イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲におけるCHART insightから、真のヒット曲に成るかを読む (2023年11月15日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。

最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。

 

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポスト(ツイート)にて簡潔に説明しています。

 

<2023年11月8日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

・LE SSERAFIM「Perfect Night」 7位→11位

・NiziU「HEARTRIS」 10位→14位

緑黄色社会「花になって」 15位→21位

 

ポイント前週比もLE SSERAFIM「Perfect Night」が前週比98.3%、NiziU「HEARTRIS」が同103.7%、そして緑黄色社会「花になって」が同102.7%と、いずれの曲も安定しています。加えてストリーミング指標がいずれの曲もポイント全体の半分以上を占めており、ロングヒットの可能性を秘めているといえるでしょう。なお、いずれの曲もLINE MUSIC再生キャンペーンは実施していません。

(なお再生キャンペーンについて、LE SSERAFIM「Perfect Night」がRakuten Musicにて実施していましたが、同サブスクサービスのシェアは高くありません。またキャンペーンは11月2日にて終了しており、最新チャートには影響を及ぼしていません。)

緑黄色社会「花になって」はミュージックビデオが公開され、次週以降動画再生指標が加算対象に。次週は『テレ東60祭!ミュージックフェスティバル2023』(テレビ東京 11月15日放送)および『ベストヒット歌謡祭2023』(読売テレビ/日本テレビ 11月16日放送)の反響がチャートに反映されますが、緑黄色社会は双方に出演し前者で「花になって」、後者では「サマータイムシンデレラ」を披露しました。その動向にも注目です。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2023年11月15日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・3位 (初登場) King & Prince「愛し生きること」

 

・5位 (前週80位) THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「片隅」

 

・7位 (初登場) BE:FIRST「Glorious」

 

・12位 (前週52位) ジョングク「Standing Next To You」

 

上記に加え、2位にはIMP.「CRUISIN'」が再登場。フィジカルセールス初加算に伴い、最高位を更新しています。

この「CRUISIN'」を含め、トップ10に新たに(もしくは再度)ランクインした4曲については、一昨日のエントリーにて紹介しています。

 

さて今回紹介するのはジョングク(Jung Kook)「Standing Next To You」(52→12位)。前週金曜にアルバム『GOLDEN』がリリースされ、当週初めて1週間フル加算されたことに伴い急浮上した形です。

「Standing Next To You」においては11月12日まで、LINE MUSIC再生キャンペーンが行われていました。700回の再生回数ハードルをクリアした方は全員当選となり、さらにその中から抽選でプレゼントが当たる企画が用意されています。

実は『GOLDEN』の先行曲でラトーを迎えた「Seven」、そしてジャック・ハーロウをフィーチャーした「3D」においても、同様にLINE MUSIC再生キャンペーンが行われています。再生回数ハードル、全員プレゼントおよび抽選でのプレゼントという条件は統一され、また対象期間もほぼ同一となっています。

 

LINE MUSIC再生キャンペーンは、主にライト層(曲は気になるが歌手のファンというわけではない方)の支持が解る接触指標のストリーミングにコアファンの熱量を反映させるものですが、終了直後に再生回数が急落し、本来安定するはずのこの指標および総合順位も大きく下がります。直近では櫻坂46「承認欲求」でこの傾向がみられましたが(一昨日のエントリー(→こちら)でも紹介)、「Seven」等ではその後もヒットが続いています。

LINE MUSIC再生キャンペーン終了後にストリーミングが大きく下がるわけではないこと、もうひとつの接触指標である動画再生も高いこと、ポイント全体に占めるストリーミングの割合が高いこと、そして総合順位が安定していること等からは、ジョングク「Seven」「3D」の強さがよく解ります。そして「Standing Next To You」がこの流れに続く可能性は十分です。

 

ソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャートにおけるCHART insight(直近60週分)をみると、ジョングク「Seven」→「3D」→『GOLDEN』(「Standing Next To You」)の初加算タイミングで上位に到達していることが解ります。

特に「3D」→『GOLDEN』(「Standing Next To You」)においては一段高いステップに到達しているのですが、これは一昨日のエントリーでも紹介したK-POP第4世代女性ダンスボーカルグループの動きと同様であり、接触指標群の充実が牽引していることが解ります。K-POP男性歌手では珍しいこの動向は、ライト層を着実に取り込んでいること、リリースの度に歌手人気が確実に高まっていることを示しているといえるでしょう。

 

無論、今後の「Standing Next To You」の動向を注視する必要がありますが、今回新たに(もしくは再度)ソングチャートでトップ10入りを果たしたJ-POP男性アイドル/ダンスボーカルグループ、いや彼らに限らずすべての歌手は、今回紹介した動向をチャートのひとつの理想形として把握する必要があると考えます。