イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年12月11日公開分)

3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で夏以降再開しています。先週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と位置付けています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は5曲近くが毎週入れ替わり、ロングヒットするかそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。

ゆえにこのブログエントリーではチャートポリシー(集計方法)の改善提案をビルボードジャパンに対し行っているのですが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。

 

 

<2024年12月11日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

SEVENTEEN「消費期限」

 12月4日公開分 2位→12月11日公開分 9位

Mrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」

 12月4日公開分 6位→12月11日公開分 1位

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

首位を獲得したMrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」については、昨日採り上げています。

 

SEVENTEEN「消費期限」は当週もトップ10内をキープ。一方でダウンロードは前週の29位から、動画再生は同じく54位から100位未満となったことはCHART insightから判明可能です(両指標とも300位以内に入り加点されています)。ストリーミングも加点されながら前週同様に100位未満となっていますが、今回の好調はフィジカルセールス53,833枚を獲得しこの指標で引き続き強いことが最大の要因です。

実は当週、フィジカルセールス5万3千枚以上を売り上げた4曲のうち、SEVENTEEN「消費期限」よりも若干少ない53,646枚を記録したBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「SAY IT」が総合では最上位となる5位を記録しています。これはフィジカルセールスに加えてストリーミングが100位未満ながら加点されていること、またラジオが3位と高位置につけたことも要因となっています。

 

 

ともすれば、SEVENTEEN「消費期限」はフィジカルセールスで、またBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「SAY IT」はラジオにて、数週に渡り上位で安定するかもしれません。これはSEVENTEENにおけるアルバムのフィジカルセールス、またBALLISTIK BOYZにおいてはLDHの先輩にあたるTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEのラジオにおいてそのような実績があったゆえですが(下記参照)、施策に伴う上昇の場合は急落も目立つ状況です。

施策に左右されない形でヒットが持続するためには歌手のコアファンだけでなく、コアファンではないが作品が気になるというライト層の支持を取り付ける必要があります。ストリーミングや動画再生といった接触指標の上昇に寄与し、そして将来コアファンに昇華する可能性を持ち合わせた人々を如何に多くみつけるかが、中長期的な活動には重要だと考えます。