イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Mrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」が首位獲得…前週が集計期間3日分だった理由を考える

最新12月11日公開分(集計期間:12月2~8日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週まで3連覇を記録していたロゼ (ROSÉ) & ブルーノ・マーズ「APT.」が2位に後退、Mrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」が初の首位を獲得しています。

 

さて、最新12月11日公開分ビルボードジャパンソングチャートの集計期間5日目となる12月6日、ビルボードジャパンは2024年度年間チャートを発表しています。

年間チャートについてはこのブログでも分析を行っていますが((追記あり) ビルボードジャパンが2024年度年間チャートを発表、10の注目ポイントとは(12月6日付)等参照)、この年間チャートで上位に進出した作品は注目度が高まったことが当週のポイント前週比から判明。たとえばソングチャートを制したCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は104.8%、同5位のMrs. GREEN APPLEライラック」は105.6%を記録しています。

そして今回、年間トップアーティストチャートを制したMrs. GREEN APPLEによる新曲「ビターバカンス」が前週の6位から首位に到達。ストリーミング再生回数は前週比182.5%、動画再生は同136%、またラジオは同1381%を記録していますが、これは当週が初の1週間フル加算となったことが影響しています。

 

映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』(12月20日公開)主題歌の「ビターバカンス」は11月29日金曜リリース。映画主題歌という特性上、月曜開始の音楽チャートで不利になるものの解禁日を金曜に設定したのかもしれませんが、同じく映画主題歌として今年リリースされた「ナハトムジーク」(『サイレントラブ』)は1月17日水曜、「Dear」(『ディア・ファミリー』)は5月20日月曜に解禁されています。

「ビターバカンス」における金曜リリース設定から、Mrs. GREEN APPLEの世界への意識を感じた次第です。

大森元貴は「海外進出というと、個人的にあんまりしっくり来てないんですけど、大袈裟にちょっと聞こえるかもしれないんですけども、今のMrs. GREEN APPLEのまま軸足をぶらすことなく自分たちの歌を届けることができるのであればチャレンジしていきたいなとは思っております」と意欲を示した。

当週の音楽チャート、集計期間初日にMrs. GREEN APPLEは記者会見にて韓国公演を含む様々なプランを発表しています。上記引用はその会見時のものですが、多くの国や地域で標準リリース日に該当する金曜に「ビターバカンス」を解禁したのは、歌手側の世界に向けての意識の高まりと捉えていいかもしれません。実際、リリース日を集計期間初日とする最新のグローバルチャートでは、同曲が200位以内に初登場しています。

尤も、米ビルボードによるグローバルチャートは日本市場分を含み、日本はストリーミングが大きくないもののダウンロードが未だ強いためランクインしやすいとはいえます。また日本以外でのヒットを知るにはGlobal 200を基に日本市場を抜いた上で日本の楽曲を抽出したビルボードジャパンによるGlobal Japan Songs Excl. Japanをチェックする必要がありますが、それでも「ビターバカンス」のGlobal 200入り登場は見事です。

 

『今のMrs. GREEN APPLEのまま軸足をぶらすことなく自分たちの歌を届けることができる』という発言は、チャート面では"日本にいながら世界のチャートにもランクインできる"と言い換えていいかもしれません。強引な変換は承知で、しかしデジタルリリースは海外リリースとほぼ同義である以上、狙わない手はありません。その影響力をさらに強固にすべく、ビルボードジャパンに対し音楽チャートの金曜開始等、グローバルチャートにチャートポリシー(集計方法)を即することをこのブログにて提案しています。

 

Mrs. GREEN APPLEはファンクラブの多言語化を開始したことで、海外からの注目度は今後高まることでしょう。そのタイミングで「ビターバカンス」がGlobal 200で初登場を果たし、そして日本のチャートも制したことは追い風になるかもしれません。

さらにMrs. GREEN APPLEは今年の年末音楽番組に多数出演することが決定しています。昨年は日本レコード大賞受賞および紅白出演を機にトップアーティストチャートでさらなるステップアップを果たしており、この年末においてもさらなる上昇に至るかもしれません。どのような施策を行うか、彼らの動向に注目です。