西田敏行さんによる「もしもピアノが弾けたなら」の公式ミュージックビデオが、先週公開されています。
昨年10月17日にこの世を去った西田敏行の代表曲「もしもピアノが弾けたなら」のオフィシャルミュージックビデオが完成。一周忌を前にした本日10月10日にYouTubeにて公開された。
同曲の公式動画不在を指摘してきた者として、今回の公開にまずは安堵しています。
西田敏行「もしもピアノが弾けたなら」には公式と謳われた動画がこれまでなかったといえます。サブスクサービスでは聴取可能でしたが、西田さんの音楽を聴いて追悼したいと考える方が公式動画を見つけられず、”サブスクにない”という認識を抱いてしまったのではと捉えていました。
(厳密には”西田 敏行 - トピック”というチャンネル名にてオーディオが公開され(→こちら)、概要欄には『Provided to YouTube by Sony Music Direct (Japan) Inc.』(ソニー・ミュージックダイレクトによる提供)と記載されています。ゆえにこの動画は公式といえるのですがタイトルにはその旨の記載がなく、チャンネル名に全角スペースが用いられていること等も踏まえて公式ではないと認識した方は少なくないかもしれません。)
(中略)
実際、「もしもピアノが弾けたなら」はストリーミング(CHART insightでは青で表示)および動画再生(赤)が300位以内に達せず、加点対象とはなりませんでした。公式動画がないゆえ動画再生が加点されないのは仕方がないとして、サブスクで聴取可能ならばストリーミングで加点される可能性はあったのではと考えるに、今回の事態には考えさせられます。
上記は西田敏行さんの訃報から程ないタイミングで掲載した昨秋のエントリーですが、ビルボードジャパンソングチャートでは「もしもピアノが弾けたなら」においてラジオ指標(CHART insightでは黄緑で表示)が大きく動いた一方、接触指標群は加点されませんでした。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なおビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
ビルボードジャパンソングチャートにおける西田敏行「もしもピアノが弾けたなら」の、その後のCHART insightを上記に。300位以内に最後に入った構成指標は3月12日公開分でのカラオケ(緑で表示)でした。『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)で追悼企画が用意されたことに伴いダウンロード(紫)が再浮上し、カラオケでも加点が続いたとみられます。しかし前回掲載以降も、接触指標群は300位以内に入っていません。

今回新たに制作された「もしもピアノが弾けたなら」の公式ミュージックビデオがより多くの方に届き、音楽チャートにも反映されるか注目する一方、公開元が”MUSIC Liverary”という名前であることを懸念しています(チャンネルはこちら)、歌手側の公式チャンネルではなく、レコード会社の運営であることもわかりにくいため、今回の動画が”公式ではないのでは”と疑われる可能性を危惧しています。
まずは今回の公開元であるチャンネルがソニーミュージック系列だと想起させやすい形に名前を変更し、視聴したい方の疑念を払拭させることが必要でしょう。そしてYouTubeによるコラボレーション投稿機能の開始を踏まえ、今は活動していない方や既に亡くなった方であっても公式チャンネルを用意してもらい、レコード会社とのコラボ投稿という形で公開すれば、より広くリーチできるものと考えます。
先述した昨秋のブログエントリーでは『”公式動画がないゆえ動画再生が加点されない”事態はこれ以上起きてほしくはない』とも記しました。動画を含むストリーミングにて日本の音楽のデジタルアーカイブを充実させ、過去曲もチェックしやすい環境を整えることが課題だと当時伝えています。今回の西田敏行「もしもピアノが弾けたなら」における公式動画の用意が、音楽業界を変えるきっかけになることを願うばかりです。
