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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲、CHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年2月21日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。

前週のエントリーはこちら。

ビルボードジャパンの最新のソングチャートに関する記事については、以下をご参照ください。

 

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポストにて簡潔に説明しています。

 

<2024年2月14日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

・100位未満(300位圏内) (前週9位) OWV「BREMEN」

 

OWV「BREMEN」はラジオ指標にて上位をキープしながら、フィジカルセールス指標が加算2週目につき急落するとともに、ロングヒットの要となるストリーミングおよび動画再生指標が当週も300位未満となり未加算のため、総合チャートでも急落に至っています。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2024年2月21日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・2位 (初登場) Snow Man「LOVE TRIGGER」

・4位 (初登場) 宇多田ヒカル「何色でもない花」

・9位 (初登場) WOLF HOWL HARMONY「Frozen Butterfly」

・15位 (初登場) 櫻坂46「何歳の頃に戻りたいのか?」

・19位 (初登場) SPYAIR「オレンジ」

 

2位のSnow Man「LOVE TRIGGER」、19位のSPYAIR「オレンジ」については木曜および金曜のブログエントリーにて紹介しています。

 

宇多田ヒカル「何色でもない花」はドラマ『君が心をくれたから』(フジテレビ)主題歌。当週の集計期間初日に音源が、同日22時(ドラマ放送後)にミュージックビデオが公開、初週1週間フル加算となったことも功を奏し総合4位に初登場を果たしました。日本では新曲がストリーミング指標で初週から上位に登場することは多くはないのですが、同指標40位を記録。そして、ポイントのほぼ半分がラジオ指標で占められています。

ラジオ指標の基となるプランテックのOAチャート(ビルボードジャパンはこのデータに、各放送局の聴取可能人口等を加味して指標化しています)では「何色でもない花」が首位に。特筆すべきはラジオ先行公開という点であり、たとえば1月リリースのback number「冬と春」、12月リリースの星野源「光の跡」でも用いられています(プランテックのOAチャート記事は「冬と春」がこちら、「光の跡」がこちら)。

ジャケットビジュアルの公開に合わせて、本日より2月12日(月)リリースの新曲「何色でもない花」の配信予約キャンペーンがスタート。

特設ページより、Apple Musicのプレアド・Spotifyのプレセーブ、iTunesでのプレオーダー(iTunesについては2月7日より受付開始)をした方の中から抽選で300名に「何色でもない花 オリジナルステッカー」を、キャンペーンに参加した全員に「オリジナル待ち受け画像」もプレゼント。

キャンペーンは全世界から参加することができます。応募期間は楽曲リリースの前日2月11日(日)23:59まで。是非ご参加ください。

宇多田ヒカル「何色でもない花」においては、デジタルでもキャンペーンが展開。再生キャンペーンは採用されていませんが、上記キャンペーンも今回の初動に反映されたといえるでしょう。『全世界』という記載からは、グローバル(チャート)への意識も感じられます。

 

なお、宇多田ヒカル「何色でもない花」リリース日におけるSpotifyデイリーチャートが発表のおよそ半日後に修正され(音楽チャート予想等を発信するPop Dataのポストに詳細が記載→こちら)、そこから数日は50位前後で乱高下する曲が複数みられました。「何色でもない花」は一時50位以内に入るもすぐにランクダウンし、日本のSpotifyにおける”50位の壁”特性の恩恵は受けられていません(特性については下記リンク先に掲載)。

この修正の影響は大きくないかもしれませんが、しかしSpotifyの混乱といえる状況がなければ「何色でもない花」はビルボードジャパンソングチャートのストリーミング指標においてさらに伸びたかもしれません。Spotifyをはじめとするデータ提供元の改善を求めつつ、たとえば下記ポストでアナウンスされたテレビパフォーマンスが今後チャートアクションに寄与するかについて注目したいと思います。

 

最後に。デジタルキャンペーンやラジオ先行公開、ストリーミング好調の発信(こちら等参照)、ミュージックビデオのプレミア公開等から、宇多田ヒカル「何色でもない花」が多くの施策を採用していることが解ります。過度な施策についてはチャート管理者側のチャートポリシー(集計方法)改善が必要ですが、ベテラン歌手の施策の徹底は注目すべきであり、またどの歌手も施策を行っていることを私たちは意識する必要があります。