昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。
この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。主にライト層の支持が反映されるストリーミングがロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。
そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、エントリー掲載の理由です。
<2025年10月15日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・Mrs. GREEN APPLE「GOOD DAY」
10月8日公開分 3位→10月15日公開分 5位
・OWV「BLACK CROWN」
10月8日公開分 4位→10月15日公開分 100位未満
・ねぐせ。 feat. 汐れいら「織姫とBABY」
10月8日公開分 9位→10月15日公開分 18位
当週のストリーミング表はこちら。



ねぐせ。 feat. 汐れいら「織姫とBABY」はポイントが前週から1割近く減少。前週は10位および50位のポイントが2023年度以降で最も低くなっていたことも「織姫とBABY」のトップ10入りにつながったといえるかもしれませんが(仮に前週の水準をキープできたとして当週では15位未満)、トップ10入りの実績を訴求することがヒット継続のひとつの鍵となりそうです。
Mrs. GREEN APPLE「GOOD DAY」は順位を落とすも、トップ5をキープ。CHART insightにおいてラジオの存在感が高まっていることからも解るように、同曲はラジオ指標の基となるプランテックのオンエアチャートで2連覇を果たしています。
TVCM「キリングッドエール」のテーマソングとして書き下ろされ、今週から同CMが放映開始されている同曲。前週に下位と優にダブルスコアを超えるオンエア数で圧勝したばかりだが、今週はその前週から更に8%のオンエア増での2連覇。前週記録した“今年度2位の最多週間オンエア数”も自ら塗り替えたかっこうだ。
オンエアは、定期コーナー/番組といった帯放送枠でまとまった数を確保しつつ多数番組で積み上げており、その獲得範囲も前週から拡大。今週は調査対象の全ステーションでオンエアされた。まさに彼らの勢いが反映した圧巻の注目度となった。
「GOOD DAY」の勢いの一因に、プロモーションの徹底が挙げられます。記事での『定期コーナー/番組といった帯放送枠でまとまった数を確保しつつ』という指摘は多くの男性アイドルやダンスボーカルグループ主体にリリース週にて徹底している施策であり、Mrs. GREEN APPLEにおいてもラジオそして総合ソングチャートを意識していることが見て取れます。
ソングチャートとアルバムチャートを合算したビルボードジャパンのトップアーティストチャートを”記事化”したエントリーでも記しましたが、Mrs. GREEN APPLEは「GOOD DAY」効果もあり歌手別チャートのラジオ指標で2連覇を達成。それが歌手別チャートにおける首位キープにもつながったと考えます。施策はその後の反動を招きかねませんが、きちんと練られているといえるでしょう。





