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【海外ビルボード】米およびGlobal 200にてビヨンセ「Texas Hold 'Em」が初の首位獲得

現地時間の2月26日月曜に発表された、最新3月2日付米ビルボードソングチャート(集計期間:2月16~22日)。通算6週首位を獲得したジャック・ハーロウ「Lovin On Me」が2位に後退、ビヨンセ「Texas Hold 'Em」が初の首位を獲得しました。

「Texas Hold 'Em」は前週、総合ソングチャートで2位に初登場すると共に、ホットカントリーソングチャートでは初登場で首位を獲得。このチャートにおいてビヨンセは黒人女性歌手、もしくは人種の異なる両親を持つ(記事では"biracial"と表記されている)女性歌手において初の首位獲得歌手となっていました。

(上記は公式リリックビデオ。)

ビルボードソングチャート65年の歴史において通算1,164曲目となる首位を獲得したビヨンセ「Texas Hold 'Em」はストリーミングが前週比51%アップの2900万(同指標初の首位)、ダウンロードが同25%ダウンの29,000(同指標2週目の首位)、ラジオが同233%アップの1610万(同指標43位)を記録しています。

 

ビヨンセは「Break My Soul」でソロとして9曲目の首位を獲得しました。

ビヨンセの首位獲得曲一覧>

「Crazy In Love (feat. ジェイ・Z)」 2003年7月12日付以降 通算8週

「Baby Boy (feat. ショーン・ポール)」 2003年10月4日付以降 通算9週

「Check On It (feat. スリム・サグ)」 2006年2月4日付以降 通算5週

「Irreplaceable」 2006年12月16日付以降 通算10週

「Single Ladies (Put A Ring On It)」 2008年12月13日付以降 通算4週

「Perfect (エド・シーラン duet with ビヨンセ)」 2017年12月23日付以降 通算6週(ビヨンセとの共演版はそのうち5週)

「Savage (ミーガン・ザ・スタリオン feat. ビヨンセ)」 2020年5月30日付 1週

「Break My Soul」 2022年8月13日付以降 通算2週

「Texas Hold 'Em」 2024年3月2日付 1週

またデスティニーズ・チャイルドのメンバーとしては「Bills, Bills, Bills」(1999 1週)、「Say My Name」(2000 3週)、「Independent Women (Part 1)」(2000-2001 11週)、「Bootylicious」(2001 2週)の4曲を首位に送り込んでいます。

 

「Texas Hold 'Em」はビヨンセが「Crazy In Love (feat. ジェイ・Z)」で初めて米ビルボードソングスチャートを制してから20年7ヶ月3週のスパンでの首位獲得となりました。

<初の首位獲得から最新の首位獲得までの最長スパン>

ブレンダ・リー 63年5ヶ月3週 (1960年7月18日付-2024年1月6日付)

マライア・キャリー 33年4ヶ月3週 (1990年8月4日付-2023年12月30日付)

・シェール 28年5ヶ月 (1971年11月6日付-1999年4月3日付)

エルトン・ジョン 24年11ヶ月1週 (1973年2月3日付-1998年1月10日付)

ビーチ・ボーイズ 24年4ヶ月 (1964年7月4日付-1988年11月5日付)

マイケル・ジャクソン 22年10ヶ月3週 (1972年10月14日付-1995年9月2日付)

スティーヴィー・ワンダー 22年6ヶ月 (1963年8月10日付-1986年2月8日付)

ロッド・スチュワート 22年4ヶ月 (1971年10月2日付-1994年2月5日付)

ビヨンセ 20年7ヶ月3週 (2003年7月12日付-2024年3月2日付)

アレサ・フランクリン 19年10ヶ月2週 (1967年6月3日付-1987年4月18日付)

上記の記録にデスティニーズ・チャイルド時代も含めれば、ビヨンセのスパンは24年7ヶ月2週となります(「Bills, Bills, Bills」は1999年7月17日付で首位を獲得)。ただし他の歌手においてもグループ時代を含めれば、シェールはソニー & シェール時代を含めて最長記録となる33年7ヶ月2週(1965-1999)、マイケル・ジャクソンジャクソン5時代を含めて25年7ヶ月1週(1970-1995)となります。

ビヨンセマライア・キャリーに並び、1990年代以降4つのディケイドで首位を獲得した歌手となりました。ビヨンセデスティニーズ・チャイルド時代を含め、またマライア・キャリーは2010年代および2020年代においては「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」で記録しています。

 

ビヨンセは今回、通算45週目の首位を獲得。歴代7位の記録となります。

<歴代首位獲得週数 トップ10>

93週 マライア・キャリー

60週 リアーナ

59週 ザ・ビートルズ

56週 ドレイク

50週 ボーイズIIメン

47週 アッシャー

45週 ビヨンセ

37週 マイケル・ジャクソン

34週 アデル、エルトン・ジョンブルーノ・マーズテイラー・スウィフト

仮にデスティニーズ・チャイルド時代の17週を含めれば、ビヨンセの首位獲得週数は通算62週となります。この場合、上記表掲載歌手に関してはザ・ビートルズポール・マッカートニーが通算89週(ソロ30週分を含む)、ジョージ・ハリスンおよびジョン・レノンが通算65週(ソロ6週分を含む)となりビヨンセを上回るほか、リンゴ・スターが通算61週(ソロ2週分を含む)、マイケル・ジャクソンが通算47週(ジャクソン5時代の10週分を含む)となります。

 

タイトルに"Texas (テキサス)"が付く曲として、ビヨンセ「Texas Hold 'Em」は初の首位獲得曲に。州名が付く曲では7曲目となります。

<米ビルボードソングチャート 州名がタイトルに付いた曲の首位獲得一覧>

レイ・チャールズGeorgia On My Mind」 1960年11月14日付

・ヴィッキー・ローレンス「The Night The Lights Went Out In Georgia」 1973年4月7日付

・グラディス・ナイト & ザ・ピップス「Midnight Train To Georgia」 1973年10月27日付

イーグルスHotel California」 1977年5月7日付

・2パック feat. K-Ci & JoJo「How Do U Want It」「California Love」 1996年7月13日付

ケイティ・ペリー feat. スヌープ・ドッグ「California Gurls」 2010年6月19日付

ビヨンセ「Texas Hold 'Em」 2024年3月2日付

なお、間接的に州名を用いた歌手による首位獲得曲も存在。オリジナルメンバーがテキサス州出身のローンスターは、テキサス州の旗が一つ星であり人目を引くことから呼ばれるようになった"ローンスター"を歌手名に用いています(グループは元々、メンバーがテネシー州で出会ったことから"テネシー"と名乗っていました)。そのような曲を下記にまとめています。

アメリカに関する地名や国名が曲名や歌手名についた首位獲得曲>

・ゲス・フー「American Woman」「No Sugar Tonight」 1970年5月9日付

・ドン・マクリーン「American Pie (Parts I & II)」 1972年1月15日付

アメリカ「A Horse With No Name」 1972年3月25日付

・グランド・ファンク「We're An American Band」 1973年9月29日付

オハイオ・プレイヤーズ「Fire」 1975年2月8日付

アメリカ「Sister Golden Hair」 1975年6月14日付

オハイオ・プレイヤーズ「Love Rollercoaster」 1976年1月31日付

USAフォー・アフリカWe Are The World」 1985年4月13日付

ローンスター「Amazed」 2000年3月4日付

・フロー・ライダー「Right Round」 2009年2月28日付

・ジェイ・Z & アリシア・キーズEmpire State Of Mind」 2009年11月28日付

・フロー・ライダー「Whistle」 2012年8月25日付

・チャイルディッシュ・ガンビーノ「This Is America」 2018年5月19日付

 

ビヨンセに話を戻すと、「Texas Hold 'Em」はビヨンセが共同ソングライトおよび共同プロデュースを手掛けた作品であり、ビヨンセは首位を獲得したソロ曲9作品すべてで共同ソングライトを、6曲にて共同プロデュースを担当しています。またデスティニーズ・チャイルドによる4曲の首位獲得作品では、ビヨンセは3曲で共同ソングライト、2曲で共同プロデュースを務めています。

「Texas Hold 'Em」の4名の共同ソングライター、および6名の共同プロデューサーのうちのひとりがラファエル・サディークであり、ソングライト/プロデュース作品では初の首位に。トニー・トニー・トニーのメンバーとして1990年代前半に3曲のトップ10ヒットを輩出し(「Feels Good」(1990年11月 9位)、「If I Had No Root」(1993年8月 7位)および「Anniversary」(1993年10月 10位))、アリシア・キーズにグループとして客演参加した「Diary」が2004年10月に8位を記録。ラファエルはグループによる1990年代のトップ10ヒットすべてで共同ソングライターを担当し、グループをプロデュースしていました。

ラファエル・サディークが関与したその他のトップ10ヒットにはディアンジェロ「Lady」(1996 10位)、エリカ・バドゥ feat. コモン「Love Of My Life (An Ode To Hip Hop)」(2003 9位)、エド・シーラン「Don't」(2014 9位)そしてビヨンセ「Cuff It」(2023年2月 6位)があります。

 

ビヨンセ「Texas Hold 'Em」はストリーミング指標初制覇。2013年に開始したストリーミングソングチャートにおいてビヨンセは4曲目の首位獲得曲ながら、単独曲では初に。これまではジェイ・Zに客演参加した「Drunk In Love」(2014 4週)、エド・シーランとの「Perfect」(2018 1週)、ミーガン・ザ・スタリオンに招かれた「Savage」(2020 1週)が首位を獲得しています。

 

ビヨンセ「Texas Hold 'Em」は、ソングチャート(Hot 100)と計算方法を同じとするホットカントリーソングチャートでも2週目の首位を獲得すると共に、カントリーエアプレイチャートでは初のトップ40入りを果たしています(54→34位、前週比156%アップとなる280万の聴取者数を記録)。「Texas Hold 'Em」はビヨンセにとってホットカントリーソングチャートで初の首位を獲得した作品であると同時に、カントリーエアプレイチャートでの初エントリー曲となります。

「Texas Hold 'Em」はポップエアプレイチャートで38→25位に上昇したほか、アダルトポップエアプレイでは28位、アダルトR&Bエアプレイでは28位、リズミックエアプレイでは36位、R&B/ヒップホップエアプレイでは36位、メインストリームR&B/ヒップホップエアプレイでは40位に、それぞれ初登場を果たしています。

 

ビヨンセ「Texas Hold 'Em」は総合ソングチャート(Hot 100)とホットカントリーソングチャートを同時に制した26曲目の作品となります(双方とも1958年に開始)。この同時制覇は1975年が最も多く、2023年には4曲が達成。「Texas Hold 'Em」は2024年において初の作品となりました。

<米ビルボードソングチャートおよびホットカントリーソングチャート双方を制した曲>

・ジョニー・ホートン「The Battle Of New Orleans」(1959)

マーティ・ロビンス「El Paso」(1959-1960)

・ジミー・ディーン「Big Bad John」(1961)

・ジェニー・C. ライリー「Harper Valley P.T.A.」(1968)

・ボビー・ゴールズボロ「Honey」(1968)

・チャーリー・リッチ「The Most Beautiful Girl」(1973)

・ビリー・スワン「I Can Help」(1974)

・B.J.トーマス「(Hey Won’t You Play) Another Somebody Done Somebody Wrong Song」(1975)

・フレディ・フェンダー「Before The Next Teardrop Falls」(1975)

ジョン・デンバー「Thank God I'm A Country Boy」(1975)

グレン・キャンベル「Rhinestone Cowboy」(1975)

ジョン・デンバー「I'm Sorry」(1975)

・C.W.マッコール「Convoy」(1975-1976)

グレン・キャンベル「Southern Nights」(1977)

ケニー・ロジャース「Lady」(1980)

ドリー・パートン「9 To 5」(1981)

・エディ・ラビット「I Love A Rainy Night」(1981)

ケニー・ロジャース duet with ドリー・パートン「Islands In The Stream」(1983)

ローンスター「Amazed」(1999-2000)

テイラー・スウィフト「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012)

テイラー・スウィフト「All Too Well (Taylor's Version)」(2021)

モーガン・ウォレン「Last Night」(2023)

・ジェイソン・アルディーン「Try That In A Small Town」(2023)

・オリヴァー・アンソニー・ミュージック「Rich Men North Of Richmond」(2023)

・ザック・ブライアン feat. ケイシー・マスグレイヴス「I Remember Everything」(2023)

ビヨンセ「Texas Hold 'Em」(2024)

 

前週まで通算6週首位を獲得したジャック・ハーロウ「Lovin On Me」は2位に後退。ラジオ指標は通算6週目の首位を記録しています(なお記事には数値および前週比の記載はありません)。

シザ「Snooze」は1ランクアップし6位に。同曲はホットR&Bソングチャートで30週目の首位となり、自身の「Kill Bill」に並び女性歌手による作品では最長タイとなりました。2012年に開始したこのチャートでは、ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」が最長となる48週首位を記録しています(2020-2021)。

 

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) ビヨンセ「Texas Hold 'Em」

2位 (1位) ジャック・ハーロウ「Lovin On Me」

3位 (5位) テディ・スウィムズ「Lose Control」

4位 (3位) イェー(カニエ・ウェスト) & タイ・ダラー・サイン feat. リッチ・ザ・キッド & プレイボーイ・カルティ「Carnival」

(※ "プレイボーイ・カーティ"と表記するメディアも)

5位 (4位) ベンソン・ブーン「Beautiful Things」

6位 (7位) シザ「Snooze」

7位 (6位) テイラー・スウィフト「Cruel Summer」

8位 (9位) テイト・マクレー「Greedy」

9位 (8位) ザック・ブライアン feat. ケイシー・マスグレイヴス「I Remember Everything」

10位 (12位) ドージャ・キャット「Agora Hills」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。3月2日付ではGlobal 200にてビヨンセ「Texas Hold 'Em」が初の首位に到達し、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.でも2位に。そのGlobal Excl. U.S.ではベンソン・ブーン「Beautiful Things」が2連覇を達成しています。

ビヨンセ「Texas Hold 'Em」はGlobal 200で4→1位に。ストリーミングは前週比86%アップの5960万、ダウンロードは同10%ダウンの43,000を記録しています。ビヨンセによる同チャート制覇は初、トップ10入りは「Break My Soul」(2022 6位)に次いで2曲目となります。

Global 200を制した54曲のうち、米ビルボードによるホットカントリーソングチャートも制した作品はテイラー・スウィフト「All Too Well (Taylor's Version)」(2021)に次いでビヨンセ「Texas Hold 'Em」が2曲目となります。

「Texas Hold 'Em」はGlobal Excl. U.S.において40→2位に。ストリーミングは前週比136%アップの3150万、ダウンロードは同54%アップの14,000を記録しています。同チャートにおけるビヨンセのトップ10ヒットは「Break My Soul」(2022 9位)に次ぐ2曲目となります。

 

ベンソン・ブーン「Beautiful Things」がGlobal Excl. U.S.で2連覇を達成。ストリーミングは前週比20%アップの4310万、ダウンロードは同12%アップの5,000を記録しています。また同曲は前週まで2連覇を記録していたGlobal 200において2位に後退しています。

 

デュア・リパ「Training Season」がGlobal 200で6位、Global Excl. U.S.では4位に初登場。Global 200ではストリーミング4390万、ダウンロード10,000を記録し同チャート5曲目のトップ10入り(直近では「Houdini」および「Dance The Night」が共に3位を記録)。また「Training Season」はGlobal Excl. U.S.にてストリーミング3290万、ダウンロード5,000を記録し、同チャート6曲目のトップ10入りを果たしています。

 

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はGlobal Excl. U.S.で2→3位に後退しています。