奪われています。

さらに、アルバムからの先行曲がデジタルで解禁されているという状況も共通しています(『FYOP』収録の「FMP」は11月1日にデジタル解禁)。つまりB'zは今作でも、アルバムをチェックするならばまずはフィジカルでという姿勢を採っているのです。なお、「FMP」先行配信を紹介した公式ホームページにて、アルバム全体のデジタル配信が11月26日にスタートすることが記載されています(ページのリンクはこちら)。

B'z『Highway X』は総合2位に初登場を果たした翌週は5位に後退していますが、最新作の『FYOP』はトップ10キープが難しいのではと考えます。昨年最終週にストリーミング指標が組み入れられたことで、ストリーミングに強くない作品は急落する傾向がより高まったためです。

 

一方、前週フィジカルセールスがミリオンを達成し、デジタル未解禁ながら総合アルバムチャートを制したSnow Man『音故知新』は、当週9位に後退しています。

Snow Manは前作『THE BEST 2020 - 2025』が同じく初週ミリオンセールスを記録しながら、デジタル未解禁を続けたことで翌週は1→13位に後退しています。

Snow Man『THE BEST 2020 - 2025』のフィジカルセールスは1,438,742→69,874枚と推移していましたが、今作『音故知新』は1,060,153→49,012枚となり総合アルバムチャートでは1→9位へ。ベストアルバムよりもフィジカルセールスが少ないながら、他の作品との兼ね合いによりトップ10内をキープできたといえるでしょう。しかしアルバムとしてデジタルを解禁しない限り、再浮上は難しいというのが私見です。

 

 

B'zやSnow Manのみならず、当週ソングチャートで2位を記録したtimelesz「Steal The Show」、また前週フィジカルセールスが初加算された山下達郎オノマトペISLAND」もサブスク未解禁の状況です。彼らにとってはフィジカルが大事、もしくはデジタルがフィジカルを駆逐しかねないと未だ捉えているのかもしれませんが、それではコアファン以外に"見つかる"可能性は低く、機会損失ではと考えます。

 

 

さて、当週のビルボードジャパンアルバムチャートではRADWIMPSの作品が上昇しています。

そのほか、アルバム『あにゅー』で8位を獲得したRADWIMPSは、『RADWIMPSのはじまりはじまりのまとめ』や『青とメメメと君と』など、5作品のアルバムが順位を上げた。11月19日にリリースされた、トリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』に上白石萌音SEKAI NO OWARI、米津玄師、iri、ずっと真夜中でいいのに。、My Hair is Bad宮本浩次DISH//Mrs. GREEN APPLE、ヨルシカ、YOASOBI、Vaundy、ハナレグミ、角野隼斗が参加しており話題となっている。

『あにゅー』以外の5作品はいずれもストリーミング指標が上昇しており、トリビュートアルバムの"予習"としてチェックした方の多さを示しているといえます。『RADWIMPSのはじまりはじまりのまとめ』や『青とメメメと君と』は入門編プレイリストと呼べる作品群であり、RADWIMPSがデジタルにきちんと対応してきたことが読み取れます。デジタルに明るい歌手の作品は、関連作の登場に伴い光が当たるのです。

 

『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』収録曲の勢いについては、本日公開の別エントリーにて紹介しています。