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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」、ピークを越えた可能性をSpotifyの動向から検証する

最新3月2日付の米ビルボードによるグローバルチャートでは、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」がGlobal 200で12→13位、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.では2→3位となっています。

「Bling-Bang-Bang-Born」は上位をキープしているともいえます。ただし米ビルボードによるチャート専用Xアカウント(@billboardcharts)では最新3月2日付グローバルチャートのトップ10紹介画像付ポストを発信していないため(Instagramでは発信済)、Creepy Nutsの記録が日本で伝わりにくい状況です。同Xアカウントのグローバルチャート画像付ポスト未発信がこの3週で二度発生していることを強く憂慮しています。

 

さて、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」についてはSpotifyの動向を紹介した前回、さらに数値を伸ばせる可能性について指摘しました(上記2月20日付エントリー参照)。一方で、この1週間の動向を踏まえれば潮目が変わったのではと感じています。

 

 

上記表は、2月20日付ブログエントリーで掲載した表をアップデートしたもの。Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は日本における2月18日付Spotifyデイリーチャートで再生回数新記録を樹立していますが、その後1週間は、3連休もあったものの自身の記録を更新することはできませんでした。

さらに注目は、2月19日からの1週間において再生回数が前週同曜日に比べて金曜を除きダウンしているということ。2月23日金曜は前週が平日、当週が祝日のために前週超えを果たしていますが、その他の日はいずれも超えていません。

 

加えて、日本における直近2月26日付デイリーチャートにおいてCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の再生回数前日比が90.2%となっているのが気になります。日本のSpotifyはデイリー50位以内に入った曲で構成されるトップ50プレイリストの影響が大きいのですが、50位以内における再生回数前日比はAdo「唱」(13位 同89.5%)に次ぐ低い水準となっています。

この日、Creepy Nutsは『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)に出演しましたが「Bling-Bang-Bang-Born」は今回もパフォーマンスされていません。披露した「二度寝」は日本のSpotifyにて再生回数前日比108.9%、65→57位に上昇しているのですが、「Bling-Bang-Bang-Born」は先述の通りダウンしています。番組で披露されたOmoinotake「幾億光年」が4→3位に上昇したのと「Bling-Bang-Bang-Born」は真逆の動きを示しています。

 

 

これらからCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は日本におけるピークを越えた可能性が考えられるのですが、実は海外では既に越えていると言えるかもしれません。

Spotifyのグローバルにおけるデイリーチャート、そしてグローバルから日本の分を除いた"日本以外"の動向を可視化した表を上記に。グローバルでは「Bling-Bang-Bang-Born」が1月13日付で初めて200位以内に登場し現在も上位にとどまっていますが、直近1週間ではグローバルでの前週同曜日比割れが目立っています。日本以外では1月下旬以降、前週同曜日比割れがほぼ毎日続いており、日本と日本以外との乖離がみられます。

 

 

当然ながらどの曲においても勢いにはピークそして減退というものが発生します。ならばその減退を最小限にとどめ、そして再上昇させることが必要でしょう。

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」においては公式側からの世界に向けての発信が必要と考えます。曲自体の外国語版を用意することが最善といえますが(その点はLE SSERAFIM「EASY」から見える韓国、日本そして世界のチャート上位を目指す徹底した姿勢(2月26日付)等で紹介)、それができないとしても外国語での発信は重要でしょう。

 

直近では星野源さんサイドによる韓国語でのポストがみられますが、これはNMIXXによるカバー動画を踏まえてのもの(カバーについては上記記事参照)。外国語版の発信は、その言語を用いる方にとって素直に嬉しいのではないでしょうか。

また、徒然研究室さんの指摘にもあるように、NewJeansプロデューサーのミン・ヒジンさんへのインタビュー動画においては日本語字幕のほか、YouTubeで字幕をオンにすると英訳版も登場します。NewJeansを世界的な人気に押し上げた最重要人物の考え方等が日本のメディアを介して世界に広まるという意味で、NHKの試み(判断)は素晴らしいと感じています。

 

このような事例を踏まえ、たとえばリリックビデオの発信およびYouTube字幕機能を用いた外国語での発信がCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」に必要ではと考えます。TikTok等のダンスチャレンジで興味を抱いた方が曲をさらに深掘りできるならば、その作品を経て最終的にCreepy Nutsのコアファンへと進化する可能性も想起できるゆえの提案です。

 

 

Creepy Nutsは「Bling-Bang-Bang-Born」のミュージックビデオの予告と思しき上記ショート動画を2月頭に公開していますが、その先に進んでいません。3月20日に発売されるフィジカルシングルはこの曲とダブルAサイドの「二度寝」にフィジカルセールス指標が加点されることもあってか「Bling-Bang-Bang-Born」への対応が後回しに成っているのかもしれませんが、下記理由も含め、非常に勿体ないと感じ続けています。

せめて公式オーディオだけでも、字幕機能がないとしても広く公開されていたのならば、Global 200でのトップ10入り、そしてGlobal Excl. U.S.における首位獲得もあり得たでしょう。