最新3月25日公開分(集計期間:3月16~22日)のビルボードジャパンソングチャートでは、前週11位に上昇したレミオロメン「3月9日」が40位に後退しています。前週の集計期間初日がタイトルで示される日であり、ゆえに後退は自然なことかもしれませんが、その指標構成からは興味深い内容が読み取れます。

上記はレミオロメン「3月9日」の、最新3月25日公開分ビルボードジャパンソングチャートでの直近11週分におけるCHART insight。このCHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。
指標構成をみると、フィジカルセールス(黄色で表示)は2週続けて300位未満となり加点されていません。またダウンロード(紫)は7→37位、ストリーミング(青)は63位→100位未満(300位圏内)、ラジオは8→100位、動画再生は4→13位そしてカラオケは1→3位と推移しています。そのうちストリーミングは指標化の際にリカレントルールが適用されており、基となるStreamimg Songsチャートでは13→29位と、高い状態を維持しています。
このリカレントルールも含め、レミオロメン「3月9日」の動向は前週分析しています(上記エントリー参照)。そして当週、特に興味深く感じたのがラジオ指標の急落です。2週前のチャート(集計期間は3月8日まで)では他指標よりも高位置につけていたこともあり尚の事、ラジオ局側はおそらく”3月9日”というタイトルを強く意識し、同日以降この曲のオンエアを躊躇したのではと推測します。
ラジオは季節感を如実に示す指標だということは以前もお伝えしていますが、他の指標はそこまで急落しないということを今回のCHART insightから実感します。また「3月9日」では具体的な日にちの言及がなく(歌詞はこちら)、そしてそもそも卒業ソングとして作られたものではないことをメンバーの藤巻亮太さんが明かしています。今では卒業ソングの意味合いが強くなりましたが、それでも3月9日以降も流れて好いはずです。
楽曲に込められた意味を知るほど、レミオロメン「3月9日」の”3月9日を過ぎてからの急落”に違和感を抱いておかしくないかもしれません。ラジオが他指標とは異なり聴き手(ユーザー)に選曲権がないことも影響しているとして、しかしながらラジオの急落はあまりにもドラスティックな、悪く言えば同曲の卒業シーズンでの使用を意識しない動きではないかと感じた次第です。
さて、ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標はプランテックによる全国の主要ラジオ局(県域放送局)のオンエアデータを基に、各局の聴取可能人口等を加味して算出されます(ただし基のチャートと指標化後での順位は大きく乖離しないといえます)。そのプランテックは今月、新たなサービスを開始しています。
同サービスは、全国FM/AMラジオ局でのオンエア回数や急上昇楽曲、新曲のオンエア拡大状況などをデータ化したもの。放送局の編成担当者や番組プロデューサーが他局の選曲傾向やヒットの兆候を把握し、番組制作・編成判断に活用することを想定している。
ただ、業界内の選曲傾向、またヒットの兆候はプランテックのラジオオンエアチャート(Musicmanでも記事を毎週掲載)、またビルボードジャパンソングチャートからも、大まかだとしても読み取りは可能だというのが音楽チャート分析者の見方であり、6月以降のサービス有償化時にどうなるかが気掛かりだというのも率直な私見です。
また近年はパワープレイ設定曲が1ヶ月、男性アイドル/ダンスボーカルグループを主体とするリリース週の施策強化に伴い新曲が1週間単位でヒットする傾向にありますが、そのヒットは持続するわけではありません。その一方でベテラン歌手の作品を、レギュラー番組を持つ方ならば尚の事多く流す傾向にもあります。ゆえに、”ラジオ局が心から推すラジオ発のヒット”は出にくく成っているという印象を抱いています。
その上で、今回紹介したレミオロメン「3月9日」のビルボードジャパンソングチャートにおけるCHART insightからは、ラジオが他指標に比べて後退が極めて速く、ともすればこの曲の表層ばかりなぞっているのではと痛感しています。この点から、楽曲への愛情が果たしてあるのかという疑問を感じざるを得ないというのが、厳しくも私見です。
またこれは主観強めと前置きしますが、今のラジオはDJによる曲紹介時の技術や愛情が以前より重視されていないと感じます。イントロ乗せ技術、曲や歌手への知識の豊富さ、曲を大切に扱うことへの重要度が下がったと思うのです。
以前書いた内容を再掲し、ラジオ業界が”音楽に深くなる”ことを願います。