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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Global 200初のトップ10入り、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」上昇の要因とは

ビルボードが2020年に新設したグローバルチャート、最新3月23日付においてCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」がGlobal 200で13→8位、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.では6→3位に上昇しています。

これによりCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は、Global 200においてLiSA「炎」(2020 8位)、YOASOBI「アイドル」(2023 7位)に続き、日本の楽曲では3曲目のトップ10入りを果たしました。

 

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」がGlobal Excl. U.S.で6→3位に上昇し、トップ3返り咲き。またGlobal 200では13→8位となり初のトップ10入りを果たしています。そのGlobal 200ではストリーミングが前週比72%アップの5390万、ダウンロードが同48%アップの19,000を記録しています。

ダウンロードもさることながらストリーミングも急進したCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」。その急浮上の背景には2つの要因が考えられます。

 

 

ひとつはYouTubeでの躍進です。グローバルチャートは主要デジタルプラットフォームにおけるストリーミングとダウンロードの2指標で構成され、動画再生はストリーミング指標に含まれます(なおビルボードジャパンソングチャートでは動画再生指標の対象となります)。

ビルボードによる3月23日付グローバルチャートと集計期間と同一とするYouTubeの週間楽曲ランキングではCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が首位に立っています。これはarne代表の松島功さんがポストにて"TFT"と記している、THE FIRST TAKEの影響が大きいといえます。

「Bling-Bang-Bang-Born」のTHE FIRST TAKEは3月8日金曜、すなわち今回の集計期間初日に公開され、チャンネル史上最速で1000万回再生を突破しています。

加えて前週の集計期間においてはテレビアニメ『マッシュル-MASHLE-』とのコラボミュージックビデオが、Creepy Nuts側の公式YouTubeチャンネルにて発信されており、このコラボ動画の影響も反映されたと捉えていいでしょう。

YouTubeの影響と断言可能なのは、ストリーミング再生回数におけるSpotifyの割合も根拠としています。グローバルチャートにおいては特筆すべき曲として米ビルボードが挙げた曲のみ指標の数値が判明していますが、再生回数のうち(グローバルチャートの加算対象となる)Spotifyの数値の割合を算出すると今回の「Bling-Bang-Bang-Born」は23.7%となり、著しく低いのです。

当週Global 200を制したアリアナ・グランデ「We Can't Be Friends (Wait For Your Love)」の、ストリーミング再生回数におけるSpotifyの割合は57.1%でした。2023年度以降のGlobal 200でトップ10入りした曲においてこの数値が4割を下回ることはほぼないのですが、最も低かったのがNewJeans「OMG」の19.1%(2023年1月14日付 8位)、次いでYOASOBI「アイドル」の22.4%(2023年5月6日付 10位)であることは、YouTubeの人気曲がその勢いに伴いチャートを駆け上がっていることの証明といえるでしょう。

 

 

そしてもうひとつは、YouTubeにおける"欠測"解消の可能性です。YouTubeの数値が時折反映されない現象については、ビルボードジャパンソングチャートにおける動画再生指標の動向から確認できます。3月10日日曜までを集計期間とする3月13日公開分ビルボードジャパンソングチャートではCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」において動画再生指標が思うほど伸びていない状況であり、欠測の可能性をブログで示唆しました。

先述の通り、前週3月16日付グローバルチャートでは「Bling-Bang-Bang-Born」のコラボミュージックビデオが初加算され、そのタイミングで伸びる可能性も考えられたのですが結果的に順位の変動は小さかった状況です。それもあり尚の事、「Bling-Bang-Bang-Born」においては欠測が発生しているとして問題提起した次第です。

実際のこの欠測の可能性という推測が正しかったかは分かりかねますが、最新3月23日付グローバルチャートにおいてはこれが解消されたと捉えていいのではというのが私見。そうなれば、明日発表される3月20日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおいてCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が動画再生指標を大きく伸ばすことも見込まれます。

 

 

今後の注目点はその明日発表分のビルボードジャパンソングチャートにおける動画再生指標の動向、そして次週3月30日付のグローバルチャートの動向です。後者においては次週上位に初登場する曲は少ないとみられ、またアリアナ・グランデ「We Can't Be Friends (Wait For Your Love)」においては収録アルバム『Eternal Sunshine』が登場2週目のため、勢いが弱まることが予想されます。

ライバルの動向も相まって、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が上昇に至るかに注目です。そのCreepy Nutsは昨日、海外向けの自己紹介動画を公開しています。

他方、SpotifyにおいてはCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の勢いがこの土日で下がっている状況です。日本においてはテレビパフォーマンスに伴うダウンロード指標の上昇効果は1週間程度持続すると認識していますが、THE FIRST TAKEの影響もまた同様に1週間程度といえるかもしれません。その勢いを持続させるという意味で、自己紹介動画が有効に作用する可能性が考えられます。