一昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。
ビルボードジャパンの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットし年間チャートで上位に進出する作品と捉えています。週間単位で上位に入るのは好いことですが、一方で所有指標ばかりが強い曲は同指標加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。
この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は毎週半数前後が入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。ロングヒット曲ではライト層の支持を大きく反映するストリーミングが強い一方で急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、ロングヒットするか否かを1週分のチャートのみで判断することは現在のチャートポリシー(集計方法)においては難しいものと考えます。
このブログではビルボードジャパンに対しチャートポリシーの改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、”前週トップ10初登場曲の最新動向”エントリーを掲載する理由です。
<9月16日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・大森元貴「灰色」
9月9日公開分 2位→9月16日公開分 8位
・fav me「にゃんてずるいの!」
9月9日公開分 3位→9月16日公開分 100位未満
・わーすた「わったらいふ!」
9月9日公開分 5位→9月16日公開分 100位未満
・King & Prince「So Honey」
9月9日公開分 6位→9月16日公開分 23位
当週のストリーミング表はこちら。



fav me「にゃんてずるいの!」およびわーすた「わったらいふ!」については当週もフィジカルセールス以外の指標を獲得することができず、総合100位未満に後退しています。
構成指標が8→6となった2023年度初週以降のソングチャートにおいて前週は2位の獲得ポイントが初めて5千を下回ったこともあり、2曲はトップ5に入ることができたともいえます(当週は5位までが5千ポイントを上回っていることもあり尚の事です)。しかしながら瞬発力以上に重要なのはロングヒットであり、2曲が今後デジタルで挽回できるかを注視することが重要です。
さて前週は、大森元貴「灰色」が2位に上昇。当週は8位に後退していますが、累計ポイント構成比に占めるラジオ指標の割合はさらに拡大しています。同曲は8月26日水曜リリースゆえ前週が初の1週間フル加算となったこともさることながら、ラジオの上昇が前週の総合2位到達につながったことがプランテックのラジオオンエアチャート記事から解ります。なおラジオ指標に落とし込む際は各局の聴取可能人口等が加味されます。
2026年9月9日発表のラジオ・オンエア・チャート(集計期間:2026年8月31日~9月6日プランテック調べ)では、大森元貴「灰色」が1位を獲得した。
映画『白鳥とコウモリ』主題歌に書き下ろされ、8月26日に配信リリースされた同曲。リリース当日よりさっそくリクエストも集めつつ多数番組でオンエアが開始されると、前週チャート12位に初登場。今週に入ると同時に勢いを増したオンエアは、調査対象の87.1%となるステーションへと波及、前週比658%増のオンエアを獲得し前週12位から首位へと浮上した。
定期コーナー/番組といった帯枠で積み上げたオンエアを基盤としつつ、多数のリクエストを伴い様々な番組でオンエアを獲得している点はさすが。ダントツのオンエア数で今週最も広く注目された一曲となった。
・【プレイリスト付 エアモニ】大森元貴が新曲で圧勝/キンプリ 多数リクエストの2位/三浦大知 TOP3発進/時はセツナから爽やかへ | Musicman(9月9日付)
前週のラジオオンエアチャートを制した(そして同週のビルボードジャパンソングチャートにおけるラジオ指標でも首位を獲得した)大森元貴「灰色」はオンエアが前週比658%増と急拡大。これが総合ソングチャート2位到達に大きく寄与したと断言可能です。
リリース2週目におけるラジオでの急上昇は大森元貴さん、そして大森さんが所属するMrs. GREEN APPLEで定番化していると捉えています。要因のひとつは施策の実行。前週のラジオオンエアチャート記事における『定期コーナー/番組といった帯枠で積み上げたオンエア』は男性アイドルやダンスボーカルグループ主体に採られる施策の結果と同様であり、歌手側が音楽チャートを意識しているといえます。
ただし施策採用曲は、翌週のラジオオンエアチャートおよびラジオ指標が急落することもまた定番化しています。その中にあって、大森元貴「灰色」は当週のラジオオンエアチャート、ラジオ指標で共に3位を記録しています。
2026年9月16日発表のラジオ・オンエア・チャート(集計期間:2026年9月7日~9月13日プランテック調べ)では、あいみょん「マリーゴールド」が1位を獲得した。
(中略)
3位は大森元貴「灰色」が前週1位からダウンした。映画『白鳥とコウモリ』主題歌に書き下ろされ、8月26日に配信リリースされた同曲。今週で3週目を迎えながら変わらず大量オンエアをキープしつつ、チャートイン以来初めてFM全ステーションでのオンエア獲得に至った点は特筆すべきだろう。
オンエア数こそ減じたものの、多数確認されているリクエストオンエアは前週と同数をキープ。同曲が依然として高い注目度を維持しているのは、公開を迎えた映画が大ヒットを記録していることも一因だろう。今週までのオンエア状況を鑑みてロングヒットが期待できそうだ。
・【プレイリスト付 エアモニ】あいみょん 12週連続インの人気曲で圧勝/M!LK 大量OAの2位発進/大森元貴3位 ロングヒットか/福山7曲チャートイン | Musicman(9月16日付)より
大森元貴「灰色」は施策効果が薄れながらも、リクエストオンエアの多さがラジオ指標の上位安定および累計ポイントにおけるシェア拡大につながったといえるでしょう。ラジオ施策を採る歌手はこの点をきちんと意識することが必要ではないかと考えます。そして、そのラジオが好調なうちにストリーミング等ロングヒットの要となる接触指標群を安定に至らせられるかが重要です。







