"日本の音楽を世界に"という動きは現在の業界全体の取組といえるでしょう。MUSIC AWARDS JAPANの創設もまたその一環と捉えていますが、YouTubeでのアーカイブ発信が音楽賞開催から1ヶ月以上を有したことは機会損失ではないかというのが厳しくも私見です。
そしてこのような遅延に伴う機会損失は、ビルボードジャパン関連でも発生していると考えます。
まずは米ビルボードでのビルボードジャパンソングチャートの発信について。ビルボードジャパンのソングチャートはCHART insightが水曜12時台(遅くとも13時台)に更新、同日夕方に記事が登場するとその英訳版が日本時間の木曜午前までに発信されXでもアナウンスされるというのが通常の流れです。しかしながら7月30日公開分が米ビルボードのアカウントで発信されたのは日本時間8月5日火曜午前7時台のことでした。
Snow Man’s ‘SERIOUS’ at No. 1, J-pop Summer Staples Rise on Japan Hot 100https://t.co/MnLvrDpHPe
— billboard (@billboard) 2025年8月4日
仮にこの報道が通常通り7月31日木曜までに発信されていた場合、Snow Man「SERIOUS」のデジタル解禁は8月1日金曜だったために記事に触れた海外の音楽ファンは同曲をサブスクサービスにて確認できません。ただ、さすがにそれを見越した上での遅延ではなく、元記事の発信が遅れたことが背景にあるものと想起しています。
【ビルボード】Snow Manが「SERIOUS」で通算10回目の総合首位、サザン「真夏の果実」/ゆず「夏色」など夏ソングが再浮上 https://t.co/0o7SS6USfZ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年7月30日
HANA「Blue Jeans」が首位を獲得した7月23日公開分ソングチャートの記事発信は同日16時46分と通常の範囲内であるのに対し(ビルボードジャパンのポストはこちら)、7月30日公開分の記事発信は同日18時31分となっています。ビルボードジャパンの記事が18時台後半に発信されることはほぼなかったことから、この遅延と呼べる事態が米ビルボードにも波及したのかもしれません。
尤も、米ビルボードの悪い意味での曖昧さ(チャート発信において時折みられる現象)を踏まえれば単純に米ビルボード側の問題かもしれませんが、この遅延が日本のヒット曲の海外波及を遅らせたのならば勿体無いと感じずにはいられません。
7月30日公開分ビルボードジャパンソングチャート記事英訳版の遅れが米ビルボードとビルボードジャパンのどちらに問題があるかは最終的に判断できかねる一方、以前から抱いていたこの問題はビルボードジャパン自体の改善が必要でしょう。
Here's the Billboard JAPAN Hot 100 for the week of July 30:
— Billboard JAPAN English (@BillboardJP_ENG) 2025年8月1日
1. Snow Man
2. HANA
3. CUTIE STREET
4. Mrs. GREEN APPLE
5. LiSA
6. HKT48
7. &TEAM
8. Aimer
9. HANA
10. Mrs. GREEN APPLEhttps://t.co/6SHQfpbfG6 pic.twitter.com/ICXNMVpr4i
上記はビルボードジャパンの公式英語フィードであるBillboard JAPAN EnglishというX公式アカウント発のポスト。ビルボードジャパンは各チャートのトップ10一覧紹介画像をポストで発信しますが、その中からソングチャートやアニメソングチャート(日本では共に水曜13時台発信)、アルバムチャート(同木曜12時発信)およびGlobal Japan Songs Excl. Japan(同木曜16時発信)を英訳した画像を貼付し、発信しています。
一方で、7月30日公開分ビルボードジャパンソングチャートのトップ10一覧画像の英訳版は8月1日20時過ぎに発信され、元のポスト(→こちら)発信から2日以上が経過しています。加えて、7月31日公開分のGlobal Japan Songs Excl. Japanはブログエントリー公開時点で英訳版画像付ポストが未だ登場せず、前週7月24日公開分チャートの英訳版画像付ポストは7月31日公開分の記事発信から3時間近く経過した後に投稿されています。
Here's the Billboard JAPAN Global Japan Songs Excl. Japan for the week of July 24:
— Billboard JAPAN English (@BillboardJP_ENG) 2025年7月31日
1. Creepy Nuts
2. Creepy Nuts
3. TERIYAKI BOYZ
4. Creepy Nuts
5. Fujii Kaze
6. Miki Matsubara
7. Aina The End
8. YOASOBI
9. imase
10. YOASOBIhttps://t.co/qXyPBnHeRR pic.twitter.com/g3ubYi2WlM
【ビルボード】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」グローバル・ジャパン・ソングス首位返り咲き https://t.co/l5qBoMPTzp
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年7月31日
この状況では、Global Japan Songs Excl. Japanが世界に日本の楽曲を轟かすという意義、またGlobal Japan Songs Excl. Japanでのランクイン実績を歌手側が用いたいという意思も薄れかねません。これもまた機会損失ではないでしょうか。
厳しい物言いとなりましたが、ビルボードジャパンに対し記事発信の定時化を幾度となく提案してきたゆえの今回の発信です(以前の提案については2025年度の集計開始日に、ビルボードジャパンへの改善提案をまとめる(2024年11月25日付)等参照)。定時化はオリコンが徹底して行っているものであり、後発であるビルボードジャパンは広く社会から信頼を勝ち取りたいならば、発信の徹底が重要だと考えるのは自然なことでしょう。
スタッフの不足、多忙等様々な背景は容易に想起可能ですが、Xの発信を見る方にはその舞台裏は(かなり厳しい表現ですが)関係なく、ただただ遅いと捉えられるばかりでしょう。ヒット曲をきちんと伝えるという意志を持つならば、今回指摘した情報送出問題の解決は必須と考えます。