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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年2月26日公開分)

昨年夏以降再開したこのエントリー、今年に入ってからタイトルを一部変更しています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標がロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー再開の理由です。

 

 

<2025年2月26日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

※2月19日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおけるトップ10内初エントリー曲はありません。

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

 

さて、当週の11~20位にはBMSGやその傘下に所属する3組の作品がランクインしていますが、3曲の指標構成は大きく異なります。

 

・13位 (前週16位) HANA「Drop

・14位 (前週4位) BE:FIRST「Spacecraft」

・18位 (初登場) MAZZEL「J.O.K.E.R.」

 

MAZZEL「J.O.K.E.R.」は当週初登場。ラジオ指標を制していますが、そのラジオでは前週まで2週続けてBE:FIRST「Spacecraft」が首位を獲得していました。

16日放送の冠番組「MAZZEL RADIO STATION」(TOKYO FM)での先行OAを経て、配信リリースとともにFM局を中心に開始されたオンエアは、一週間を通じて調査対象の74.2%、FMでは95.5%となるステーションで獲得。首位初登場するに至った。

定期番組/コーナーなど帯放送枠でまとまったオンエアを積み上げたかっこうだが、他ビッグネームの新曲群に並ぶリクエストオンエアの多さからは、ファンダムの強さがうかがえる。

ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標はプランテックによるOAチャートに基づきますが、そこでも「J.O.K.E.R.」が首位に。記事では『定期番組/コーナーなど帯放送枠でまとまったオンエア』とありますが、この点が近年の男性アイドル/ダンスボーカルグループ作品における週間単位での強さの要因となります。他方、ラジオ自体は上位をキープしにくく、とりわけこのジャンルは首位からの急落が目立ちます。

MAZZELはラジオのレギュラー番組を持っているため「J.O.K.E.R.」は急落しにくいかもしれませんが、現在のヒットに欠かせない接触指標群を安定させ、今後のラジオ指標下降分を補填する必要があります。動画再生が高い一方でストリーミングは加点されるも100位未満となっていることから、ストリーミングを安定させるべくコアファンのみならずライト層やグレーゾーンからの支持を集めることが重要です。

 

BE:FIRST「Spacecraft」は総合首位から4位を経て、当週は14位に。カラオケを除く5指標がすべて30位までにランクインを続けていることは見事ですが、ラジオが2週連続の首位から19位に後退、そしてストリーミングが9→18→30位と下降を続けているのは気掛かりです。

サブスクサービスではLINE MUSICが高い一方、最もシェアの高いApple Musicでは100位未満となり乖離が生じています。LINE MUSIC再生キャンペーン採用実績があるゆえコアファンのLINE MUSIC使用率が高いと考えられますが、上記ストリーミング表をみればロングヒット曲におけるサブスクサービス間の乖離は大きくないことが見て取れます。言い換えれば「Spacecraft」においてライト層等への浸透はまだまだ可能だと考えます。

 

そしてHANA「Drop」は3組の作品中最上位に。動画再生は前週急上昇し、当週はさらに浮上。またストリーミングは54→27→20→23位と推移し、当週は順位を下げるものの安定、そしてサブスクサービス間の乖離はそこまで大きくありません。

ダウンロードが当週100位未満に後退したことは気になりますが、接触指標群が好調をキープしていることで総合順位は上昇。1月31日リリースの「Drop」は2月5日公開分ビルボードジャパンソングチャートで集計期間3日分のカウントにて36位に初登場を果たすと32→16→13位と推移、またポイント前週比も101.9→137.3→103.0%と上昇を続けています。

 

 

デビュー曲やプレデビュー曲は注目度の高さからロングヒットしやすい側面もあるとして、今回紹介した3曲ではHANA「Drop」が年間単位で最上位に至る可能性が高いでしょう。肝となるのがストリーミングにおけるシェアの大きさ、順位の安定そしてサブスクサービス間の乖離の小ささであり、たとえばMrs. GREEN APPLEライラック」「ダーリン」での累計ポイント指標構成をみれば、「Drop」が理想形に近いと解るでしょう。

 

アイドルやダンスボーカルグループにおいてストリーミングが高いシェアを誇り人気が安定する曲は多くはないのですが、ロングヒットする作品にはK-POP女性歌手発のものが少なくありません。男性歌手でもジョングク feat. ラトー「Seven」等の例はありますが、K-POP女性歌手作品においては昨年度のILLIT「Magnetic」、2023年度のNewJeansおよびLE SSERAFIM等が挙げられます。

BE:FIRSTやMAZZELの動きが安定するか、HANA「Drop」がロングヒットの軌道に至るかに注目です。これら作品がビルボードジャパンソングチャートを賑わせることで、BMSG以外のアイドルやダンスボーカルグループもこのチャートを意識し、デジタルに対し前向きに取り組むようになるでしょう。