このブログでは毎年、ラジオ業界について気になった出来事をまとめています。そこで今年も、首都圏ラジオ業界を主体に5つのトピックを紹介。昨年のニュースは下記に。
目次
① 首都圏ラジオ局聴取率、TBSラジオの首位継続と情勢の変化
首都圏ラジオ局で2ヶ月に一度、1週間に渡って行われる聴取率調査。12月調査は本日からスタートしますが、昨年12月から今年10月までの6期においてはすべて、TBSラジオが首位を獲得しました。
とはいえ疑問はいくつか芽生えています。ひとつは10月の結果を記したブログエントリーでも触れたように、単独首位を報じるよりも自局の好調な部分だけを先んじて発表したニッポン放送のニュースばかりが目立っていること(それは同時に、聴取率を調査するビデオリサーチ社等においてその結果をきちんと発表する場所を用意していないことの問題であり、以前から指摘していることなのですが)。また聴取率調査週間になると既存番組を排し特別番組を行う姿勢を、ニッポン放送やTOKYO FMはおろかスペシャルウイークをやめたはずのTBSラジオでも行っていること。そのTBSラジオは8月期(実際の調査対象は9月)においてニッポン放送およびJ-WAVEに聴取率首位で並ばれており、情勢の変化も感じられるのですが、あくまで個人的な思いを綴るならばスペシャルウイークで既存番組を当たり前のように差し替える局が首位にはなってほしくはありません。ちなみに今日からの1週間においても、差替番組があまりに目立つ印象があります。
② radiko、民放99局全局聴取可能に
エフエム徳島のサービス開始に伴い遂に、もしくはようやく、日本全国津々浦々の県域ラジオ局が聴けるようになりました。とはいえ仮に昨年これが達成されていたならば、聴取可能局は3桁だったのです。
③ 県域放送局2局の閉局
新潟県のFMPORT、そして中京圏のRadio NEOが共に6月30日を持って閉局しました。
経営破綻からの立ち直りという局は以前ありましたが、このような終焉は寂しい限りです。今後はどの放送局においても、このようなことが起こる可能性を考えないといけません。
④ InterFM897の経営体制変更に伴う”JFN化”改編
弊ブログにて今年最も反響があったエントリーのひとつが、InterFM897の改編を記したものでした。
改編には否定的な意見が多いものの、賛成の声も一部にみられました。たしかに首都圏ラジオ局でJFN制作の番組を(通信ではなく)電波で聴くことはできなかったという点において今回の改編は意味があるかもしれませんが、だからといって局のコンセプトや質を保たなくていいわけではありません。
⑤ 雑誌のラジオ特集続出、一方で音楽番組軽視の可能性
日経トレンディ11月号、本日発売!木村拓哉さんの表紙が目印です。巻頭特集は「ラジオ」。2000人超のアンケートをもとにした「好きなラジオ番組ランキング」など必見!他にも「2020年下半期食品ブレイク予測」など盛り沢山の内容です。https://t.co/SOyP0w7My4 pic.twitter.com/v6LevuvJSb
— 日経トレンディ (@Nikkei_TRENDY) 2020年10月2日
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— 日経エンタテインメント! (@nikkei_ent) 2020年11月3日
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雑誌の別冊やムック等で今年はラジオ特集が組まれることが多かったのが今年。とりわけ『日経トレンディ』で特集されたのには驚きましたが、雑誌独特のコンセプトに基づく視点が面白かったですね。
しかしこれら特集において、音楽番組を深く掘り下げるものは極めて少なかったと感じています。バラエティやお笑い芸人のラジオ番組、歌手がDJを担当しているものの音楽よりもトークをメインに据える特集が多く、音楽番組についてはスルーと言っても過言ではない状況なのが寂しい限りです。
ラジオ番組で音楽を伝えることは、 そのリスナーが自ら積極的に探していなかったものであっても、もしくは不得手なジャンルだとしても、ふと耳にした瞬間に好きになる可能性を秘めています。これは能動的に接触するサブスクサービスやYouTubeとは異なる、ラジオならではの特徴であり利点。雑誌からは、ラジオ全体が音楽を軽視とまではいかなくとも重きを置かなくなっている様子が見えてくるかのようです。
以上5点が今年の私選ラジオ5大ニュース。個人的にはラジオ局が音楽を大事にし、質の高いラジオ局がきちんと利益を確保でき、聴取率についてはその調査方法をアップデートしたり発表場所をきちんと用意し、そして聴取率調査の際に既存番組を差し替えて担当DJや番組ファンを軽視しない…そんなラジオ業界になることを願うばかりです。