イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) NHKのYouTubeチャンネル公開動画が米津玄師公式チャンネルでも…この動向を注目する理由

(※追記(8時43分):今回採り上げたテーマについて、noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんも本日noteで紹介されています。NHK関連YouTubeチャンネル発の動画がnoteでどのように掲載されるか等についても解説されています。リンクはこのエントリーの最後に掲載しています。)

 

 

 

こちらのポストに沢山のリアクションをいただき、ありがとうございます。自分がこのように考える理由を、あらためて記します。

 

 

米津玄師「さよーならまたいつか!」はNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』主題歌。ドラマのオープニングタイトルバック映像のフルバージョンがNHKの公式YouTubeチャンネルにて先週公開されましたが、その映像が米津玄師さんの公式YouTubeチャンネルからも今週公開されました。

 

さて、まずはふたつの動画をブログに貼付してみます。上は米津玄師さんの公式YouTubeチャンネル発、下はNHK公式YouTubeチャンネル発の動画となります。

実はNHKやその関連YouTubeチャンネル発の動画は通常どおり表示されません。さらに、ブログに動画を埋め込んだ場合には以下のように表示されます(下記参照)。

NHKやその関連YouTubeチャンネル発の動画には、活用時に制約が発生していることが解ります。この点について、noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんが『NHK紅白歌合戦』のコラムにて以下のように記しています。

NHKは受信料によって運営される公共放送事業体であると定義されており、放送法の規定の適用をうける法人です。

そのため受信料によって制作した番組を、気軽にYouTubeTVerなど、受信料を支払っていない人が視聴できてしまう環境にアップしにくい構造にあるわけです。

 

今回、NHKが発信した動画が気軽に視聴できる場所(米津玄師さんの公式YouTubeチャンネル)に提供されたことで、状況が大きく動いたと捉えています。

 

まずはビルボードジャパンソングチャートへの影響について記すならば、NHK発のYouTube動画はソングチャートにおける動画再生指標の加点対象となりません。

この点は上記エントリーにて紹介していますが、簡単に言えば音楽パートナーに該当しないYouTubeチャンネルでは動画再生指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)を動画に付番できません。NHKのみならず放送局や番組関連のYouTubeチャンネル全体にいえることですが、たとえばNHKでは嵐「カイト」やFoorin「パプリカ」(いずれも米津玄師さん提供作品)がこの指標で強くありませんでした。

最新9月25日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:9月16~22日)では「さよーならまたいつか!」が総合で26→22位と推移しています。これはダウンロード数が前週のおよそ1.9倍に達していることが要因ですが(最新の総合ソングチャート記事にて紹介されています)、一方で動画再生指標は大きく伸びていません。ここからも、NHK関連動画は直接チャートに反映しないことが解るでしょう。

(CHART insightでは動画再生指標が赤で表示、またCHART insightはビルボードジャパンの無料会員において20位まで確認できます。米津玄師「さよーならまたいつか!」は動画再生指標が20位未満→20位と推移していますが、前週9月18日公開分ではこの指標が20位をわずかに下回る状況でした。仮にNHK発の動画が加点対象となったならば、動画再生指標はもっと上昇したはずです。)

 

ISRCを付番できるチャンネルでも未徹底により機会損失が生まれてしまうことはあるのですが、今回の動画公開に伴い次週10月2日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:9月23~29日)にて動画再生指標が上乗せされ、「さよーならまたいつか!」は総合ソングチャートでも上昇する可能性が考えられます。

 

 

NHKによる動画がNHK以外に提供されたことは記憶にないのですが、仮に今回の「さよーならまたいつか!」映像提供がNHKの転換点と成り、映像提供が定着すれば、NHKの音楽番組等におけるパフォーマンス映像が歌手側のYouTubeチャンネルで公開されていくかもしれません。

NHKは『NHK紅白歌合戦』(以下”紅白”と記載)をはじめ『うたコン』や『Venue101』等のパフォーマンス映像を(すべてではないものの)公開していますが、NHK側のYouTubeチャンネルから、期間限定で、さらにはほとんどが短尺版にて公開されています(フル尺のものもありますが、ほぼ稀です)。ただ紅白はどの音楽番組よりもネットとの親和性を高めているゆえ、紅白を機にフレキシブルな提供を始めるのではと感じています。

 

 

今回の「さよーならまたいつか!」映像提供がNHKの慣例を変える第一歩となることを期待します。そしてNHK以外のテレビ局等においても映像提供が一般的になることを願います。

ブログでは米ビルボードによるグローバルチャートを毎週紹介しています。このチャートでは動画再生がストリーミング指標の対象となるのですが、海外ではテレビパフォーマンス映像の歌手側での発信の多さを感じます。たとえばビリー・アイリッシュパリオリンピック閉会式で披露した「Birds Of A Feather」が先月上昇したのは、パフォーマンス映像のビリーによるYouTubeチャンネルでの公開も影響していると考えられます。

テレビパフォーマンス映像の歌手側での発信は、最終的に日本の楽曲のグローバルヒットにもつながる…そう考えるのは決して大袈裟なことではないはずです。

 

 

※追記(8時43分):今回採り上げたテーマについて、noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんも本日noteで紹介されています。NHK関連YouTubeチャンネル発の動画がnoteでどのように掲載されるか等についても解説されています。是非ご確認ください。