ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標は、全国30以上の主要放送局を対象とするプランテックのラジオオンエアチャートに基づきます。その最新ラジオオンエアチャートでは1位および3位のオンエア回数が同数となっていますが、他方ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標では順位が異なります。今回は指標化後における順位の変動事由、そしてこのラジオ指標の特徴について紹介します。
プランテックによるラジオオンエアチャートの記事は、ミュージックマンのホームページに掲載されています。
2026年4月22日発表のラジオ・オンエア・チャート(集計期間:2026年4月13日~4月19日プランテック調べ)では、IMP.「INVADER」およびMISIA「ラストダンスあなたと」が同率1位を獲得した。
IMP.「INVADER」とMISIA「ラストダンスあなたと」が同率で首位、TOMORROW X TOGETHER「Stick With You」とTravis Japan「陰ニモ日向ニモ」が同率で3位となっていますが、このデータをビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標に移行すると「INVADER」が「ラストダンスあなたと」に勝り、また「Stick With You」が3位に。一方で「陰ニモ日向ニモ」は7位に後退しています。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
プランテックによるラジオオンエアチャートとビルボードジャパンソングチャートにおけるラジオ指標とで順位が異なる要因は、前者の記事から読み取ります。
TOBE所属の7人組が4月13日にリリースした「INVADER」は、発売同日よりFMを中心にオンエアが開始されると、一週間を通じて調査対象の61.3%となるステーションへと波及。各局の帯放送のコーナー/番組を中心にオンエア積み上げ、初登場1位を飾った。
一方、劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』主題歌に起用された「ラストダンスあなたと」は、4月10日の配信リリースに先がけ同6日よりオンエア解禁されると、日毎に伸長し前週チャート18位に初登場。今週初頭から更に範囲を広げていったオンエアは、調査対象の96.8%となるステーションへと波及し、今週最広範囲のオンエアカバー率を記録。さらにリクエストオンエアも最多で、今週最も広く注目された曲となった。
・【プレイリスト付 エアモニ】上位混戦で1位にIMP.とMISIA、3位にTXTとTravis Japanが同率イン/LiSAが6曲、コーチェラ関連多数浮上 | Musicman(4月22日付)より
まずはIMP.「INVADER」とMISIA「ラストダンスあなたと」について。オンエアされた局は後者が前者を圧倒していることが解ります。また前者では『各局の帯放送のコーナー/番組を中心にオンエア積み上げ』とあることから、定期的なオンエアを行う施策を実行したと読み取れます。
MISIA「ラストダンスあなたと」がリクエストによる支持も高いとして、しかしビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標において重要なのはオンエア数、そしてどの放送局でオンエアされたかということ。ラジオ指標化時には聴取可能人口等を踏まえることから、特に首都圏ラジオ局でのオンエアが多ければ指標化後に上位進出がしやすい傾向にあることは、2週前におけるSTARGLOW「USOTSUKI」の動向からも明らかです。
プランテックのラジオオンエアチャートではSTARGLOW「USOTSUKI」がBTS「SWIM」の後塵を拝しています。「SWIM」は調査対象局の9割強でオンエアされた一方、STARGLOW「USOTSUKI」は8割強。後者では『オンエア総数の9割弱が関東エリアでのものと偏りが見られ』ています(【プレイリスト付き エアモニ】BTS ラジオ施策奏功し1位/STARGLOW 多数露出で2位/ラブネバ 潜在的な高注目か | Musicman(4月8日付)より)。
「SWIM」はオンエアチャートにて『2位以下を大きく離すダントツのオンエア数獲得』に至っているものの(『』内はプランテックの記事より)、ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標は各調査対象局の聴取可能人口等を加味して算出されるため、全国バランスよくオンエアされた「SWIM」を関東主体で流れた「USOTSUKI」が逆転したことになります。
・=LOVE「劇薬中毒」およびSTARGLOW「USOTSUKI」、最新チャート上位2曲の動向を分析する - イマオト - 今の音楽を追うブログ -(4月9日付)より
聴取可能人口の多いラジオ局でオンエアされることでラジオ指標化後に上位進出を果たすという事象は、オンエアチャートで同率3位だったTOMORROW X TOGETHER「Stick With You」とTravis Japan「陰ニモ日向ニモ」の指標化後の差(前者は3位、後者は7位)からも読み取れます。
K-POPの5人組が4月13日に韓国リリースしたミニアルバム「7TH YEAR:A Moment of Stillness in the Thorns」より、リード曲となる「Stick With You」。発売当日より開始されたオンエアは、主にFM局の帯放送コーナー/番組枠を中心に積み上げていき、一週間を通じて58.1%のステーションで獲得。初登場TOP3入りを飾った。
日本の7人組が4月15日にシングルリリースした「陰ニモ日向ニモ」は、2月16日の先行配信から更に先がけ1月26日より一部でオンエア解禁されると、少しずつ波及していき配信リリース週に97位に初登場。その後圏外となるもオンエアは継続され、CD発売を迎えた今週大きく再伸。地方エリアを中心にFM/AMバランス良く58.1%のステーションでオンエアを獲得した。様々な番組にわたる長期オンエアが奏功し、多数リクエストが確認されている。
・【プレイリスト付 エアモニ】上位混戦で1位にIMP.とMISIA、3位にTXTとTravis Japanが同率イン/LiSAが6曲、コーチェラ関連多数浮上 | Musicman(4月22日付)より
TOMORROW X TOGETHER「Stick With You」ではラジオ施策が実行されていることが記事から読み取れる一方、Travis Japan「陰ニモ日向ニモ」では『地方エリアを中心に』オンエアされていることが解ります。プランテックによるラジオオンエアチャートの対象局は地方であっても主要都市圏ではあるのですが、しかし首都圏等大都市所在の放送局でオンエアされれば指標化後に有利になるだろうことが、ここから解るでしょう。
さて、ビルボードジャパンソングチャートにおけるラジオ指標については前週トップ10初登場曲の最新動向、そしてラジオ指標の特徴等をまとめる(2月28日付)にて紹介していますが、今回はさらなる特徴を追記し、掲載内容に関する直近の事例も紹介します。今回の事例は、太字の箇所が該当します。なお、地方局よりも大都市圏(特に首都圏)で大量オンエアされる曲がラジオ指標で上位に登場しやすい点は先程採り上げています。
<ビルボードジャパンソングチャート ラジオ指標について>
◯ 基となるデータ
・プランテックによる全国主要エリア31局(FMおよびAM局)のオンエアチャート
(各放送局の聴取可能人口等を加味して指標化)
◯ 上位進出しやすい曲
・ラジオ局によるパワープレイ(ヘビーローテーション)採用曲
(新人歌手による作品主体)
・帯番組の放送やコーナー等の限定的な時間帯で一週間大量にオンエアされる曲
(男性アイドル/ダンスボーカルグループの作品中心 (音楽チャート施策として))
・季節やイベントを代表する曲
・亡くなった歌手の代表曲
・ベテラン歌手による新曲 ←今回事例を掲載
(全国レギュラー番組を抱える歌手が特に強い)
・地方局よりも大都市圏(特に首都圏)で大量オンエアされる曲 ←今回新たに掲載
・洋楽(K-POPを除く)の場合は世界的ヒットより日本独自で推薦される曲
←今回新たに掲載
・ラジオ局や番組が主体的に流す曲
◯ 問題点
・他指標に比べてロングヒットしにくい
(音楽チャート施策に基づく場合は1週間、パワープレイ採用曲は1ヶ月程度)
←今回事例を掲載
・他指標と順位が乖離しやすい
・他指標より洋楽(K-POPを除く)が強いながら、上位占有率は縮小傾向にある
・ラジオ局や番組が主体的に流す曲は(オンエアチャート上からは)見えづらい
洋楽において世界的ヒット曲より日本独自で推薦される曲が上位進出しやすい点については、エラ・ラングレーの事例からよく解るでしょう。


最新4月25日付米ビルボードアルバムチャートを初登場で制したエラ・ラングレー『Dandelion』に収録された「Loving Life Again」が、4月22日公開分ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標で27位に入り、また3週連続で20位台をキープ。一方4月25日付米ソングチャートで通算7週目の首位を獲得した「Choosin' Texas」は日本のラジオ指標で当週上昇するも57位となり、「Loving Life Again」の後塵を拝しています。
「Loving Life Again」はアルバム初登場のタイミングで米ビルボードソングチャートで上昇するも21位に。より新しい曲を伝えたい、ともすれば「Choosin' Texas」は古いという考えがラジオ業界内にあったのかもしれませんが、まずは米や世界でのヒット曲を紹介するということを行うほうがより好いのではと考えた次第です。
続いてはベテラン歌手による新曲動向の、直近の事例を紹介。桑田佳祐「人誑し / ひとたらし」は最新4月22日公開分ビルボードジャパンソングチャートで60位となっていますが、前週は14位に。そしてその際はラジオ指標が上昇に大きく影響しています。

CHART insightで表示される円グラフは累計ポイントの構成比ゆえ、4月15日公開分1週のみのポイント全体に占めるラジオ指標(黄緑で表示)の割合は上記から完全には読み取れません。しかし、プランテックによるラジオオンエアチャートからは同曲の圧倒的な強さが見て取れるます。
TVアニメ「あかね噺」オープニング主題歌に書き下ろされ、CDシングルとしてのリリースを6月に控える同曲。4月3日の先行配信から大きく先がけ、2月28日放送の自身の番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」でフル解禁されると、5週連続して同番組のみでオンエア。その後、配信リリースと同時に他番組でもオンエア開始されると前週チャートで22位に初登場し、今週さらに前週比852%のオンエア増で首位へと上り詰めた。
調査対象全てのステーションで獲得したオンエアの総数は、実に今年最多となる週間オンエア数を記録。リクエストオンエア数も今週ダントツの最多で、番組/リスナー双方に最も注目された曲となった。今年70歳を迎えソロ活動を本格始動させた桑田佳祐、その狼煙に相応しい圧勝だ。
・【プレイリスト付 エアモニ】桑田佳祐 今年最多OA数で1位/CLASS SEVEN 初登場2位/CLAN QUEEN 多数局が推薦3位 | Musicman(4月15日付)より
ラジオ指標の圧倒的な強さに伴うビルボードジャパンソングチャートでの上位進出には、最近では山下達郎「MOVE ON」が挙げられます。2025年11月12日公開分でラジオ指標を制し、他指標未加算の状況ながら総合では12位にランクインしていたことについては最新ソングチャートでトップ20入りした山下達郎と玉置浩二、一方でチャートアクションが大きく異なる件(2025年11月16日付)にて紹介しています。
桑田佳祐さん(所属するサザンオールスターズも同様)、山下達郎さんのみならず、松任谷由実さん、またレギュラー番組はないものの山下さんの番組に定期的に出演する竹内まりやさんの新曲が登場する度、同様の現象がみられます。しかしながら昨秋紹介したエントリーで山下達郎「MOVE ON」と比較した玉置浩二「ファンファーレ」が現在も総合チャートに登場している状況は、すべてのベテラン歌手が注目すべきでしょう。

(山下達郎「MOVE ON」のCHART insightでは、2月11日公開分が最終ランクインとなっています。また玉置浩二「ファンファーレ」のCHART insightは後述します。)
最後に、他指標に比べてロングヒットしにくい件、その中でもパワープレイ採用曲は1ヶ月程度となる事例について紹介します。以下の3曲は3月のパワープレイ選出が目立った作品群ですが、4月に入りビルボードジャパンソングチャートで急落していることが解ります。



seiza「エウレカブルー」はこちら、エルスウェア紀行「温度と一部」はこちら、Maki「Art」はこちらにて、3月の月間パワープレイに選出されたことを確認できます。しかしながらいずれの曲もポイント獲得がラジオ指標のみにとどまり、そしてCHART insightは4月8日公開分(集計期間:3月30日~4月5日)が最後となっています。つまり、パワープレイ後のオンエアがほぼ止まっているのです。
<ビルボードジャパンソングチャート ラジオ指標について>
◯ 基となるデータ
・プランテックによる全国主要エリア31局(FMおよびAM局)のオンエアチャート
(各放送局の聴取可能人口等を加味して指標化)
◯ 上位進出しやすい曲
・ラジオ局によるパワープレイ(ヘビーローテーション)採用曲
(新人歌手による作品主体)
・帯番組の放送やコーナー等の限定的な時間帯で一週間大量にオンエアされる曲
(男性アイドル/ダンスボーカルグループの作品中心 (音楽チャート施策として))
・季節やイベントを代表する曲
・亡くなった歌手の代表曲
・ベテラン歌手による新曲
(全国レギュラー番組を抱える歌手が特に強い)
・地方局よりも大都市圏(特に首都圏)で大量オンエアされる曲・洋楽(K-POPを除く)の場合は世界的ヒットより日本独自の推薦曲
・ラジオ局や番組が主体的に流す曲
◯ 問題点
・他指標に比べてロングヒットしにくい
(音楽チャート施策に基づく場合は1週間、パワープレイ採用曲は1ヶ月程度)
・他指標と順位が乖離しやすい
・他指標より洋楽(K-POPを除く)が強いながら、上位占有率は縮小傾向にある
・ラジオ局や番組が主体的に流す曲は(オンエアチャート上からは)見えづらい
ビルボードジャパンソングチャートにおけるラジオ指標の特徴等を今一度掲載します。山下達郎「MOVE ON」紹介の際に玉置浩二「ファンファーレ」のロングヒットについて記しましたが、同曲は最新4月22日公開分ビルボードジャパンソングチャートで登場25週目にして70位にランクインし、またラジオが他指標より早く後退するも17週連続で加算対象に。そして最新週では構成6指標すべてが加点されています。

「ファンファーレ」の動向について、先程は『すべてのベテラン歌手が注目すべき』と記しました。しかしこの好アクションについてはベテランに限らずすべての歌手が、そして音楽業界のみならずラジオ業界も意識する必要があると考えます。