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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米津玄師、Mrs. GREEN APPLE、aiko…4月8日週リリース曲のチャートでの躍動について

今月、このようなエントリーを掲載しました。

今回紹介した作品の動向は4月17日公開分のビルボードジャパンソングチャートやアルバムチャート等に影響します(上記Spotifyの動向等参照)。これら紹介作品の中から2024年を代表するヒット曲が生まれるかもしれません。そして大晦日の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)にて出場当確となる歌手も出てくる予感がします。

実際に前週、そして最新4月24日公開分ビルボードジャパンソングチャートにて、4月8日週リリースの作品が躍動しています。今回は最新チャートでトップ10入りした3曲の動向をチェックします。

 

 

4月8日リリースの米津玄師「さよーならまたいつか!」は前週2位に初登場し、当週は4位に。ポイント前週比は80.2%ですが、ダウンロードが39,275→15,822DLとダウンした一方でストリーミング指標の基となる再生回数は6,335,185→7,636,138回再生と上昇。また2位に上昇した動画再生指標においては2,764,894回再生を記録しています(動画再生数は下記ポッドキャストにて公表されています)。

「さよーならまたいつか!」はストリーミングが軌道に乗り出したといえます。米津玄師さんは映画『ラストマイル』(8月23日公開)に新曲「がらくた」を描き下ろしたことが本日発表されており、歌手への注目度上昇は「さよーならまたいつか!」にも波及しロングヒットする可能性も十分考えられます。

 

Mrs. GREEN APPLEライラック」が11→3位に。テレビアニメ『忘却バッテリー』(テレビ東京ほか)のオープニングテーマは、初の1週間フル加算のタイミングでトップ10入りを果たしています。コンテンツカレンダーを用意し新曲リリースの訴求、コアファンの熱量上昇等につなげたほか、リリース後も様々な施策を用意しています。その一環が、ミュージックビデオを用いたこちらの遊びといえるでしょう。

Mrs. GREEN APPLEにおいても新曲がアナウンスされており、歌手への注目度を高めている状況です。

そして「ライラック」においては、「青と夏」(2018)のアンサーソングという位置付けの模様です。断言する記事は見当たらないのですが、自身が担当するラジオ番組では「ライラック」言及時に「青と夏」にも触れています。

「青と夏」は当週のビルボードジャパンソングチャートで37→31位、ポイント前週比106.5%と好調に推移。ストリーミング人気の確立が新曲登場時における過去曲のフックアップにつながっており、最新のビルボードジャパンによるトップアーティストチャート(ソングチャートとアルバムチャートを合算)ではMrs. GREEN APPLEが3週ぶり、今年度12週目となる首位を獲得しています。

 

Mrs. GREEN APPLEライラック」共々4月12日にリリースされたaiko「相思相愛」は、初の1週間フル加算となった最新4月24日公開分ビルボードジャパンソングチャートで46→9位に上昇。注目はストリーミング指標の95→12位という躍進であり、冒頭掲載のブログエントリーにて紹介したSpotifyのキャンペーン、またSpotifyを含む各種サブスクサービスでの歌手側のキャンペーン展開も功を奏したといえるでしょう。

キャンペーンはLINE MUSIC再生キャンペーンのようなコアファンへの再生回数上昇を促すものではないのですが、きちんと展開を行っていることが有効に作用したことが見て取れます。

タイアップ先の劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』はシリーズ最高の興行収入が見込まれており、また映画と主題歌の相互ヒットという点では劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』主題歌となったスピッツ「美しい鰭」(共に2023)を思わせます。「相思相愛」のヒット次第では、aikoさんが『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)に5年ぶりに返り咲く可能性も十分考えられます。

(なおスピッツは昨年の『NHK紅白歌合戦』に出場していません。NHKには朝の連続テレビ小説なつぞら』に「優しいあの子」(共に2019)を提供していますが、同年も出場しておらず、それがスピッツのスタンスと捉えていいでしょう。)

 

 

最新4月24日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは4月8日からの1週間にリリースされた3曲がトップ10入りを果たし、2024年リリースの作品が10曲中8曲を占めています。またいずれもストリーミングが高く推移していることも特徴です。

(上記ビルボードジャパンのCHART insightは無料会員向けに発信されているものであり、総合および構成指標は20位までが公開されています。たとえばaiko「相思相愛」の前週順位が未記載なのはそのことに基づきます。)

ビルボードジャパンソングチャートはストリーミングでのヒットがロングヒットに繋がりますが、一方ではストリーミングが低流動性とも(好くはない意味で)形容されています。新曲がリリース直後に聴かれていないことが形容の一因といえますが、その状況は徐々に変わってきているのではないかと感じています。