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クリスマスソングのチャート上昇にも仕掛けが有効…12月19日付米ビルボードソングスチャートおよびグローバルチャートトップ10をチェック

ビルボードソングスチャート、現地時間の12月14日月曜に発表された最新12月19日付ソングスチャート(Hot 100)。マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が1シーズンぶり、通算4週目となる首位を獲得しました。

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」はストリーミングが前週比19%アップとなる3140万(同指標1位)、ダウンロードが同8%アップの7000(同指標8位)、ラジオエアプレイが同11%アップの2710万(同指標22位)を獲得。ストリーミングは通算7週目となる首位を記録し、また2011年からはじまったクリスマスソングスチャート(Holiday 100)では28週連続、通算43週目となる首位に至っています。このチャートはクリスマスシーズンのみカウントされるもので今週がチャート開始後48週目となることから、如何に「All I Want For Christmas Is You」が強いかが解ります。なおこの曲のリリース以降、ラジオエアプレイでは通算41億人に届いた計算となり、また10億ストリーミングおよび370万ダウンロードを獲得した、と米ビルボードが伝えています。

 

「All I Want For Christmas Is You」は元々1994年リリースの楽曲ながら、シングルCDはアメリカで未リリース。米ビルボードでは1998年度までシングルCDリリース曲のみがソングスチャートのカウント対象となることから、リリース年にラジオエアプレイがトップ10目前まで上昇したもののソングスチャートへのランクインは叶いませんでした。以降チャートポリシーが変更され、ダウンロードそしてストリーミングが加算されていったことで、2017年12月に「All I Want For Christmas Is You」は初めてトップ10入りを果たすことになります。昨シーズン、オリジナルリリースから四半世紀となる記念すべき年に「All I Want For Christmas Is You」は初となる首位を獲得し、クリスマスソングではチップマンクス with デヴィッド・セヴィル「The Chipmunk Song」以来61年ぶりの快挙を達成。昨シーズンは2019年12月21日付から2020年1月4日付まで通算3週首位を記録しました。

というわけで今回、「All I Want For Christmas Is You」は11ヶ月と15日ぶりに首位の座に帰ってきました。このカムバックまでの長さ(ブランク)は歴代2位の記録であり、最も長いのはチャビー・チェッカー「The Twist」の1年3ヶ月と3週間(1960年9月19日付→1962年1月13日付)。「The Twist」は米ビルボードが作成しているソングスチャートの歴代1位記録曲です。

「All I Want For Christmas Is You」の通算4週目となる首位獲得で、マライア・キャリーは自身の首位獲得週数を83に伸ばし、2位のリアーナに23週の差をつけ独走状態に入っています。またマライアの首位獲得曲数は19曲となりますが、そのうち4週以上首位を獲得したのは今回で7曲目。4週以上首位獲得曲が7曲という記録はリアーナに並び最多となります。

さらに「All I Want For Christmas Is You」は英ソングスチャートも制覇。クリスマスソングで米英共に首位を獲得するのはこの曲が初めてであり、快挙達成です。

マライア・キャリーは今回の首位獲得を踏まえ、次のように語っています。

マライア・キャリーのクリスマスソングは他にもソングスチャートに登場。

12月4日にApple TV+で公開された『Mariah Carey's Magical Christmas』で初披露された、アリアナ・グランデジェニファー・ハドソンを客演に迎えた「Oh Santa!」。10年前にリリースされたオリジナルバージョンは同シーズンでの100位が最高位でしたが、今回は76位に初登場し2名の客演もクレジット。ストリーミングは630万、ラジオエアプレイは170万、ダウンロードは10000を獲得し、ダウンロードにおいては3位を記録しています。『Mariah Carey's Magical Christmas』サウンドトラックは最新12月19日付米ビルボードアルバムチャートで99位に初登場(12000ユニットを獲得)、またマライア・キャリー『Merry Christmas』(1994年リリース)は10位に上昇しています。

 

クリスマスソングは今週、ソングスチャートトップ10の半分を占拠。昨シーズン2位まで上昇したブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」は4→3位に。ストリーミングは前週比21%アップの2920万、ダウンロードは同13%アップの10000、ラジオエアプレイは同9%アップの2110万を獲得。同じく昨シーズン3位を記録したボビー・ヘルムス「Jingle Bell Rock」は9→5位に上昇。

アンディ・ウィリアムス「It's The Most Wonderful Time Of The Year」は12→6位となり、昨シーズンの7位を上回る同曲最高位を更新。オリジナルリリースは1963年秋となるこの曲ですが、上記の公式ミュージックビデオは最新12月19日付ソングスチャートのデジタル2指標集計開始日となる12月4日に解禁されており、その効果が僅かながらだとしても反映されたものと思われます。

10位には50年前にリリースされたホセ・フェリシアーノ「Feliz Navidad」が、前週から6ランクアップし初のトップ10入りを果たしています。昨シーズン12位を記録したこの曲は、ストリーミングが前週比15%アップとなる1850万、ダウンロードが同34%アップの3000、ラジオエアプレイが同6%アップの2300万を記録。フェリシアーノにとってはザ・ドアーズ「Light My Fire」のカバーが1968年8月に3位を獲得して以来、2曲目となる米ビルボードソングスチャートトップ10入りとなりますが、「Feliz Navidad」においてはリリースから半世紀を祝し、NBC『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』やCBSCBS Sunday Morning』に出演したことなどが今回のジャンプアップにつながっています。こちらもメディア効果に因るものであり、12月20日ライブストリーミングも予定されていることからさらなる上昇も期待できるのです。なお『CBS Sunday Morning』の出演は12月13日日曜となりますが、ラジオエアプレイは12月7~13日が集計期間となります(その他2指標は12月4~10日が集計期間)。

クリスマスソングがトップ10の半分を占めたのは、昨シーズン最終週となる今年1月4日付以来。その際はホセ・フェリシアーノ「Feliz Navidad」ではなくバール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」がトップ10入りしていましたが、「A Holly Jolly Christmas」も今週10ランクアップし14位につけています。しかしながらクリスマスソングのさらなる上昇のためにはネットやテレビ番組の出演、新たなミュージックビデオの公開等仕掛けが功を奏することが、今週のチャートからはっきりと見えてきます。実際、マライア・キャリーも昨年の「All I Want For Christmas Is You」発売25周年記念のタイミングで様々な仕掛けを行っているのです。

ブログの内容を踏まえてRealSoundへも寄稿しましたが、「All I Want For Christmas Is You」はクリスマスシーズンの名物になったと断言していいでしょう。

 

 

仕掛けが功を奏しているのはクリスマスソングだけではありません。

前週11位にダウンしたザ・ウィークエンド「Blinding Lights」が7位に上昇しトップ10にカムバック。これは12月4日、スペインの歌手ロザリアをフィーチャーしたバージョンを公開したことに因るもの(ただし同曲のポイントにおいてロザリアとのバージョンが多くを占めなかったことから、クレジットはザ・ウィークエンド単独となっています)。ストリーミングは前週比22%アップの1530万を記録。これにより「Blinding Lights」はトップ10在籍週数を前人未到の42週に伸ばしています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」

2位 (1位) 24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」

3位 (4位) ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」

4位 (3位) アリアナ・グランデ「Positions」

5位 (9位) ボビー・ヘルムス「Jingle Bell Rock」

6位 (12位) アンディ・ウィリアムス「It's The Most Wonderful Time Of The Year」

7位 (11位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

8位 (6位) ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」

9位 (7位) ジャスティン・ビーバー feat. チャンス・ザ・ラッパー「Holy」

10位 (16位) ホセ・フェリシアーノ「Feliz Navidad」

前週まで通算6週間首位を獲得していた24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」は2位へ後退。ストリーミングが前週比4%ダウンの1810万、ダウンロードが同10%ダウンの5000、ラジオエアプレイは7週目の首位を記録しながらも前週比2%ダウンとなる8420万に。クリスマスソングが一掃されるタイミングまでに勢いをキープできるか、注目です。

 

 

グローバルチャート速報も紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。12月19日付ではGlobal 200でマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が制覇、Global 200からアメリカの分を除いたGlobal Excl. U.S.ではバッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」が連覇を達成しました。

Global 200を制したマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」はストリーミングが前週比19%アップの7930万、ダウンロードが同18%アップの17000を獲得。一方Global Excl. U.S.では3→2位。ストリーミングは前週比20%アップの5140万、ダウンロードは同27%アップの10000を記録しています。

バッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」はGlobal Excl. U.S.で通算5週目となる首位を獲得し、BTS「Dynamite」の持つ最長首位獲得週数に並びました。Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比20%ダウンの7840万、ダウンロードが同20%ダウンの1000を記録。Global 200では2位に後退し、ストリーミングが同20%ダウンの9710万となっています。

Global 200とGlobal Excl. U.S.ではトップ5入りする曲が、順位は異なれど共に同じ。BTS「Dynamite」(Global 200では5位、Global Excl. U.S.では3位)、先述したロザリアとのリミックス版効果でザ・ウィークエンド「Blinding Lights」が上昇(Global 200、Global Excl. U.S.共に4位)、そしてワム!Last Christmas」がGlobal 200では3位、Global Excl. U.S.では5位につけています。

 

 

さて次週はクリスマスソングが強まる中で、米Spotifyデイリーチャートでマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」を上回ったブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」が総合チャートでも逆転するかに注目。そして12月11日に突如リリースされたテイラー・スウィフト「Evermore」収録曲が、リード曲「Willow」を中心にどこまで存在感を示すかにも注目しましょう。