【今週の総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年7月23日
1位 HANA
2位 HANA
3位 パンダドラゴン
4位 Mrs. GREEN APPLE
5位 Mrs. GREEN APPLE
6位 22/7
7位 Mrs. GREEN APPLE
8位 BLACKPINK
9位 HANA
10位 Mrs. GREEN APPLEhttps://t.co/QKb8CmfLg2 pic.twitter.com/iTlBY6NqsJ
最新7月23日公開分のビルボードジャパンソングチャートに初登場した曲のうち、わずかひとつの指標のみでトップ10入りを果たした作品が複数存在します。

最新ソングチャートでは、パンダドラゴン「マジ☆まじない」が3位に初登場。当週はフィジカルセールスの初加算に伴い総合初登場を果たした形ですが、デジタルは4月の段階でリリースされながら、ラジオ等も含め現時点まで各指標300位以内に入らず加点されていません。当週はフィジカルセールスが92,518枚を記録しており、この売上を記録すれば5,615ポイントを獲得可能であることがみえてきます。

パンダドラゴン「マジ☆まじない」同様、22/7「あなたでなくちゃ」もデジタルが4月にリリースされながら当週まで加点対象とならず、75,905枚のフィジカルセールスのみで総合6位に初登場。当週は5,134ポイントを獲得しています。
フィジカルセールス指標は2017年以降、一定以上の週間売上枚数を超える分に減算処理が施されたことでデジタルヒットが可視化され、ビルボードジャパンソングチャートが一気に社会的ヒットの鑑に成ったというのが自分の見方です。この一定枚数は当初30万枚と言われ、現在では4万枚程度といわれていますが、その状況下で今回紹介した2曲からは、どのくらいの売上を獲得すれば総合トップ10入りに近づけるかが想起可能です。
ただし重要なのはデジタル、特に接触指標群のロングヒットであることはここ数年の動向から明らかです。ともすればアイドルやダンスボーカルグループを主体にフィジカル優先という考えがあるかもしれませんが、”フィジカルセールスはデジタルの上乗せ”として考えることがより好いというのが、音楽チャート分析者としての見方です。
なお弊ブログでは、初めてトップ10入りした曲の翌週動向を毎週土曜のエントリー(上記リンク先参照)にて紹介しています。
さて、最新7月23日公開分ビルボードジャパンソングチャートで40位に初登場したアレックス・ウォーレン「Ordinary」もまた、1指標のみが加算対象に。この曲はラジオ指標で当週2位を獲得しています。

「Ordinary」は最新7月26日付米ビルボードソングチャートで通算7週目の首位となり、また米ビルボードによるグローバルチャートではGlobal 200、Global Excl. U.S.(Global 200から米の分を除く)の双方で首位を獲得。特に米ではラジオ指標において、今年初となる7000万の大台を突破しています((追記あり)【海外ビルボード】『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』収録曲がグローバルチャートを制覇(7月15日付)参照)。
アレックス・ウォーレン「Ordinary」の日本での上昇はおそらく、今回の集計期間中にこの曲を含むファーストアルバム『You'll Be Alright, Kid』がリリースされたことに伴うものでしょう。ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標はプランテックのラジオオンエアチャートに基づきますが(下記参照)、日本でもラジオ局や番組側の支持が以前からみられ、それが新作リリースと相まって当週上昇したのではないでしょうか。
2位はアレックス・ウォーレン「オーディナリー」が前週7位から上昇した。米ビルボード・ソング・チャートで通算7週目の首位獲得中となる同曲。2月7日の配信リリースと同時にJFL系列局を中心に開始されたオンエアは、徐々に伸長していき4月28日~5月4日チャートで199位に初登場。一週おいてその翌々週に92位に再登場すると、今週で9週連続チャートインを果たしたかっこうだ。
7月に入ってからはFM Osaka、e-radio、AIR-G’、Date fm、FM-NIIGATAで月間パワープレイに選出されていることから一気にオンエアを伸長させているなか、今週は調査対象の74.2%のステーションと広範囲でオンエアを獲得している点は特筆すべきだろう。そのかいもありリクエストオンエアが確認され始めている。9月のアルバムリリースまでどう波及していくか注目だ。
(※ 記事にて『9月のアルバムリリース』と記載されていますが、アレックス・ウォーレン『You'll Be Alright, Kid』の国内盤は9月3日にリリースされる予定です。)
アレックス・ウォーレン「Ordinary」はラジオ指標のみで当週1,769ポイントを獲得しており、ラジオでの強力な後押しだけでも総合ソングチャートにランクインできることを示していますが、他方世界を席巻する曲が日本ではストリーミング300位内未達という状況です。この点については先日のエントリーに記したラジオ業界側の徹底がひとつの解決策に成り得ると考え、再掲します。
ならば、ラジオでのオンエア増加を今後につなげることが重要です。当週ラジオ指標で順位を大きく下げた「breakfast」はストリーミング再生回数においても他の曲より下落幅が他の曲より大きくなっていることから、たとえばラジオ番組やラジオ局がオンエアリストを各サブスクサービスでプレイリスト化し、誘導することも必要と考えます。
ラジオ指標も安定が難しく、ロングヒットにはやはりデジタル接触指標群の充実が必要となります。ラジオ業界には、自分たちがヒットを発掘し創出するという意志を持ってストリーミングの活用等、デジタルと連携していくことを願います。