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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲、CHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年1月31日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。

前週のエントリーはこちら。

ビルボードジャパンの最新のソングチャートに関する記事については、以下をご参照ください。

(なおタイトルについて、これまでは『前週および当週の上位初進出曲におけるCHART insightから、真のヒット曲に成るかを読む』としていましたが、今回から『前週および当週の上位初進出曲、CHART insightから真のヒット曲に成るかを読む』に変更しています。)

 

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポストにて簡潔に説明しています。

 

<2024年1月24日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

・1位 (前週5位) Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」

(上記はテレビアニメ『マッシュル-MASHLE-』の第2期ノンクレジットオープニングムービー。)

・3位 (前週7位) Mrs. GREEN APPLE「ナハトムジーク」

 

順位面のみならずポイントの面でも上昇した2曲については、下記エントリーにて紹介しました。Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」については、公式動画がいつ登場するかに注目しています。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2024年1月31日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・6位 (初登場) M!LK「Kiss Plan」

・7位 (初登場) 関ジャニ∞「アンスロポス」

・9位 (初登場) back number「冬と春」

・14位 (初登場) 西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」

(現時点で歌手側の公式YouTubeチャンネルからアップされた公式動画はありません。)

 

6位のM!LK「Kiss Plan」および7位の関ジャニ∞「アンスロポス」については、昨日付エントリーにて紹介しています。

その2曲は下回ったものの、理想の初動の形に近いといえるのがback number「冬と春」(9位)。以前はLINE MUSIC限定のサブスク解禁や短尺版のミュージックビデオ公開を行っていたback numberはデジタルに本格的に取り組むようになって以降、多くのヒット曲を輩出しています。2010年代中盤以前にデビューした歌手は未だストリーミングが強くない状況が目立つ中、初週からの同指標20位以内ランクインは特筆すべきです。

 

そして今回注目するのは、映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』関連曲の動向です。

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』主題歌、西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」(総合14位)はダウンロード指標を制覇。映画からはエンディングテーマのSee-Saw「去り際のロマンティクス」がダウンロード2位(総合42位)、挿入歌の中島美嘉「望郷」が同指標15位に登場。さらに映画の前日譚である『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』から、佐橋俊彦「キラ、その心のままに」もダウンロード指標11位にランクインしています。

(上記ミュージックビデオは短尺版。)

(中島美嘉「望郷」については、現時点で歌手側の公式YouTubeチャンネルからアップされた公式動画はありません。)

他方、ストリーミングは「FREEDOM」が100位未満(300位圏内)となり加点されながら、他3曲は300位未満のため未加点の状況です。アニメ関連曲はダウンロード指標の強さも目立ちながら、ロングヒットの要たるストリーミング指標がヒットに至ることでその年を代表する作品となることはここ数年のビルボードジャパンソングチャートにて証明されているゆえ、『機動戦士ガンダムSEED  FREEDOM』関連曲の動向は気になります。

 

機動戦士ガンダムSEED  FREEDOM』は公開初週(3日間)の成績から、オリコンの記事では最終的な興行収入が50億円を超えると予想されています。そして記事にて比較に用いられたアニメ映画においては、主題歌等関連曲もヒットする傾向にあります。そこで、記事にて紹介された映画(『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は除く)の主題歌および挿入歌における、公開初週のソングチャート動向をまとめました。

先述したようにアニメ関連曲はダウンロードの強さが際立ちます。一方で公開直後はストリーミングが強くない曲も少なくありませんが、たとえば『ONE PIECE FILM RED』においては公開2週目の分が反映された2022年8月17日公開分チャートにてAdoさんの7曲が16位までに登場。7曲はストリーミングにて21位以内に登場し、「新時代」「逆光」「私は最強」は総合およびストリーミング指標共にトップ3を独占しています。

また『THE FIRST SLAM DUNK』のエンディング主題歌となる10-FEET「第ゼロ感」は総合およびストリーミング指標で共に最高4位、『君たちはどう生きるか』の主題歌である米津玄師「地球儀」は総合2位およびストリーミング指標11位、『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』のエンディング主題歌となった星野源「光の跡」は総合3位を記録しています。

星野源「光の跡」はストリーミング指標100位未満ながら同指標は5週連続で加点されており、また総合ではトップ10入りを果たしています。記事にて『機動戦士ガンダムSEED  FREEDOM』が『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』クラスの興行収入を見込めると紹介しているならば、西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」が総合トップ10入りを果たす可能性も十分考えられます。

 

西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」が今後ロングヒットするかを見極めるポイントとしては、まずはストリーミング指標の加点が挙げられます。先述したように、2010年代中盤以前にデビューした歌手は未だストリーミングが強くない状況が目立ちますが、これは歌手側、歌手のコアファン、そして「FREEDOM」においては映画の主要客層においても、サブスクへの意識の度合いが影響するものと考えます。

ストリーミング指標は、YouTubeの公式動画をオーディオストリーミングで再生した分も反映されますが、現時点にて歌手側の公式YouTubeチャンネル発となる公式動画はありません。アニメ制作会社による公式チャンネル発の動画は加点対象外となる傾向が高く(下記エントリー等参照)、公式オーディオだけでも公開することが鍵となります。なおYouTube有料会員向けにアップしているならば、無料会員向けの公開も重要です。

上記エントリーではNHK関連の公式YouTubeチャンネル発となる動画も、動画再生等接触指標のカウント対象外である可能性が高いと記しました。1月25日放送の『SONGS』で西川貴教さんが披露した「FREEDOM」の映像はその放送直後、NHK MUSICの公式YouTubeチャンネルが短尺版映像を公開していますが、今回も加点対象外となっています。YouTubeをサブスク的に用いる方のためにも、歌手側の公式動画発信が肝心です。

 

(なお、NHK関連の公式YouTubeアカウント発となる動画は、はてなブログへの引用も厳しい条件が敷かれています(上記動画は通常の動画と同様の手法にて貼付したものです)。noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんはこのことについて、『NHKYouTube動画は記事にエンベッドができないもっとも厳しいポリシーになってる』と下記リンク先にて説明しています。)

 

ストリーミング指標がもっと伸びるか、公式動画がアップされ動画再生やストリーミング指標に影響を及ぼすかが西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」のロングヒットを見極めるポイントと考えますが、THE FIRST TAKEの動向にも注目です。

西川貴教さんは先週金曜公開のTHE FIRST TAKEに登場し、T.M.Revolution名義にて「WHITE BREATH」を披露。このチャンネルではテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』第3クールのオープニングテーマである玉置成実「Believe」も先月披露されており、映画関連として西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」が今後披露される可能性は高いとみています。

このチャンネルでは同じ歌手が短期間に2回登場する傾向が強く、最初は代表曲を、その次は3回後に新曲を披露するのが基本的な流れとなります。このパターンをなぞるならば、西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」は2月14日水曜公開のTHE FIRST TAKEにて披露され、動画効果は2月21日公開分のビルボードジャパンソングチャートに表れます。それまでにロングヒットの条件も満たし、さらに大きく羽ばたくかに注目です。

 

(なお、ビルボードジャパンではオリジナルと異なるバージョンは基本的に合算されないものの、THE FIRST TAKEの動画は(その録音したものが音源リリースされない限りは)オリジナルバージョンに合算されます。オリジナルバージョンとTHE FIRST TAKE動画に同じISRC(国際標準レコーディングコード)が付番されることがその理由ですが、このブログではビルボードジャパンに対し別バージョン合算の検討を以前から提案しています。)